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これからの僕(私)  作者: 阿部いりまさ
これからの僕(私)〜本編〜
30/64

29.晴海は元の家に行く

ども!阿部いりまさです。

やっと夏休み編を書くことができました。多分しばらくはこの元の家のお話がメインになるかと思われます。

あと皆さん!遅れましたがハッピーハロウィーン!






「もう少しか……」


僕は今、男のときに住んでいた、いわば実家に行くための電車にゆられている最中である。

夏休みに入ってもう4日、当然夏なので外はかなり暑いけれど、電車の中は冷房がとてもよくきいていてかなり涼しいから快適だよ。

ところで、僕がなぜ実家に行くことになったかは昨日の夜、突然押しかけてきた天野さんに「家族に顔見せてあげたら?」そう言われたから。 最初は他人に僕が女になっていることを教えるなとか言ってたのに自分で忘れてるのかな?

第一、僕は死んでることになってるのに、急に、しかも女になって現れたらみんなかなり驚きそうだし。

そう言っても全く天野さんは全然ひかないで「行きなさい。行きなさい」言うから渋々従ったということである。


「ここ、懐かしいなあ…」


僕の実家がある駅の近くになるとかなり見慣れた景色が多くなってくる。おおよそ3ヶ月ぶりくらいにこの景色を見た。


『次は~、みつめ台、みつめ台です』


おっと、おりないとねっ。


僕の家は最寄りの駅「みつめ台」からだいたい徒歩10分から20分くらいのところにある。

僕が住んでいた近くは、どこもそうなように、駅前はかなり栄えているけど、遠くなるにつれて一軒家やアパートなどが多くなってくる。いわば、住宅地である。


「つ、着いた……」


僕の前に建っている家こそ、僕が男の時に住んでいた家である。

さて、インターホンを押さなくちゃ……。だっ、だめボタンの手前で手が動かないっ!自分の家のはずなのに〜っ!

僕が家の前でインターホンを押そうと頑張っていると、


「あ、あの~……家に何かようですか?」


え?この声は、


「む、睦月⁉」


「えっ?」


僕に声をかけてきた肩まで髪が伸びている女の子、この娘は僕の1歳年下の妹「相良(さがら) 睦月(むつき)」。

もちろん僕と同じ中学に通っていて、成績は中の上と言ったところらしい。部活はテニス部に所属していたけど、多分もう3年だから引退したと思うけど……。


「な、なんで私の名前を?」


「いやいや、なんでもないですっ!」


「は、はあ」


睦月はちょっとアホな部分があるからきっとこれで平気だと思う。


「ところでなんで家の前に?」


し、しまった!

なんて言えば……そだ!


「私、海都君の同級生で、海都君に用事があって!」


「お兄ちゃんに、ですか…。じゃあどうぞ、お線香あげてってあげてください。今は家に誰もいないので」


案外すんなりいけた。

我が妹なだけあって不安だな。

ガチャリともとの家のドアを開ける。ああ、なんかこの家の匂い……。懐かしいなあ♪


「仏壇はここです」


そう言って睦月に案内された和室には仏壇が、そしてその仏壇の上の壁には僕の写真。なんか自分の仏壇や位牌とか見るの、あまりいい気分じゃないなあ………。


「お茶いれてきますね」


そう言って睦月は部屋から出て行った。

さてとこれは自分に対してお線香をあげることになるのか、やっぱりあまりいい気分にはなれないな。

とりあえずお線香に火をつけて僕にあげといた。

僕が僕に対してお線香をあげおえたと同時に睦月が部屋にお茶をもって戻ってきた。

僕はそのお茶をいただく。うまいなこれ。僕がこの家にいる時はなかったのに。


「お線香あげてくれてありがとうございます。きっと兄もよろこんでます!」


いやいや、気分最悪だって。僕は生きてるから。


「そ、そうかな…。良かった」


それきり会話が途切れてしまった。

き、気まずい………。これは何か言葉かけないと、この空気は耐えられない!

そ、そうだ!もうバラしちゃおう!そうすれば前みたいにはなせるだろう。よし!


「あ、あの、相良さん?」


「どうしたんですか?」


「じ、実は、わた…僕は!」


僕が言いかけたその時、


ガチャ


「ただいま~」


こ、この声は⁉


「あれ?むっちゃん、この人どなた?」


か、母さん!?


「ああ、この人はお兄ちゃんにお線香あげにきてくれたんだよ」


「そうなんだ。どうもありがとうございます。海都もきっとよろこんでおります」


「い、いえいえ…」


相良(さがら) 水鳥(みどり)」、これが僕の母さん。

なんだか少し痩せたように感じる。


「それじゃあ、ごめんなさい。私ちょっと小池さんに呼ばれてるから。一旦失礼しますね」


そう言うと母さんはそそくさと玄関の方へ向かっていった。

すぐにガチャっと玄関のドアが開く音がしたので本当に出かけたみたいだ。


「……」


「ど、どうかしたの?」


「え?い、いえ!なんでもないです!」


気になる。それにここは僕の家、つまり僕が生きてれば当然僕も聞いている話となるはず、ああ!考えたらもっと知りたくなってしまう!!!もうやめだ!!


「そういえばさっき何か言いかけませんでした?」


「え?えーっと、あ!な、何でもないよっ!後でまた言うからっ」


タイミングのがすといいづらいんだよなあ。


「そうだっ!お昼ご飯ここで食べていきます?あ、遠慮なんかしなくていいんですよ~」


そうだっ!今日のお昼どうするか決めてなかった。


「え?えーっとじゃあ、いいかな?」


「はいっ!」




ああ、いつ言おうかな………。言いづら…。












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