第七十九話 認識の違い
加筆版についてですが
こちらの進展最優先を優先的に書き、
時間が出来たときに加筆版を細々書いて
一章分程度出来たところで登録していきたいと思います。
時期については未定ですが、四月までには出来るかと思います。
ご回答有難うございました。
※注意
血なまぐさい表現があります。
苦手な方はご注意ください。
突っ込んだ勢いそのままに小さな身体を掻っ攫いそのまま地面に身を伏せる。
「tugev tuul」
ごっ と、上で瞬間的な竜巻が生じバキバキ枝が折れる音やら重たいものが衝突する音やら呻き声が聞こえた。
俺は身体を起こし、呻き声の挙がった場所を確認。見事に吹っ飛ばされて幹に叩きつけられ呻いている二人の男を発見したので、手刀を落して意識を狩り取った。
「なんで来てるんですか」
背後からドスの効いたイイ声がしたので、俺はスマイル張り付けたまま振り向いた。
「あなたには関係のない相手です。すぐに引き返してください」
そこだけ見える目元は、案の定怖かった。
でも、びびってる場合でもない。俺は少年に近寄りポンポンと肩を叩いた。
「阿呆。お前、自分の状態分かってないだろ。
それにもう俺もターケッドされちゃってるから今から引き返しても一緒だ。
こいつらが俺の方に来たから進路変更したんだろ? ほら、次が来るから」
「相手は野盗なんかじゃないんです。目を付けられたら命の保証はありません。
幸いまだ顔をはっきり見られたわけではありませんから今なら」
「いやぁそれ無理だろ。リットの登録員だって勘付かれてるからいつかは俺にたどり着くだろうし」
「………」
少年は黙ってしまい俺から二三歩と、離れた。
黙ってしまったところを見ると、同意見という事だろう。
「お互い言いたいことはあると思うけど、まずは奴さんにお帰り頂くのが先……」
香った匂いに、俺はスマイルのまま固まった。
「帰らせる? 帰らせませんよ」
振り向くと、少年の手に握られた短剣からポタリと赤い雫が垂れ、気絶していた二人の男は先程と同じ倒れたままの姿勢で、首を切られていた。
「命の保証が無いのは、あなただけではありません。
あなたに関わる全ての者が、その限りでは無くなるという事です」
「意味をはき違えないでください」と、硬質な声で言われたが、あんまり俺の耳は機能していなかった。
「血が駄目なのでしょ。さっさと離れてください」
少年はそう言い捨て、こちらに向かって来ている相手の方へと行ってしまった。
………。
ここが立法国家だと思った事は無い。
人殺しは罪に問われるが、人殺しが少ないかと言えばそうでもない。犯罪者の場合、簡単に殺される。
傭兵は元より、冒険者でも人を殺した経験はあるだろう。
短剣を握った少年は、むせ返るような血の気配を放っていた。
俺は――――ちょっと、混乱していた。
「……落ち着こうか、俺」
人差し指を頬にあて、むにっと口角を上げる。
不思議と吐き気はそれ程感じない。キャパオーバーを起こしているのか何なのか、俺自身よくわからない。
「なんつーか…………なんつーか………」
言葉が、出てこなかった。
「あぁー………もー……………」
ガシガシと頭を掻き、俺は回らない頭に無理やり再起動をかけた。