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第七十六話 誰それ

遅くなりました。


……私は仕事=趣味の人間ではありません。

書き殴り=趣味の人間です。


だから休ませてくれーーーー(泣)

「過剰反応……過剰反応?」


 俺の言葉を丁寧になぞる姉御。


「とても、そんな風には見えなかったのだけど」


 目が、据わっていた。


 …………む……無理無理無理無理無理無理!! 最終形態(ラスボス)無理ーーー!!!


「何で倒れていたの」

「脳震盪おこしたからです!」


 背筋伸ばしてマッハで答える俺。でも若干視線は直視を避けて逸らし気味。


「何で」

「顎殴られてです!」


 ここで求められるのは僅かな間も生み出さない驚異的なまでの集中力だ。


「誰に」

「……ぃゃぁ」


 さっそく崩された。


「だれに?」

「……そ、そこで地面を見つめておられる方です」

「何で」

「……その、喧嘩しましてぇ」

「喧嘩?」

「……………です」

「なんで」

「せ………青春のいちぺーじ……」


 いつどたまかち割られるのかびくびくしていると、コンと頭に固いものが当たった。

 否応なく緊張が高まり頬が引き攣った。


「………っはぁーーーーー」


 長い。長い、そして怖い溜息が頭上で吐かれた。


「ねぇミア君、どうやってイーズァなんて大物と出会ったの? しかも喧嘩する仲とか」


 誰だよイーズァって! 何の大物なんだよ! 芸人か!? 演歌歌手か!? ってゆーかイーズァって言いづらいよ! なんだよズァって!


「まぁまぁ」


 あぁ旦那さん、あなたは本当神様――


「あなたは黙ってて」

「はい」


 ――じゃなかったです。そりゃそうです。人間です。頭かち割られたら死ぬ種族です。


 かち割り道具が依然俺の頭に固定されているのを、冷たい感触が生々しく伝えてくれる。


 ダメだ。もうダメだ。ここは正直にいこう。知らんもんは知らん。もう無理。俺の硝子細工よりも繊細なハートは砕け散る寸前だ。


「あの、そいつ大物なんですか?」

「は?」


 おや。今の反応はちょっと違う。

 何言ってんのお前。ではなくて、本気で言ってんの? という訝しむ気配。

 俺は勇気をもって頭に凶器据えられたまま首を動かし、旦那さんに顔を向けた。


「俺、パージェスを出たことなかったから有名人とか知らないんですよ」

「え? そうなの? ミア君の場合は興味が無いだけじゃない?」

「ちょ、何故そんなピンポイントで真実を抉るんですか」

「ほらぁやっぱり」


「和むな」


「ごめんなさい」

「申し訳ありません」


 姉御の一言に即座に謝罪する俺と旦那さん。

 お互い、身に沁みついてしまっているのだろうか。


「本当に知らないの?」


 問われて俺はこくこく頷いた。真実、イーズァという名に覚えは無い。


「昔、グレリウスで熱烈な支持を集めていた――」

「エリーゼ」

「……なによ」

「ミア君が知らないって事は、知らないって事だよ?」


 ………うん。知らないって事は知らないって事ですけど。そのまんま。


 はて? 旦那さんの言いたいことが分からない。感性が独特な人だなとは思ってたけどすごいな姉御。何故か理解してるっぽいんですが。眉間に皺寄せて悩んでるし。


「ミア君が強情なのは君も良く知ってるんでしょ?

 口を割らないからって無理やりやるのは良くないよ。様子を見ていても知り合いだっていうのは本当みたいだし、ミア君はその辺り相手を間違えた事がないって自慢してたのは君でしょ?」

「……………まぁ。それはそうなんだけどね」


 姉御はゆっくりと俺の頭からフライパンを外した。


 ………助かった?



冒頭はすみません。休日がなくて発狂しかけてました。

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