第四話 ふへへへ
早速のお気に入り登録有難うございます。
ちょっと早くてビビッてます。
こちらの作品は基本コメディ路線でいく予定です。
主人公の性格がまぁ、そうなので。
尚、断っておきますが、主人公=作者ではありません。
……若干、ごく若干、同じ匂いを発してるかもしれませんが、違います。
俺は今悩んでいる。
ひっじょーに悩んでいる。
人生の中で最も悩んでいると言って間違いない。
ただ今の俺の生存日数、三日。
どーしよ? どーしたらいい?
むしろどうしようもないってのが答えだとは分かっている。いくら俺でも分かっている。
色々な意味でどうしようもないと。生活の全てを人に頼らなければ生きていけない身体なのだから。
まぁ生活面は赤子だから面倒見てもらってもいっか~って事でいいんだけどねー
問題は『俺』はどうなった? ってとこだよな。
なんだか生まれ変わってしまったらしいので、濃厚なのは過労死だ。病気なんてしてないのでそれしか思いつかない。
―――都内に住む男性(二十七歳会社員)が倒れているのを男性の同僚が発見。病院に搬送されたが死亡が確認され死後二日は経過しているとみられた。死因は過労によるものと思われ―――
居た堪れない。居た堪れないよ………親に顔向け出来ないよ……息子過労死って、やりきれんだろ。
………やりきれないと思ってるよね? おかん? 思ってるよね!?
まぁ今更、ここに生まれ出てしまってから思い悩んでも仕方がない。なるようになれというものだ。
おかんにはおかんの人生を面白おかしく生きて頂くとして、それを――誰が祈らなくても突き進んでいきそうだが――祈っておこう。出来るのはその程度だ。
あ。人生最大の悩みが終わってしまった。
どーしよ。暇になっちゃったよ。
「―――――」
うんうん考えているところに、青っぽい髪した今生のおかんが、にこにこしながら何事か言って俺をだっこした。
顔立ちははっきり言ってよくわからん。なんか度がきつい眼鏡をかけられているようで色ぐらいしか認識出来ないのだ。
それでも青っぽいという事は今時の娘っこなのだろう。
なんで赤子はこうも視力が悪いんだ……これじゃあせっかくの若い母親を堪能出来ないじゃないか。
他で堪能してるといえばそうだが……いや、諦めるな俺。根性さえ出せば視力なんて!
…………み…………みえ……………みえなーい。
あぁ俺馬鹿? 今ふと我に返っちゃったよ。何してんだよ俺。赤子が考える事じゃねーよ。こえーよこんな赤子。
「――――」
よくは見えないくせに、にこにこしているのだけは分かる。これは親子の絆がなせる業なのだろうか。
暇なので一つ考えてみる事にしてみるとみせかけて、考えても答えが出ないのが分かっているので止めにする俺。
それよりも、耳が悪いせいか何と言っているのか聞き取れないのがもどかしい。
胎内に居たころには聞こえたのだが、外に出たら聞こえないという摩訶不思議な状態になってしまっているのだが、これも成長過程でうまく調整されていくだろうと結論が出て思考が終わる。
………また暇だよ。もうちょっと悩もうよ俺。
きっと『早く大きくなるのよー』とか、『ご機嫌ねー』とか『どうしたのー』とか言っているのだろう。
全く理解できないが暇なので、『あー』『うゅー』『うー』『うぇー』『おー』と言ってみる。
あいうえお。と発声してみたのだが、イが出来ない。エも出来てないが、まだ優秀な部類だろう。なんとなく聞こえない事もない。
俺、すごくない? 生後三日ですごくない?
………………
やめよう。なんか恥ずかしい。
むっつり黙り込んだ俺を見て、おかんは首を傾げてトントンと背中を撫でながらいつもの子守歌を歌いだした。
眠たくなったと思ったのだろう。
艶っぽいなと思った声は子守歌を歌うときは、ものすごく優しくなる。
めちゃくちゃ愛されてるなーと、恥ずかしくも素直に嬉しく思えるぐらいに、満たされてしまう。
無意識におかんに手を伸ばすと、さらさらといた髪が手に触れて、その髪を掴む。ひっぱったら絶対痛いよなと思って、ひっぱらないように注意して、おかんを掴めている事に安堵して俺は瞼を降ろす。もう何回目かになる習慣。
おかんといるのってこんなに幸せなんだなぁって初めて感じた。
本当は感じてたんだろうけど、大人になるにつれて記憶が薄れてしまって、思い出せなかったのだろう。
ありがとうなって、前の生で言えなくて今更悔しくなってしまった。
今度はしゃべれるようになったら真っ先に言おうと思う。何しろ子供だから恥ずかしくない。これでもかというぐらいに攻めてやる。
ふへへへ。まってろよ~おかん~
最後はやっぱり変な思考が混ざってしまった気がするが、俺は気分良いままにへらっと笑って眠った。