表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/129

第二十五話 忘れかけた友の影

非常に短いです。


 大きなあくびをして背を伸ばし、さっさと引き返すキルミヤ。

 僕はその後姿を見つめ、小さく首を振った。


 どうして何も聞かないのだろうか。

 侵入者は何者か。僕と関係があるのか。僕は何者なのか。

 

 他にも、どうして無視していたのか。

 どうして精霊の事に詳しいのか。

 どうして魔術に詳しいのか。

 魔術に詳しい者がどうして学院に入っているのか。


「おい、ぼさっとしてないで」

「あ、はい」


 慌てて走って追いつくと、キルミヤはまた歩き出した。


「あなたは変わった人ですね」


 キルミヤは眉を寄せて不機嫌そうな顔をした。


「お前に言われたか無いね」

「僕が何者か気にならないのですか?」

「聞いたら答えるのかよ」

「いえ」

「じゃ、聞いても仕方が無い」

「そこで納得するのが変わっているんですよ」

「うっせ。人にはいろいろ事情ってもんがあるだろ。そんなのいちいち聞いてられるか」

「……そうですね」


 それはそうなのだけれど、好奇心を抱きそれを止められる者は少ないとよくよく思い知らされてきた。

 最初から興味すらなければその限りではないけど、僕が追いつくのを待っている所を見れば何の感心も無いという事はないだろう。それでも何も聞かないのは彼が生きてきた人生()ゆえか。


 なんだか似ているなと思ってしまった。

 姿かたちは全く違うけれど、あの人に会っているような、そんな気になってしまう。


「何笑ってんだよ気色悪い」

「すみません。また明日から僕は無口になると思いますが、気にしないでくださいね」

「へいへい。お前は電波ちゃんだからな」

「何ですかそれ。良い意味ではなさそうですね」

「いやいや。褒め言葉だよ? 俺の地方じゃもうすんごい褒め言葉」

「……しらじらしいんですよ」

「ひどいっ。純真な少年を捕まえて」

「少年って……もう大分厳しいでしょうに」

「うわー。容赦ないな」

「すみません」

「ったく」


 僕は大きく踏み出しキルミヤの前に出た。


「あなたが同室で良かった」

「んだよ気色悪い」


 心の底から嫌だという顔に心がほころぶ。


「いいですよ。気色悪くても。明日からは石ですから」


 そういって走れば、溜息を付きながら追いかけてくる足音が聞こえた。


次から二章に入ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ