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1年後の男


男「こんな男どう思う?」



女「ウジウジ男と変態男?自意識過剰なんじゃないの」



男「厳しいね(笑)」



 僕が彼女に衝撃の発言を受けてから一年後。




 その時と同じ日付け、同じ喫茶店の同じ席で、僕はなぜか、友人と向いあっていた。脳裏に一年前の苦い記憶がチクチクと蘇ってくる。それを知ってか知らずか、この友人はこの喫茶店に強引に僕を連れてきた。

 

「…どう思う?」


 友人は僕さっきまで僕に打ち明けてきた悩みなど忘れて訪ねてきた。


「どう思うって……まずは顔見知りになれるように努力すれば…」

僕。



「いやさ、やっぱりあの娘好きなんだよ。俺」


大学の友人、前田マエダは心苦しそうに言った。前髪を必要以上に気にしている。誰も気にしてない、そう言ってやりたかった。彼は続けた。

「俺さ、奥手だから好きな娘の目も見れないんだよね」



その好きな娘は、ほんの数秒前、僕たちのテーブルにアイスコーヒーを持ってきた女性店員だ。

 またオンナを泣かせるのか?僕はそう思うけど口には出さない。

 

「…そうだったね」


そう僕の同意を得ると、彼はロックオンした相手にどうやってお近づきになればいいか考え始める。その顔は男の僕から見てもカッコいい魅力的な容姿をしている。前の恋愛が終わると、間一髪いれず次の女性が彼の横につく。いやむしろ重複してることが多いぐらいだ。この2年間、いやでも恋愛格差と言うものを認識させられた。


「やっぱ会計の時、話しかけるかなあ」


「どうやって?」

「別に…世間話して、ガードが堅かったら名前ぐらいは…ちょっと押せそうなら連絡先かな?」


「ハハ…いつもながら勉強になります」


彼の自信には笑うしかない。友人として、その自信と容姿を少しでも僕に分けて欲しいものだ。


「そんでもってあとは笑顔で会話」


 自分の顔の口角を指さし、彼は伝票を手に持つと席を立ち、レジに向かった。

 僕はなんだか落ち着かない気持ちでその後に続いた。

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