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第二十六章 ドラゴンの涙

〈長、里に接近する者がいます〉

 と、一頭のグリフォンが遠方の山脈に目を凝らしながらルミウスに報告した。

 ルミウスは期待に満ちた瞳で山の方角を見たが、相手の正体を捉えると小さく肩を落とした。

〈リヴィアだな〉

 その言葉で、一緒にいたイザベラも落胆した。

 今朝から行方不明のテオがどこからか戻って来てくれたのでは、と期待しただけに二人のショックは大きかった。

 里に降り立ったリヴィアは、彼らの間に漂う重い空気感も素知らぬ感じでフーッと息を吐いた。

〈リヴィア、すまないが今は立て込んでいてーー〉

 と、声をかけるルミウスをリヴィアはシーッと静かにさせた。

 彼女は椀形にしていた前足をそっとルミウスに差し出した。

 覗き込んだルミウスは一瞬驚いてから、すぐにフッと微笑した。

 夫に呼ばれてイザベラは駆け寄ると、思わず感極まって叫んでしまった。

「テオッ!」

 グリフォンの姿に戻ったテオが、リヴィアの手の上で丸くなりながら小さな寝息を立てていた。

〈この子のおかげで大変な目に遭ったわ〉

 と、リヴィアは聞こえよがしに大きなため息を吐いて愚痴をこぼした。しかし、可愛らしい寝顔を浮かべるテオを見つめる瞳はとても慈愛に満ちていた。

〈なにがあったんだ?〉

〈この子ったら、一人でオスニエルの街に行ったのよ。どうやら、あそこの人たちが本当に魔物を忌み嫌っているかどうか、自分自身で確かめるつもりだったみたい〉

「まさか、グリフォンの姿で?」

 ドキッとするイザベラを安心させるようにリヴィアは微笑んだ。

〈大丈夫よ。ちゃんと人間の男の子になってたから、誰にも危害は加えられていないわ。ただ、まだ幼いゆえに変身魔法の持続時間に限度があったみたいで、途中から足元がおぼつかなくなっていたわ。ここへ向かう途中で魔力が切れて、グリフォンに戻ってしまったの〉

〈息子が面倒をかけたみたいですまなかった。感謝するよ、リヴィア〉

「母親として私からも感謝するわ。ご迷惑をかけてしまって、本当にごめんなさい」

〈いいのよ。私の方こそ謝らないといけないことがーー〉

 そのとき、数頭のグリフォンたちを伴ってテオの捜索にあたっていた浦辺が戻って来た。

「リヴィアじゃないか。丁度よかった、テオが行方不明でーー」

〈シーッ、静かに…。彼ならとっくにご帰還よ〉

 と、リヴィアは浦辺にもテオを見せた。

 浦辺は目を丸くしてテオとリヴィアを交互に見た。

〈手間をかけさせてすまなかったな、ウラベ。テオのヤツめ、単独でオスニエルまで行っていたらしいんだが、リヴィアが無事に里まで連れ戻してくれたんだ〉

「テオがオスニエルに? …それじゃあ、あの王国のことや退魔の教えを?」

〈だろうな。精神的にも参っているだろうから、今はゆっくり休ませてやろう〉

 リヴィアから託されたテオをルミウスは背に乗せると、ゆっくりとその場から離れた。その間も、テオはスヤスヤと気持ちよさそうに眠っていた。

「お疲れでしょう? 今日は里で体を休めるといいわ」

 と、イザベラがリヴィアを労った。

〈それは嬉しいわ、ありがとう。…そうそう、これも渡しておかなきゃ〉

 リヴィアはテオと一緒に持っていた「魔法律議書」をイザベラに渡した。

〈オスニエルの教会にいるシスターが、テオへのプレゼントにくれたの。目を覚ましたら渡してあげて〉

「ええ、分かった。今日は本当にありがとう、リヴィア」

「ボクからも礼を言うよ。ありがとう」

 リヴィアは得意げに空を見上げて胸を張ったが、その表情がかすかに曇っていたのを浦辺とイザベラは気付かなかった。

 その後、ルミウスは群れのグリフォンたちを招集すると、眠っているテオの様子を看る者、オスニエルへの偵察に向かわせる者、近辺に不審な人影が近付いて来る気配がないかどうか見回って確かめる者と、それぞれに役割を与えた。

 グリフォンたちが長の号令で一切にそれぞれの任務に就いた後、ルミウスは少し離れた所で身を伏せて休んでいるリヴィアの所へ向かった。先ほど、彼女がなにを言いかけたのかを確かめるためである。

 話を聞き終えたルミウスは神妙な面持ちを浮かべて戻ると、リヴィアの話し相手になってやってくれないかと浦辺に頼んだ。純粋に、彼なら相応しい聞き手になってくれると思ったからだ。

 引き受けた浦辺は、リヴィアのそばへ行き彼女の横に座った。

 リヴィアは長い首を伸ばし、夕暮れ時に差しかかっている茜色の空を見上げていた。

 その表情は考え事をしているのか哀愁が漂っており、浦辺が横に来ても気付いていなかった。

「大丈夫?」

 浦辺が声をかけると、リヴィアはようやくハッとした。

〈…あら、いたの? 驚かさないでよ〉

「驚かせるつもりはなかったけど、ごめん。…それで、大丈夫?」

〈大丈夫かって? ええ、もちろん〉

「そうは見えないね。口数も少ないし」

〈私ってそんなにおしゃべりだったかしら?〉

「人の話を聞かない程度には」

〈言ってくれるわね〉

「冗談だよ。物思いに沈んでるような顔をしてたから」

〈私が? してないわ。どうしてそう思うの?〉

「表情を見れば分かるよ」

〈それはウソね。表情だけで私の気持ちを読み取るなんて、普通の人間にはまず無理よ〉

「どうして?」

〈決まってるでしょう? それは私が………ドラゴンだからよ〉

「それが悩みなのか?」

 一瞬の言葉の濁りを捉えた浦辺の指摘に、リヴィアはドキッと目を見開いた。

 しばらくの沈黙が流れた後、リヴィアは諦めたように弱々しく苦笑した。

〈ええ、そう。あなたの言う通り、それが悩みの種よ〉

「よければ聞かせてくれないかな?」

〈…分かった。私は、今日ほどドラゴンとして生まれたことを悔やんだことはないわ〉

「というと?」

〈今日、無鉄砲にもオスニエルの街に一人で来たテオを私は見付けて保護したの。そのとき、言うまでもないけど私とテオは魔法を使って人間の姿になっていたわ〉

「人間に変身出来るのか」

〈あら、見縊ってもらっちゃ困るわね〉

 と、驚く浦辺にリヴィアはフフンッと得意げになった。

〈そのまま人の姿で王都を出られればよかったんだけど、街を出るときに不運にも憲兵騎士団のロディルに鉢合わせてしまったの。それともう一人、胡散臭い頬骨の男にもね〉

「…あいつか」

 頬骨の男、というワードに反応した浦辺がつぶやいた。

〈あら、知り合いなの? …そういえば、あのときはそれどころじゃなくて気にしていなかったけど、あなたと同じ異世界人の香りがしていたわね〉

「当然だよ。そいつは、ボクと同じ日本から召喚された高瀬実という男だからね。強盗致傷と殺人未遂を働いて、向こうでもあっちこっちから追われている悪党さ」

〈あの男、そんなワルだったの? 道理でいけ好かないと思ったわ〉

 高瀬の憎たらしい顔を思い出したのか、リヴィアは顔をしかめて鼻を鳴らした。

「高瀬になにかされたのか?」

〈私は違うけど、テオが酒場であの男とちょっと揉めたのよ。それがあって私がヒヤヒヤしていたら、たまたま教会で知り合ったアイリスがかばって助けてくれたの〉

「高瀬が酒場にいたのか?」

〈そうよ。カウンターの席に座ってテオと一悶着起こしかけていたわ〉

「………」

〈どうかしたの?〉

「…いや、なんでもない。ともかく、キミたちはアイリスが助けてくれたおかげもあって、何事もなくオスニエルから出られたんだね」

〈何事もなかったとは言えないわ〉

 と、リヴィアは翳りの見える表情で言った。

〈あのとき、ロディルがいきなりテオに剣を向けたの。母親のイザベラと同じ目をしていると気付いたあの男は、テオが人間に姿を変えたグリフォンだとすぐに見破ったの。しかも、私にまで疑惑を向けたわ。それで私は、テオと自分を守るためにやむを得ず街の大通りでドラゴンの姿に戻った。途端に、オスニエルの街は大混乱になったわ。あそこは魔物を拒絶する街なんだから、そうなることは私も承知していた。

 …なのに、激しいショックに襲われたわ。輸送業を営む駄載竜としてこれまで数多くの街を訪れて来たけれど、今日のオスニエルみたいに私の本当の姿を見て恐怖する人間をじかに見たのは初めてだった。あの瞬間、私は思い知ったわ。自分が正真正銘のドラゴン、つまり魔物なんだって…。育ての親である人間に寄り添い、よき理解者でありよき友だちとしてこれまで生きてきた私にとって、唐突に突き付けられたその現実はあまりにも辛かった〉

 淡々と語るリヴィアに浦辺は黙って耳を傾けていたが、やがて鼻をすする音が聞こえハッとした。

 黄金色の虹彩を滲ませた瞳から涙がしたたっていた。

〈きっと、親しかった友だちも私の正体を見てしまったはずだわ。…でも、それで私を拒絶することになっても仕方がないことだと割り切る覚悟は出来ている。唯一割り切れないのは、私の勝手な行動でオスニエルの人たちに一層、魔物が恐ろしい存在だと思い込ませてしまったかもしれないことよ。それによってルミウスたちが折角築いた共存社会に亀裂が生じたのなら、私は取り返しのつかないことをしてしまったことになる。そう思うと、悔やんでも悔やみ切れなくて…〉

〈悔やむことなんてない〉

 背後から声が聞こえ、浦辺とリヴィアは同時に振り返った。

 ルミウスとイザベラ、そして眠りから覚めたテオが立っていた。

〈気を病む必要なんてないんだよ、リヴィア。キミは親しい者たちとの関係が絶たれてしまう覚悟を持ちながら、身を挺して私たちの大切な息子を守ってくれたんだ。そんなキミを誰が責めると言うんだ? だろう、イザベラ〉

「ええ、そうよ。私たちは、あなたを責めるつもりなんてまったくないわ。むしろ、テオを無事に連れ戻してくれたことにとても感謝しているの。だから、思い悩まないで」

〈だけど…〉

 悲しげな表情でうつむくリヴィアにルミウスは歩み寄った。

〈よく聞くんだ、リヴィア。私はね、今の世界をイザベラとともに築き上げた瞬間から、立ちはだかる困難はすべて神が我々に与えられた試練だと信じるようにしているんだ〉

〈試練…?〉

〈そうだ。太古から人間と魔物は対立関係にあった。決して手を取り合うことのない種族がともに生活を営む世界など、常識では考えられないしあり得ないことだ。だからこそ、そんな現実性を帯びない社会を実現した私たちには今の平和を維持させる責任が伴われる。

 その責務を果たす上で、神は様々な試練を課せられているのだと私とイザベラは思っている。試練とは、必ず乗り越えられるものだ。今直面しているのもその一環であるならば、私たちは必ずそれも乗り越えられる。だから、どうだろう? 私たちと一緒に、キミもその試練に立ち向かおうじゃないか〉

〈私も一緒に…?〉

 当惑したリヴィアは目を泳がせたが、ふと手元に温もりを感じて下を向いた。

「誇り高いドラゴンなんだろう? リヴィアなら出来るさ」

 大きな前足に手を添えた浦辺が、邪気のない澄んだ瞳でリヴィアを見ていた。

 鱗に覆われたリヴィアの頬にハッキリと赤みが差した。

 誇り高いドラゴンとして、潤う瞳からこれ以上涙を流さないよう努めたリヴィアは、人間味のある微笑みを浮かべてゆっくりと浦辺に顔を近付けた。

〈ありがとう、ウラベミチオ。心優しい異世界の人…〉

 撫でられるのを望むかのようにリヴィアは目を閉じた。

 そんな彼女の頬に浦辺は優しく触れた。

 安心感を与えてくれる懐かしくも身近な感触にリヴィアは喉を鳴らした。

 そのとき、翼をしならせたテオがトボトボと彼女のそばに歩み寄った。

〈ごめん、リヴィア。あのとき、リヴィアの言う通りおとなしく里に帰るべきだったのに、わがままばかり言って。ボクが勝手なことをしたせいで辛い思いまでさせちゃって、本当にごめんなさい…〉

 と、テオは嗚咽しながらリヴィアに謝った。

 そんな彼に、リヴィアは微笑みを浮かべた。

〈ねぇ、テオ。私はね、これでも一〇〇年近くは生きてるの。テオは今何歳?〉

〈五歳だけど…〉

〈五歳か…。純血の魔物ならまだ言葉すら扱えない年頃だけど、あなたはイザベラの血を引いているから、肉体的にも精神的にも成長が著しく早いのね。その分、色々なことにも立ち向かおうとする勇敢な心も備わっているんだと思うわ。…それでもね、ルミウスたちにとってあなたはまだ子どもなの。心配するのが当然なの。だから、これからは彼らのためにも絶対に無茶だけはしないと約束して。いいわね?〉

 テオは一瞬うつむいたが、顔を上げるとリヴィアの目を見てしっかりと頷いた。

〈いい子ね〉

 リヴィアは大きな舌でテオの頬を優しく舐めると、グルルル…と喉から温もりのある音を鳴らした。

 大昔、卵の中で丸くなっていた彼女が何度も聞いたその音は、母親のドラゴンが子守歌のように聞かせてくれた鳴き声と同じだった。

 果たしてそれがグリフォンの子にどう聞こえたかは定かではないが、込み上げる母性本能に抗うことなく喉を鳴らすリヴィアの頬に、テオは自らの頬を寄せ甘えるようにクルル…と喉を鳴らした。

〈ところでウラベ、朗報だぞ。キミを元の世界に戻せるかもしれない〉

 と、ルミウスが浦辺の横に来て言った。

「本当ですか?」

〈テオがオスニエルのシスターから譲ってもらった『魔法律議書』に目を通してみたんだが、そこに召喚魔法の対象から外れるための手立てが記されていた。それを使えば、元の世界へ戻っても二度とディアドロス国王たちの所に召喚される心配はないだろう。ただ、条件を満たすためには月の光が必要らしい。好都合なことに今夜は満月らしいから、明日まで猶予をくれないか?〉

「もちろんです。お願いします」

 と、浦辺は頭を下げた。

〈もう帰ってしまうのね。寂しくなるわ…〉

〈ボクも。もっと一緒にいてほしいよ〉

 と、リヴィアとテオが揃って残念そうに言った。

「出来ればそうしたいけど、突然いなくなったボクを向こうの知り合いが捜しているだろうからね。その人たちに迷惑をかけているから、そろそろ帰らないと。テオならその人たちの気持ちが分かるだろう?」

〈…うん、分かる〉

 と、テオは勝手で飛び出したことを激しく叱り、そして無事に戻って来てくれたことに深く安堵したときの両親の顔を思い出しながら言った。

〈また会える?〉

 リヴィアの問いに浦辺は曖昧そうに小首を傾げたが、すかさずルミウスが割って入った。

〈会えるさ。森のオアシスを経由すれば、いつでもこの里へ来られるんだからな。もっとも、ウラベが想い人…もとい、想い竜の気持ちに応えてくれるかどうかだが〉

 ギョッと振り返る浦辺に、ルミウスはイタズラに成功した子どものような笑みを浮かべた。

 彼の隣にいるイザベラも察したらしく、頬を赤らめてクスリとした。

〈また来てくれる?〉

 と、動揺する浦辺にリヴィアはヌッと顔を近付けた。

「よ、予定が合えば…」

〈頼りない返事ね。…よし、なら仕方がないわ。明日には帰っちゃうんでしょう? だったら、今夜は私と一緒に過ごしてもらうわ。ニホンという国の話も充分に聞けてないしね〉

 そう言うと、リヴィアは巨大な前足で囲いを作って浦辺を閉じ込めた。

〈ボクも聞きたい!〉

 と、テオもその中にピョンッと飛び込んだ。

 当惑する浦辺を揃ってからかう二頭の魔物をルミウスとイザベラが微笑ましく見つめているとき、オスニエルの偵察に出向いていた一頭のグリフォンが里に戻って来た。

〈ただいま戻りました〉

〈ご苦労だった。オスニエルの様子はどうだ?〉

〈自分が到着したとき、まだ街は騒然としていました。間もなくして血相を変えたディアドロス国王とエドガー牧師が広場に現れ必死になだめていましたが、それでも都民の興奮は鎮まる気配がなく両者とも途方に暮れていました〉

〈かなり混沌を極めたようだな。…まあ、想定はしていたが〉

〈最終的にカルトレイクとイリーナから衛兵の増員を要請し、街の警備体制をこれまで以上に強化させる方針を打ち立てたことで、ようやく落ち着きを取り戻したようです。今回みたいに魔法で人化した魔物が潜り込んでいないかどうかの警備を重点的に徹底するらしいので、迂闊には近寄れない状況になっています。…それから、自分が引き上げる寸前にディアドロス国王が広場で発表したのですが、エドガー牧師が城の中で自害したそうです〉

〈自害だと?!〉

 と、ルミウスは思わず声を上げてから慌てて口をつぐんだ。

 恐る恐る浦辺たちの方を見ると、彼らは相変わらず楽しそうにはしゃぎ合っていた。

 ルミウスたちは少し離れた場所へ移動し話を再開させた。

〈確かか?〉

〈間違いありません。騒動の沈静化から間もなくして、馬車に乗って広場に現れたディアドロス国王が慌てた様子で緊急の招集をかけ、都民に牧師の死を伝えていましたから。ご丁寧に、毒物を飲んで息絶えていたという具体的な状況まで説明して〉

「どうして自害なんて…」

 と、イザベラが胸に手を当ててつぶやいた。

〈国王たちが都民をなだめているときですが、彼らが揃って十字架の効力が発揮されていないと非難しているのが聞こえました。どうもオスニエルの十字架には、魔物を寄せ付けない魔除けの効果があると言われているようです。国王がそう公言していたのでしょうが、ドラゴンであるリヴィアが街中に現れたことで、都民はその主張が根拠のないデタラメだと確信を得て抗議の声を上げたと思われます。恐らく、それが自害の原因ではないでしょうか?〉

〈もしくは、集中的な糾弾を浴びたことよりも信仰深い街の人間を裏切ってしまったことに深い責任を感じて、自ら命を絶つ選択をしたのかもしれない。どちらにせよ、牧師が自ら命を絶ったのは紛れもない事実というわけだ〉

 と、ルミウスは暗澹とした顔でため息を吐いた。

〈早速、ウラベにも伝えましょう。彼は牧師の指示でこちらの世界に召喚された身ですからね〉

 と、浦辺の元に向かおうとするグリフォンをルミウスは止めた。

〈明日、私から彼に伝えるよ。だから、今はよしてほしい〉

「私も賛成。そばにリヴィアもいるし、これ以上彼女の心を抉りたくないわ」

 と、イザベラは浦辺とテオと楽しそうにしているリヴィアを見つめながら言った。

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仕事が繁忙期に突入して、帰っては食べて寝る帰っては食べて寝るを繰り返しているうちにすっかり読む時間が失われてしまってました・・・( ノД`) ということで、週末には読むぞ!と思って読みにきましたが、前…
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