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謎の少女Ⅴ

「ん、んん……」

「目、覚めましたか?」

「わぁ!?」

「ええ!?」


 いきなり少女の顔があって思わず声を上げて起き上がってしまった。

 しかもそれによって少女を驚かせてしまって悪いと思う。

 だけど誰でも驚くであろう。起きたら頭の下が軟らかく、暖かい太ももがあり、真上には傷ついた少女の顔があれば。

 

「ご、ごめん……」

「気にしないで下さい」


 そう言いながらも少女の顔は心なしか赤い。

 しかも俺とわざと目を逸らしている。

 ふむ。もしかして嫌われてしまったのか?

 

「そ、そういえば気分はどうですか? 多分、大丈夫だと思いますが……」

「そういえばそうだった」


 俺は確認のためにその場でジャンプをしてみる。

 うん、何ともないな。

 むしろ体が軽いぐらいだ。


「大丈夫みたいだ」

「それは良かったです」

「君の方こそ大丈夫なのか? かなりボロボロだけど?」


 意表をつかれたらしく少女は自分の体を見る。

 「あ」と小さな声で呟いた後、少女が俺を再び見る。


「大丈夫です。見た目だけで傷はそれほど深くないです。それに私は特別ですから」

「へ~そうなのか。なら俺達二人とも無事というわけか」

「そうですね」


 二ッコと少女は再び笑った。

 初めて会った時は変な子と思ったけど実は良い子だったんだな。

 感謝しないと。


「ありがとうな」

「え?」

「だからありがとうな。色々世話になったし」


 面と向かって言うのは照れくさいから、目をそらして言った。

 なんか顔が熱いな。絶対に俺の顔が真っ赤だな。

 

「あ、え~と……ど、どういたしまして!」

「ぷっ。なんで君が頭を下げるんだよ?」

「あ、え~と……な、なぜでしょうか?」

「ぷっ……あははははは!」


 あ~面白い。天然なんだな、この子は。

 天然で良い子なんだ。

 本当に桜とは大違いだ。

 桜も少しは見習ったほうがいいと思う。


「俺は西条音也。君の名前は?」

「え。私ですか?」

「君以外は、誰もいないだろう」

「そうでした。私は、エイミー・ドリーン・エージーです」

「長いからエイミーでいいよな?」

「はい。よろしくお願いします音也さん」

「よろしく」


 空には月が輝いている。

 それに星だって輝いている。

 そして旅を出て一人きりだった俺の目の前には今、少女がいる。

 月明かりに照らされながら笑顔を浮かべている。

 ガラスの玉のように綺麗で儚い笑顔を浮かべながら立っている。

 今、俺の目の前で―――。

 


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