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水辺のできごと…

♪ピーポー ピーポー


「お父さん、また救急車だよ」


「そうだな…今日のミッションは成功したのか?」


とある場所の川辺で、ひっそりと会話をする謎の親子。


その場所とは、町外れにある自然豊かなキャンプ場。


透き通るような冷たい水が流れる川と、深い緑にいだかれたその場所は、県内・外から涼を求め多くの人達が訪れる。

と同時に、毎年必ず悲しい出来事が起きてしまう…

いつも同じ あの川の…あの場所で…



毎年のように同じ場所へ救急出動する隊員達もまた、違和感を感じながら日々任務を遂行していた。


そこへ

「救急要請!救急要請!

森林キャンプ場へ直ちに出動!」


今日もまた消防に救助要請が入った。


「またあの場所か!?」

「いったい何があるんだ?あの川に…」

そして、隊員たちは神棚に一礼し出動した。


幸い 今回の救助者は一命を取り留めたが、その表情は常に何かに怯え、川での出来事をいっさい言葉にできない様子だった。


毎年、毎年、あの川の同じ場所で起きてしまう悲劇…

偶然ではない、何か得体の知れない力が作用しているような いわく付きの場所。


昔の人達は言う


(お盆の季節には決して水辺に近づくな)

(淋しい、淋しい魂が水辺に集い、仲間に引き入れようとする)と…


このキャンプ場にあるその場所も、哀しみに暮れる魂たちが戯れているのだろうか?



「お父さん、今日の人は連れて行けなかったね…」


「あぁ…助かってしまったようだな…」

「次はうまく引き込まないとな…」


そんな会話をしているこの二人もまた、この水辺に彷徨う哀れな親子なのだろう。



サッサッサッ(榊を振る)

パン!パン!(拍手)


今年の夏もまた、水辺の安全に祈りをささげる音がする。



すると、不敵な笑みを浮かべながら少年が言った。


「ふふっ そんなことしてもボクらの居場所は無くならないよ」


「ネェ お父さん……」


そう…

このキャンプ場の水辺には、暗闇から抜け出すことのできない魂達が未来永劫集う場所なのだから…


最後まで読んでいただきありがとうございます。

こちらは、小説家になろうラジオのホラー企画に投稿した短編の作品です。

パーソナリティ下野さんの声色を想像して読んでみて下さい!

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