15話「天使のフラグ収穫祭!?陸の何気ない一言が、美来を揺らす」
冬の冷たい風が屋上を吹き抜ける中、屋上ベンチに座る美来と陸。
美来はまだ少し頬を染めたままだったが、どこか穏やかな表情を浮かべている。
「ねぇ、陸」
「ん?」
「……その、さっきの言葉、ちょっと嬉しかった」
陸はおかずの卵焼きを口に運びながら、ゆっくりと返事をした。
「へぇ。意外だな、美来がそういうの素直に言うなんて」
「だって……陸は、わたしのことずっと隣にいてくれる人だから」
その言葉に、陸の目がほんの少しだけ柔らかくなる。
けれどそれをすぐに隠して、いつもの冷静な顔に戻した。
「そうか。俺も、美来がいるから頑張れてるんだと思う」
「……そうだよね」美来が小さくうなずく。
そのとき、廊下から声が響く。
「美来、陸!ちょっといいか!?」
ドアが勢いよく開いて入ってきたのは、制服姿の優斗だった。
しかし彼の様子がいつもと違う。顔に痛みを浮かべ、右手をぎゅっと握っている。
「お兄ちゃん、大丈夫?」美来がすぐに駆け寄った。
「……うん、ちょっと足をくじいただけだ」
優斗は苦そうに笑ったが、その右足からは明らかに異変があった。
少し血がにじんでいる。
「警察署のパトロール中に、段差で足を踏み外したんだ。仕事中だったけど、たまたま近くにいたから病院に行く前に顔を出した」
「そうだったんだ……」美来は少し顔を曇らせた。
「心配するな。俺は大丈夫だから」優斗はそう言いながらも、少し弱々しい表情を隠せない。
「じゃあ俺も付き添うよ」陸がきっぱりと言った。
「いや、いい。これは大したことないから」
しかし、陸の顔には「放っておけない」という決意がにじんでいた。
美来は陸の態度に、心の中で小さくドキリとした。
「いつも、わたしのこと守ってくれてありがとう」そう呟いた。
屋上の冷たい風と、冬の陽射しの中でゆっくりと変わっていく二人の関係。
けれど、そんな温かな時間を突然、現実が引き戻す――。




