1-4 『俺の一目惚れ』
誤字脱字、下手な文の構成にはなってると思いますが、大目に見てくれたら幸いです。((*_ _))ペコリ
馬車に乗った俺と、優輝、そしてラミ。乗車中に真剣な顔をしたラミが屋敷のルールの説明をした。
「あたしの屋敷にはどの部屋よりも目立つ赤い扉があるけど、赤い扉だけは許可なく入ってはいけない。夜23時~5時の間は部屋を出てはいけない。万が一何かあったなら、大声であたしを呼んでほしい。」
「なんで出ちゃダメなんだ?」
「屋敷の事情で、あたしとメイドと番人以外はだめなものがあるんだ。」
「それって大丈夫なやつ何ですかね?」
「何も心配ないよ、ルールだけ守ってくれればね」
──ウィンクをながらいうラミに、疑いの目をする優輝。でも、確かに不自然だ。
「23時以降に部屋から出たらどうなるんですか?」
「屋敷を追い出すしかないね」
「その事情っていうのはなんですか?」
「それは言えないことだよ。」
頑なに話さないラミになるほどと納得したかのような顔をした優輝。
──俺は何もわからないまま屋敷に向かった。
屋敷についた俺たちは顎が外れそうなくらい口を開けた。
「ようこそ!プリドーナ城へ!」
それはもうまさにイギリスにあるウィンザー城ような見た目だった。
入る前にはでっかい鉄製の門扉があり、入った先にはドがつくほどの広い庭、そこに建つ女神像の噴水や、大量のベンチ、凡人でも綺麗だと思える花が咲き誇っている。まさに人が憧れるような屋敷だった。
──こ、これが異世界の屋敷!さっきの王宮とはまた違った美しさがある!
馬車が中に入り玄関前に着いた。
「お帰りなさいませ、奥様」
「お帰りなさいませ、奥様」
「ただいまリリス、イヴ」
敬礼をする2人の姿、そこに立つのはメイド服を着た女性と女性の羊の亜人だった。
女性の方は、センチくらいで白髪のロングヘアーで銀色の大きい瞳で吊り目をしていて、中学生のようだ。
羊の亜人は、155センチくらいで白い毛並みで覆われていて、鋭い角と牙、女性と同様銀色の大きい瞳の吊り目となっている。
「紹介するわ、改人のほうがリリス、羊の妖怪がイヴ彼女たちは双子なの」
確かに声は似ていた。
「2人の歳はおいくつ何ですか?」
「2人とも93歳よ」
「93!?」
──この世界だと多分100歳や、200歳が普通なんだな。
「2人とも、彼らを301号室と302号室へ」
「かしこまりました。お客様中へどうぞ。」
「かしこまりました。お客様中へどうぞ。」
──そう言うと彼女たちは俺たちを誘導した。
中に入ると屋敷の中はすごかった。シャンデリアがあり、目の前には3階まで繋がっているドデカイ中央階段、そして両端に続く長い廊下、当たり前のようにあるベンチ。
「お客様、荷物をお預かりしましょうか?」
「お客様、荷物をお預かりしましょうか?」
そう言い手を伸べるメイドたち
──そういえば俺たちコンビニで夜食買ったときからずっと握ったままだったな。よくあんな振り回されて破れなかったもんだビニール袋。
「じゃあお願いするわ」
「僕もお願いします」
俺はリリスに優輝はイヴに、袋を渡して部屋まで誘導された。
「こちらの301号室がお客様のお部屋となります。」
「こちらの302号室がお客様のお部屋となります。」
──301号室に誘導された俺は、部屋を開けてもらうと広い部屋で、ベッドと机、イスなどホテルあるあるの物しかないな。
「お荷物はこちらに置いておきますね。」
ベッドの上に置くリリス
「奥様はまもなく皆さまをお呼びになるかと存じます。それまでのひととき、ご自由におくつろぎください。」
どこかへ行くリリス。俺は隣の部屋の302号室、優輝のところに行った。
「おいおいこの屋敷ばっか広くねぇか?」
「どれが何の部屋なのかわからないから探索してみよう」
俺たちは各部屋を探索することにした。
3階の色んなところを回ったがどれも客人用の部屋だけだった。
2階には多分スカーレット・ラミと書かれた部屋と、リリスとイヴと書かれた部屋があった。それ以外に図書室、会議室、など、重要そうな部屋が多くあった。
1階には広間、食堂、トレーニングルームや、バスルームなど主要となる部屋がほとんどだった。
キッチンに行くとリリスとイヴが料理をしていた。
俺たちは玄関前へ戻りベンチに座って会話をした。
「これからどうするよ。」
「今は情報が足りなさすぎるから、情報収集が先だね。路地裏にいる時のラミの顔見ただろ、この世界は妖怪、人間が共存していると思ったら、まるで人間を恨んでいる顔をしていただろ。それに、この屋敷も正直安全かがわからない。」
「確かになんで改人は何も言われていないのに、人間と言ったらあんな顔をするのか…
色々考えたが、何もわからない。
「馬車で話してた時、赤い扉があるって言ってたけど、あったか?」
「いや見てないね」
この屋敷は広すぎる。もしかするとまだ見ていない部屋もあるのかもしれない。
そう思っているうちに階段から誰か降りて来た。
「まさかお客さんがいるとは」
見てみるとゴリラの亜人だった。
どこをどう見てもゴリラだった。
ただ言葉を話せるようになったゴリラだった。
服装はボクシングパンツ1枚だけだった
「あの、あなたは一体…」
「俺はゴン・ウェザー、この屋敷の番人をしている。って言っても、体術以外なんもできないけどな」
「体術以外できないって、お前魔法使えないのか?」
「ああ、俺は簡単な祈祷以外の全てを体術に注いでる」
──まぁ確かに、筋肉量はインドラ王より劣るけど、普通じゃあできない肉体はしている。
「お客様、ウェザー様。お食事の支度が整っております。食堂へご移動お願いします。」
イヴが迎えに来た。
「お、飯ができたそうだな。おんどれたちも来い、リリスとイヴの作る飯は美味えぞ」
食堂へ着いた。そこには七面鳥の丸焼きや、ロブスターなど、海外の豪華料理ばっか並んでいた。
「じゃあ命に感謝していただきます。」
ラミの一言
「いただきます。」
「いただきます!」
「いただきやす」
3人がそう言い早速ゴンが食いついた。
ただ俺たちは少し戸惑った。いきなりここまでの料理を食って大丈夫なのか、なぜここまでもてなすのか。疑問でしかない。
「遠慮しないで、あたしたちはお客さんが来る時毎回豪華にしてるの、まあ今日会ったばっかだから疑うのも少しわかるけどさ」
──正直言うと俺は腹ペコだ。いきなりこんな世界に連れて来られて、しかも夜食も食ってねぇ。
俺は迷わず食いついた。
優輝も一緒になって食いついた。
日本では味わえない味を美味しいと思いつつ食って食って食いまくった。
少しだけ涙が出た。
家が恋しい、ここの飯はうまい、だが家族も色々が重なった。今いるこの世界は夢ではなく現実。
そう思い泣きそうになりながらも飯を食った。
優輝は楽しそうに食ってる。
俺は優輝は友達として好きだが、こいつのメンタルには度肝抜かれるぜ。
「ゴン、あなたお客さんに自己紹介した?」
「ああ、紹介しましたぞ」
「リリスとイヴは?」
「いえまだしていません」
「はい、まだしていません」
リリスの次にイブが言った。
「じゃあ自己紹介しなさい」
リリスの一言で始まるメイドたちの紹介だ
「私はリリス・ヘンリーです。イヴの姉です。以降よろしくお願いします。」
「私の名前はイヴ・ヘンリーです。お姉様の妹です。よろしくお願いします。」
会釈をして自己紹介するメイドたちメイドカフェのような雰囲気を感じた。
「君たちはここのみんなに自己紹介した?」
「いやまだ何もしてなかった」
「じゃあ改めて、俺の名前は菅原秀光。王国の最高幹部に相応しい男だ!これからは光と呼んでくれ!」
「僕は島田優輝。神威者らしいですけど、何もできません。あと、優輝と呼んでくれると嬉しいです。」
「神威者と最高幹部に相応しいとは見た目に反して恐ろしい連中だなあ」
「で、あなたたちはどこ出身なんだい?」
ラミが話題を振ってきた。
少し考え込んだ。日本なんて言っても、この世界に日本があるとは思えない。それに、異世界転移したばっかで何も情報を得ていない。
優輝も少し戸惑っていた。
手がないと思った俺はもうやるしかないと思った。
──優輝俺に合わせてくれ!
「東の果てからきた」
「は、はい2人で東の果てから来ました。」
少し戸惑いながらも合わせられた優輝
──まじでナイスだぜ。さすが俺の親友!
「東の果てってルーズリーエのことかしら?」
「そこしか考えられないぜ。お前ら平凡に暮らしてたんだな?」
「おう、そこでニートしてたわけだぜ。」
「はいそうなんですよ!」
「なるほどね。だから魔法も、何もできないのね」
何が何だか全然理解できてないが、どうやらあたりをひいたっぽい。
「そう!そうなんだよ!だから魔法やらこの場所について教えてほしんだよ!」
そう必死に訴えた。
「わかった事情は理解できたわ。そうなら明日から図書室を使うといいわ。あそこなら、一般魔法も使えるわ。ただ第7感に関してはあなたたちの運命次第よ。」
「ラミの能力で第7感発揮できないのか?」
「私の運命を操る能力には条件があるわ。少し使うだけでも精気の消費が激しいのに、精気に余裕がなくなると変えた運命が自分に返ってくるわ。」
「そこまでのデメリットがあってなんで俺たちを助けたんだ?」
「あたしはね、あたしの思う正しいことをしたいんだ。」
「俺はラミについていくだけだ。ラミがそう思うなら俺もそう思う。それが俺のスタイルだ。」
どうやらこの屋敷の人たちはみんなラミに好意を抱いてるらしい。
「さて、今日はもう夜だし、私は明日、忙しいからもう寝るわね。」
「お風呂は沸いてるわ。入るなら入っておいて。それと、ルールは絶対破ってはいけないわ。23時〜5時までの間絶対に部屋から出ないでね。」
そう言いラミは食堂を出た。
「俺はもう風呂には入ったから好きにしてくれ。」
続いてゴンも食堂を出た。
残ったのは俺と優輝とリリスとイヴだけだ。
少し気まずい空気が溢れる。
学校で陰キャしまくっていた俺たちはこう言う場面だと全然話せなくなる。
「あのぉ、リリスとイヴはどうしてここのメイドをやってるんだ?」
リリスから話し始めた。
「私たちは、奥様に救われた身…。だからこそ、こうしてメイドとしてお仕えしているのです」
「救われた身って何かあったんですか?」
次にイヴが話を始めた
「私たちは、忌み子よ。」
「忌み子?」
「ええ、忌み子の私たちに居場所なんてなかった。それでも、奥様は私たちを見捨てず、この屋敷に仕えないか提案をしてきたのよ。だから、今の私たちがいるの。」
「なるほどです。」
──僕の推測からするに、恐らくこの世界に忌み子という存在があって、その種族は差別を受けている感じかな?
「まぁ、僕たちは忌み子は嫌いではないですよ。なので今後ともあなたたちとは仲良くさせてください」
「俺からもぜひお願いするぜ」
俺は察した。この世界では忌み子という種族はひどい差別を受けている。それを気遣って優輝は嫌いじゃないと発言したんだと。
「それは誠にありがとうございます。」
リリスが言うと同時に二人は軽く会釈をした。
「そういえば今何時?」
「現在20時です」
リリスから言った
「じゃあそろそろ風呂入りに行くか。ごっつあんです。」
「ごちそうさまでした。」
俺たちは部屋に用意されてあったパジャマとタオルを持って風呂場へ行った。
風呂場はとても広かった。温泉のようにド広い浴槽と、大量のシャワー。
浸かると疲れが取れるのと同時に、心が癒されていく感覚がした。
「ほんとにこれからどうすんだ優輝」
「時計を見たけどローマ数字が使われてた。この世界僕ら以外にも転移者いるのかもしれない。ただ、図書室のにある本の題名とか中を軽く見たけど、何一つ理解できない言語だった。」
「お前もう暮らす気満々じゃん…」
「いや、この世界のことを知ってからどうすれば現世に帰れるか考えようとしてた。」
優輝も無計画ではなかった。どうすれば家族のもとへ帰れるか考えていたところらしい。
ただこの世界に慣れない限り戻ることは不可能だと考えているようだ。
「ま、何事も勉強か…」
「そうだね、リリスさんや、イヴさんに勉強してもらうしかないね。それにいつまでここに滞在できるかもわからないし。」
そう話しているうちに22時近くまで時間が進んでいた。
俺たちは急いで風呂をでた。
自室に戻る最中図書室に寄って、絵本や国語の教科書らしきものを何冊か集めて戻った。
そして俺たちは自室の前まで来た。
「光ここは修学旅行でもないから、変に外に出ないでよ?」
「そんなんわかってるわ」
こうして俺たちはお互い別の部屋に入った。
──まさか俺がほんとに異世界転移するとはな。
そう思いながらも絵本や本に書かれている言葉について勉強した。
勉強している内に時計の針は0時を回っていた。さすがに2時間近く勉強していると疲れてくる。
──学校の勉強でもここまでやったことないのに俺って意外と才能あったのかな。
そう少し微笑みながら思っていた。
そう思っているうちに廊下から足音がする。
この時間帯廊下をうろついているということは、メイドのリリスかイヴか、それともラミか。俺は雑談相手が欲しかったから扉の近くまで行き呼び掛けた。
「おいそこにいるのはリリスか?それともイヴ?それかラミか?」
俺が話しかけると止まる足音、だが返事がない
「おいおい、返事なしとか失礼すぎるぞ?」
ネット環境に慣れていたこともあって扉の前だとなぜか陽気に話しかけることが出来た。
しかし何も返事もせずに足音が鳴り始めた。その足音はどんどん離れていく。
「おいどこ行くんだよぉ、返事くらいしてくれよぉ」
そう言いながら軽く扉を開けて隙間を覗いた。
ただ歩いていた人をよく見たらそれはラミでもリリスでも、イヴでもなかった。
灰色セーターに白黒ロングメッシュヘアー、白黒のオッドアイ、顔立ちはとても美しく大人しい雰囲気を出していた、身長は160センチくらい、恐らく年は俺たちと同じ年くらいの子だった。その子は振り返って、隙間で顔を覗いた俺の目と目があってしまった。
とても美しくて心の中で何かを感じたが、そんな思いも束の間、さすがにこれはやばいラミに殺されると思った俺はドアを閉め、ベッドの中に入ってうずくまった。やってしまったのではないかと思いつつもあの子の雰囲気や、顔に魅了され少し緊張しながらも冷や汗をかいた。
その時、廊下の足音が近づいてくる。さすがにばれてたかと思った俺は死ぬ覚悟をした。
扉の前で足音が止んだ。そうして少しずつ開く扉。
部屋の中に入ってきたと同時に閉る扉に終わったと思った。
「彼は起きてるね。心を読んだ感じ彼は本当におバカなだけだと思うよ。」
そうロリ声が聞こえた。
「ねぇあなた、本当は起きてるわよね?」
俺はパニックになっていて、ただ寝たふりをするしかなかった。
「こんなことしてるのがラミにばれたら怒られちゃうよ?」
再びロリ声が聞こえた。
「だけどシャシがそこまで警戒しないってことは彼は悪人ではないんでしょ?」
とても美しい声の持ち主。恐らくさっき目が合ってしまった子だろうと確信した。
「アスラは改人を簡単に信用しすぎなんじゃないかな~」
「ねぇあなた、大丈夫今はラミもメイドさんたちもいないから私を信用して顔をあげて」
優しくつぶやく彼女の言葉を俺は信じて恐怖しながらも少しずつ起き上がった。
そこにはさっきいた女性と緑髪の赤い瞳でドヤ顔をしたロリっ子の小さい妖精が立っていた。
俺は怖くはなったが、なぜだか別の気持ちも沸き上がった。
「彼は本当にバカなだけだね。ラミに怒られることに恐怖してるよ。」
笑いながら話すロリ妖精
「こーらシャシ、改人のことをバカにするんじゃないの。」
「ごめんなさい。シャシはとってもいい子だからこういうのは気にしないでね。」
「お、いや、あなあたちはいったい誰なんだ」
「私はアスラ、こんな夜遅くにごめんなさい。そして彼女はシャシ。私のかわいい妖精なの。」
「よろしく!」
一方的に話しかけられているせいで、少し頭が混乱していた。
「あ、す、菅原秀光だ。光とみんなから呼ばれています?」
変な日本語になっちまった。だが彼女は少し笑いながら言った。
「なんか変な言葉だね」
少し恥ずかしがりながらも焦っていた。
「光かぁ、これからは光さんって呼ぶね」
「あ、いや、さんは、つけなくても──」
「私たちあったばっかよ。だから、さんは付けたい。それにまだあなたのことも知らないし、怖いところもある。けど、シャシがここまで警戒心がないってことは悪人ではないことはわかったわよ。改めてこれからよろしくお願いします。光さん」
そう言い笑顔を見せるアスラ
「あ、よ、よろしくお願いします。アスラさん、シャシさん」
「今私たちが話をしてることは誰にも言わないでね。私も誰にも言わないから。2人だけの秘密だよ?じゃあまた明日ね」
そう言いルンルンに部屋を出ていくアスラ。
「え?明日?」
「ごめんね、彼女君みたいな改人と出会えたのが相当嬉しかったみたい。」
「俺と出会えてうれしかった?」
「そう、彼女はほとんど外の住人とは話さないんだ。だから、こんな普通に雑談できたのがうれしくて喜んでいるんだよ。」
「なんで外の住人と話さないんだ?」
「その事情はいつかアスラから聞いてほしい。シャシの口からは言えない。」
「そうか…」
少し沈黙が続いた。
「なんでアスラは廊下を歩いてた?」
「君たちの確認だよ。君たちは部屋から出ていないか、または怪しい人じゃないか。だけど、君は彼女に好意を抱いてるね。そんな人初めてだよ。」
笑いながら話すシャシ
そこまで警戒するとういうことはアスラには何かしらあるのか?
「とにかく彼女と会話してくれてありがとう。また機会があれば彼女をよろしくね。間抜けな光。」
そう言いアスラの後を追った。
そして俺は気づいた。俺はアスラに心を打たれた。
これが人生初の『俺の一目惚れ』か…。
そう思い鼓動がドクドクしながらも眠りについた。
いかがでしたでしょうか。もし何か不満や、感想、意見などありました言ってください。今後の物語を書くための補助にさせてもらいます!