1/2
第一話 「すくむ足を持ちあげる前」
人ばかりで溢れている
あなたは居ないくせに
呼びかけても返ってこない
こんなに人が居るというのに
もっと 大きな声を出そうか
ほら 山に登った人がするように
ここも山の上のように高いから
だから 声が返ってくるかもしれない
赤みのない夕日が眩しくて
目をつむってみたけれど
体が揺れたような気になって
眩しいままだった
もう一歩踏み出すだけでいい
どんなに探しても
この下にはただの人しか居なかった
それに もう二歩も踏み出せない
もう少しで日が沈んでしまう
その時に 私も一緒に落ちて行こう
最後の 呼びかけをしよう
嘘でも 返ってくることを願って。