ほのぼのお泊り会 1
前回の続きです。
「うー、つっかれたぁ…」
「おつかれー。このまま月ん家だし頑張ろ」
「んー」
夕方6時頃。先ほどまで華乃の委員会の仕事を手伝っていたところだ。思っていたよりも事務仕事が多く、小2時間ぐらい書類と格闘していたのだが、正直言って、あれを今までやってきた華乃はすごいと思う。わたしは二度とやりたくない。
でも、帰りに校舎の4階から綺麗な夕焼けを見れたので、結果オーライだろう。
そして、これからわたしの家で明後日まで華乃とお泊りだ。
わたしと華乃は小さい頃からよくお泊り会を開催するのだが、今日は中学生ぶりなので、とっても嬉しい。
気合を入れて、昨日フルーツタルトまで作ってしまった。我ながら浮かれすぎだなぁと思った。
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「ただいまー!!!」
「お邪魔します」
わたしはいつもどおり元気に帰宅し、華乃は行儀よくお辞儀をしたが、返事はなかった。
代わりに飼い猫のチョコが「ニャー」と鳴いて返してくれる。
「あれ?輝月さんと渚さんは?」
輝月と渚というのは、わたしの母と父のことだ。ちなみに、輝月が母で、渚が父の名だ。
そして、華乃に言われてようやく金曜日は父と母両方、仕事でいないことを思い出した。
我ながら、ほんとに浮かれすぎている。
「えーっと、金曜のこの時間帯いないの忘れてた…」
「月ってばほんとおっちょこちょいなんだから」
華乃はそう言って微笑むと、わたしのほっぺたをつんつんつついてくる。面目ない。
「じゃあ帰ってきたら挨拶するね」
「申し訳ない…」
「いいよいいよ」
わたしと華乃は手を洗って、そのまま両親が帰って来るまで、今日の夕飯を作ることにした。
とりあえずわたしは冷蔵庫の中を確認する。あいにく、母が昨日買い足しをしていたので、食材の心配はしなくても良さそうだ。なので、何を作るかを華乃と決める。
「華乃は何作りたい?」
「私はなんでもいいよ。それより月は今なに食べたいよ?」
「えっ、そうだな……最近暑くなってきたし、冷たいうどんの気分かな」
「じゃあうどんにしよ」
「いいの!?」
「月が食べたいなら。付け合せで天ぷらも揚げよっか」
「華乃様…!!神ですか…!?」
「大げさだって」
何気ないわたしの一言ですら実行しようとしてしまう華乃は、やはりスパダリだった。
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調理を始めて1時間ほどで、夕食の準備がととのった。
わたしの眼の前には6人前ぐらいの立派なざるうどんと、ナス、さつまいも、かぼちゃ、エビなどの様々な具材の天ぷらが山盛りになって置いてある。
この間うどん屋に行ったときに、ゆで卵の天ぷらがあって驚愕したのを思い出したので、それも再現してみたが、なかなかの出来だと思う。
そんなことを考えていたら、不意に玄関の鍵が開く音が聞こえた。
「ただいまー! あれ、華乃ちゃんもう来てる…!?」
それはわたしの母こと輝月の声だった。
廊下をバタバタ走ってきて、リビングの扉を開けて顔を見せる。
「ごめんね〜!! 今日有給取ろうとしたんだけど、どうしても外せない仕事があって」
「大丈夫ですよ。お家お邪魔してます」
「月ちゃん色々用意してあげた?」
「もちろんもう準備済みだよー!むしろ、夕飯まで華乃と作っちゃった」
「ありがとう、助かるわ」
母の髪が少し崩れ、息を切らしている様子を見るに、だいぶ急いで帰ってきてくれたのだろう。
そんな母に手洗いと着替えを勧め、わたしと華乃は食器と盛付けの準備を始めた。
次回に続きます。




