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洞窟の先に続いた場所 ⑥


 神の瞳を取り戻すために助けて欲しいと言われて、正直返答に困る。

 俺にわざわざ接触してくるあたり、よっぽど必死なのだろうというのは分かるけれど。




「助けてほしいって、何をどうしてほしいってこと? 俺には直接的には関係がないことだし、全部を俺がどうにかするのは違うだろ? 俺はその大いなる力を持っているっていう神の瞳をどうにかすることは出来るかもしれないけれど、ずっとここにいるわけでもないし。だから一番はお前達自身が解決することだろう?」



 何かしらの事情があって、誰かに助けを求めることは悪いことだとは思わない。そもそも俺だって周りに助けられて生きていて、一人だけでは生きていけない。

 だからそういうのは別にありだ。


 ただなんでもかんでも誰かにやってもらおうとするのは違う。他人の力でだけで成り立つものなどは、結局駄目になってしまうのだから。




「それはそうです。わしらもそのくらいは分かっています! それに神の息子であるサクト様に全てやってもらうつもりはありません。そのようなことをすればどれだけの対価を与えなければならないことか!」



 ……なんだろう、この世界の神様って結構対価をもらって何かをするとかしているのだろうか。あとは神様側から無償で何かしらの施しを与える場合は別とか? そういうのってなんていうのだろうか? 加護? まだまだこの世界について詳しくないから分からない。


 ただ、神様側へと自分達から何かを願う場合は何かを捧げる感じなのか? あー、でも確かに神と呼ばれるような圧倒的な存在に対して生贄などを捧げて鎮めてもらうみたいなのは確かに物語などでもある気がする。いや、でも俺はそういうものは正直いって要らないけど。




「ふぅん。対価って何をくれる気?」

「捕まえてきた生物とか、あとはわしらの里にある珍しいものを渡せる。それと心苦しいが、わしらの里の者の身を捧げることも可能です。当然、わしも」

「いや、要らない。とりあえずもらいたいものは後から考えるけど、そうだな……。妖精の里がどうういう場所か気になるから見せてもらえるか?」




 いきなり対価とか言われても正直よく分からない。関わると面倒なことがあるかもしれないとは思っていたけれど、もう関わってしまったのだから妖精の里は気になる。


 まず地球だと見れないような場所だしな。





 見たことのない場所を訪れたりするのはワクワクする。

 妖精の里ってやっぱり何かしら不思議な光景が広がっているのだろうか?




 ちなみに俺の妖精の里を見たいという願いはすぐにかなえられることになった。

 というか妖精たち側からしてみると、断れないことではあるかもしれない。多分、俺の方が立場的には上になってしまうだろうし。俺がそういうつもりはなかったとしても、断れないものって認識になってしまうだろうし。





「咲人、妖精の里、欲しいなら僕がどうにか取ってくるよ?」

「いや、クラ。物騒なことを言うのはやめよう。ただ見たいだけで、欲しいとかそういうのじゃないから。そもそもそういう柄じゃないし」

「そっかー。でも妖精たち、咲人が良くしたら調子に乗ったりするかもよ? その時は僕が怒るね?」

「うん。まぁ、それはよろしく」


 なんだかんだ妖精たちは俺に対して悪意は持っていないだろうなとそう思っている。だから変なことはあまり起こらないのではないかなというのは楽観的だろうか。


 妖精って、人とどのくらい感覚が違うのだろうか。

 常識が色々と違うからこそ、俺が望まない感じの提案をしてくる可能性はあるのか。


 うーん。こういう人間以外の種族との関わり合いって難しい。というか、人族同士でも、少なくとも地球と異世界だと常識も全く異なるわけで……。


 




「私も妖精の里なんて行くの初めてだわ。どういったものがあるのかしら。珍しいものがあったらノースティア様へと捧げたいわ」



 フォンセーラの頭の中は母さんのことばかりなようだ。

 本当に二人ともマイペースだなぁと思う。純粋に妖精の里はどういうところだろうとワクワクしている俺は一人だけ子供みたいだと少し恥ずかしくなかった。




 妖精の里は森の奥深くに、魔法で閉じられた場所に存在しているらしかった。

 妖精たちに連れられて奥へ奥へと進むと、なんだか新しい冒険の始まりみたいで楽しい気持ちになった。



 なんというか、こういう場所に妖精の里があるのって簡単に想像できるようなそういう場所を進んでいるのだ。



 途中であの争いあっている二つの集落の連中を見かけたが、気づかれずに進めてほっとする。妖精たちと関わった後に、あの連中のことまで来たら滅茶苦茶面倒なことにしかならないだろう。


 そんなことを思いながら進んでいく。



 ――そして魔法で閉じられた先に広がるのは、まるでミニチュアのような家が立ち並ぶ場所だった。

 妖精たちは体が小さいからそれに合わせた家なのだろうなと思った。



 

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