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何処に向かうか相談 ③



「おぉ」

「こんな場所あるのね」



 俺とフォンセーラは会話を交わしながら、クラについていった。俺はずっと木の上をぴょんぴょん飛び回ってついて行ったわけだけど。

 フォンセーラはそういう気はないらしく地面を歩いていた。うん、そういうぶれないところもフォンセーラの良さだとは思う。



 さて、俺達がクラについていった先にあったのは――洞窟である。

 森の奥まったところにある洞窟で、正直言って緑で覆われていて、入り口が見にくい。




 どんな生物が中に生息しているのだろうか。何だか不思議な生物でも生きてそうだなと勝手に想像する。

 なんだろう、こういう自然豊かな場所ってまだ見ぬものが沢山ありそうでワクワクする。

 地球だと離れた場所を映像で見れたり、色んなことが解明されている。けれど、きっとこの世界では人が知らないことは山ほどあると思う。それこそ母さんみたいな神様なら色んなことを知っているのだろうけれど。






「ちょっと進みにくいかもだけど、この奥行ってみたいな。楽しそう」




 クラはそう言いながら、楽しそうな様子を浮かべている。



 一旦、俺達が中へと入れるように入り口を覆っている葉っぱや茎などを避ける。

 それと同時にかさかさと何かが動く音がする。そちらを見れば虫型の魔物が居た。こちらに敵意はなさそうなので、一旦放置しておく。



 



「この先って行き止まりになっているのかな」

「どうかしら? 行き止まりになっている可能性もあるし、どこかに続いている可能性もあると思うわ」

「続いているとしたらどこだろ? 人里ではなさそうだと思うけど」

「……世の中には隠れ住んでいるような一族も多くいるから、そういうのに遭遇する可能性はなくはないわ。そういう存在は特に人に対して警戒心が強いから気をつけないといけないわ」

「警戒心かぁ。遭遇したらいきなり襲われるとか?」

「おそらくそういうのもあるわ。ただそういう人から隠れ住んでいる種族はノースティア様を信仰している方も多いから、問題ないかもしれないわ」




 洞窟の中へと足を踏み入れてみる。真っ暗だったので、魔法で明かりをともす。

 苔などが多く生えていて、見るからに人気がない。うん、こういう場所って基本的に人が足を踏み入れたりはしないのだろうなと思う。どれだけ危険な魔物が潜んでいるかもわからないし、まず自分の命が惜しければそういうところに行かないだろうしな。


 それにしても母さんの信者ね。

 確かに伯母さんのように誰にでも信仰されるタイプの神様では、母さんはない。ただ母さん以外にも少数派の信者を持つ神様って多分居るだろうから、母さん以外の神様を信仰しているとかの存在とも遭遇することもうだろうな。


 母さんと伯母さん以外を信仰している人たちだとまた話が通じない存在も出てきそう。そういう相手にはやっぱり力で黙らせないととかなのだろうか。うん、この世界だと自分より強い相手の言うことは皆、聞きそうだしな。

 そうなるとこれから旅をするわけだし、もっと魔法とか磨かないといけない。




「母さんと伯母さん以外の神様って、俺あんまり知らないんだよな。ちょっと街で話を聞いたことはあるけれど、そのくらい。母さんはあれだけ自由気ままに好き勝手しているけれど、他の神様も似たような感じ?」

「いえ、ノースティア様ほど自由な存在はいないと思うわ。神様達の間でも決まりなどがあるはずだあもの。だからこそたまにノースティア様は神々と争いになったこともあったはずだわ」

「……まぁ、母さん絶対に自分の意思を曲げないだろうからな」



 なんか好き勝手している母さんに思う所があったとしても、結局母さんは全て力づくで黙らせているのだろうなというのが想像できる。母さんの場合は自分のことを力づくで止めるならそれはそれで受け入れそうだし。ただ母さんにとっては全て蹴散らせば問題ない相手だったんだろうけれど。



 本当に父さんというストッパーの居ない状況の母さんを想像してみると恐ろしいものだ。絶対に好き勝手している。……自分の思うがままにただ遊んでいただろうし。




「少数の種族が信仰している神様だと、そういう種族と関わり深そうだよな」

「場合によると思うわ。中にはその種族を保護しているような神もいるはずだけど……」



 神を慕う少数の種族と、その信者達のことを大切に思っている神。そういう関係性ってなんかいいなぁとは思う。いや、でも母さんの息子である俺がそういうのに近づいたら変に警戒されたりとかしてしまうか? 伯母さんとかは俺が母さんの息子だって分かっていたけれど他の神様も分かるんだろうか?




 そんなことを考えながら、フォンセーラと会話を交わして洞窟の奥へ奥へと進んでいくと何かの気配を感じられた。



 前を歩いていたクラが、警戒したように立ち止まる。




「サクト、フォンセーラ、僕が先に言ってちょっと様子見するから待ってて!!」



 クラが元気よくそう言って一匹で奥へと進んでいったので、俺とフォンセーラは待つことになった。



 

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