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闇の女神に纏わる遺跡 ④

 様子見で俺達がすぐに戻ってきたことに驚かれてしまった。普通は、何日もかけて潜ることが多いようである。

 あとはよく分からないけれど、頻繁に潜りすぎると謎に不調がおこったりするんだとか。

 



 ――さて、俺達が一度戻ったのは《アイテムボックス》的なものがやはりいるなぁと思ったからである。

 フォンセーラはそういう収納系の道具を持っていたけれど、俺はまだ持っていない。自分で使えるようになれたらと思いながらも、まだ使えていない現状だ。


 それを使えるようになってから深く潜った方がいいだろうと思った。

 もしかしたら遺跡の中ではぐれてしまうとかもあるかもしれないし。というか、実際に中で分断されることもたまにあるらしい。そういうことが起こった際にきちんと対応出来るようになっておかないといけないし。



 そういうわけでクラに聞きながら、そのあたりの魔法の練習を一人で進めることにする。



 フォンセーラに「しばらく一人で収納の魔法の練習をしたい」と言って、部屋に閉じこもることにした。

 クラにはしばらく外には出ずに一緒に閉じこもってもらうことにする。





「うーん、難しい」

「収納系の魔法は難しいから、すぐには出来ないんじゃないかな。僕も乃愛から知識はもらっているけれど、上手く使える自信ないし。なんか細かい調整必要だから難しいなって思うよ。中々出来ないならお金貯めて買っちゃえば?」

「まぁ、それはそう」




 宿の一室で俺とクラはそんな軽口を交わす。



 自分用に買うにしてもお金がかかるんだよな。しかもそういうある意味特別な道具って、ちゃんとしたところで買わないと不良品を掴まされる可能性もある。需要の高いものだからこそ、そういう詐欺はそこそこあるらしい。

 俺はあまりそういう悪人に遭遇したことはないけれど、特にこういう外から人がやってくる者が多い街だと騙そうとする人ってそれなりにいるそうだ。



 そういうのに遭遇して少しぐらい痛い目を見るのも人生経験かなとは思うけれど、なるべくそういう目に合いたくないなとは思う。



 それにしても買うとしたら良いものが欲しいな。そのいいものを購入するためには、小銭を稼いでいく必要がある。




「自分だけの《アイテムボックス》的なものを作れたら最高だよな」



 なんていうか、そういうものを作れたらきっと興奮するだろうなと思う。俺は異世界ものの漫画とかも好きだし、そういう自分だけのって特別感あるしなぁ。

 俺の言葉にクラは楽しそうにしている。





「咲人はそういうの好きだよね。僕にはよくわからないけど」

「クラはそういう自分だけのってワクワクしないのか?」

「自分だけのお気に入りの場所とかなら興奮はするけど、そういう道具でワクワクは分かんない」

「この街でもお気に入りの場所を見つけたか?」

「うん。姿隠してぶらぶらしていて、良いお昼寝スポットとかあるよ。屋根上のあんまり人が居ない場所とか。この街に住んでいる猫たちは僕を見てすぐささっと去っていくんだけどね」



 この街にはそれなりに猫の姿が見られる。そういう猫たちはクラに気づいたらすぐにおびえて逃げるようだ。

 こんなに可愛いのになぁと思う。

 やっぱり可愛くても神獣だからか。





 姿を隠してひっそりと街中を見て回るのも楽しそうだ。俺だったら姿が見えないと確信していても、実は誰かにばれているんじゃないかとハラハラして自由には歩き回れない気がする。そういう所が肝が据わっているのがクラらしいなぁと思った。




「こんな感じかなぁ」

「咲人、あんまり無理しすぎないでね」

「うん。無茶はしないようにする。結構難しいけど。というか、これ、潰しそうになる」



 試しに空間を広げてみて、そこに物を入れてみる。だけどそのまま継続するのって難しい。一時的に空間に保存はただの魔法で上手くいくのだけど、《アイテムボックス》のようなものとして落とし込むのはまた難しい。そもそも魔法を道具に落とし込むって難しい技術らしい。


 母さんとかだと、簡単にこういうこと出来るんだろうなとは思う。

 母さんってなんていうか天才というか、何だって出来るようなそういう存在なのだろう。天才肌というか、こうやって異世界のことをよく知っていくと、母さんの凄さを実感してならない。





「あー。いい感じの鞄に魔法入れ込んでみたけれど、壊れたか」

「なんかもろいね」



 今、俺は収納系の魔法を継続して使えるか、そして道具に落とし込むことが出来るか。そのあたりを少しずつ練習していく。難しいけれど、こうやって少しずつ上手く出来るようになっていくとそれは嬉しい。とはいえ、まだまだ難しくてすぐには出来ないけれど。




「でも乃愛の知識を見る限り、咲人はコツを掴むのが上手い方だと思うよ」

「そうなのか?」

「うん。こういう魔法、使えない人はそもそも使えないっぽいから」


 楽しそうにしているクラと一緒に、俺はひたすら練習を続けるのであった。





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