表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/132

使い魔のお店と、旅立ちと ⑤





「じゃあ、行くわよ。サクト」

「うん」


 使い魔のお店で客たちと交流したりしながら、楽しく過ごした。

 街の人たちとも少しずつ仲良くなれたとは思う。穏やかに過ぎていく日々の中で、俺達は街を後にすることにした。


 そもそも俺達の目的は母さんの縁のある地を見に行くこと。そして俺は自分の力で神界に行くようにすること。一先ずの目標はそれなので、いつまでも一つの場所に留まっているわけにもいかない。というかあまりにも街に愛着を持ちすぎると旅立ちをするのを躊躇するようになりそうだしなぁ。



 母さんが元々いた場所から俺達のことをかなりの距離飛ばした。

 近隣の街や村の情報は情報収集しているので、まずはそちらを目指してみることにする。






「距離はあるけれど母さんに纏わる逸話のある遺跡があるんだよな?」

「ええ。そうよ。いくつか街や森などを超えなければならないけれど、いけない距離ではないわ」




 その聞いた話の中で、母さんに関連する遺跡があるというのを聞いた。

 なので俺達はまずそちらを目指してみることにしたのである。


 それにしても異世界で最初に降り立った街だけではなく、こうして遠く離れた街でも母さんのことは誰もが知っているのだ。

 年代問わずに、どんな人種かも問わずに――女神である母さんの名は知られている。



「乃愛に纏わる遺跡かぁ。何か面白いものあるかな?」

「クラ、遊びに行くんじゃないんだぞ?」



 母さんに纏わる遺跡に向かうことになっているわけだが、クラはなんだかまるで遊びに行くような軽さえであった。




「少し危険な部分があったとしても、どうにでも出来るから大丈夫だよ? 僕も咲人に何かあるなら全力で守るし」


 クラはそう言って楽しそうにしている。





「サクトもクラも能天気ね。これから向かう遺跡は危険な逸話も沢山あるのよ? だからこそ、到着するまでの間に準備は進めなければならないわ」



 フォンセーラはそう言って呆れたような表情を浮かべている。





 母さんに纏わる遺跡は、財宝が眠っているだとか様々な噂があるものらしいのだ。

 だからこそ、そこに足を踏み入れようとする人たちは多くいるんだとか。




「足を踏み入れた人で亡くなった人も多いんだよな?」

「そうね。何がそこで起こっているかは全く分からないけれど、何かしら危険なことが起こっているのは確かだわ」



 その遺跡に足を踏み入れて、亡くなった人はそれなりの数が多いらしい。

 それだけ危険な場所が、母さんの遺跡として知られているのが本当に流石だと思う。母さんはこの世界で本当に有名で、危険の代名詞みたいなそんな存在なのだ。





 母さんに纏わる遺跡で、この世界の母さんに纏わる物でも見つけたら父さんにでもあげようかな。

 父さんはこの世界での母さんのことをよく知らないはずなので、そういうこの世界での母さんに纏わるものを持っていないはずだから。



 母さんから父さんへ向けている愛情の方がずっと重いけれど、父さんから母さんへの愛情もちゃんとある。あの二人はとても仲が良いので、父さんはこの世界での母さんのことをもっと知ることが出来れば喜ぶだろう。


 だから何かしら渡せたら父さんは喜んでくれるだろうかなどと思っている。まぁ、俺自身がこの世界での母さんのことをもっと知りたいというのも大きな理由だけど。





「ノースティア様を信仰している方も遺跡には多くいると聞くから、サクトはノースティア様のご子息だと知られない方がいいかもしれないわね」

「……母さんの信者って、結構過激?」

「過激なのもいると思うわ」

「過激かぁ……。母さん、第一みたいなの?」

「そう。私も含めてノースティア様を第一に考えていて、ノースティア様の言うことが全てだと思っているもの達ばかりだもの」



 ――フォンセーラは躊躇せずにそう言い切る。

 そう、フォンセーラも含めて母さんの信者というのは、そういう人たちの方がきっと多いのだと思う。というか、フォンセーラも普通に見えるけれど母さんのことは本当に信仰をしているから。




 ……フォンセーラは俺が望んだからため口で普通に対応してくれているけれど、母さんの息子である俺のことを特別視しているだろうからなぁ。






 この世界にやってきてしばらく経つけれど、母さんに纏わるものとはあまり関わってこられていなかった。

 母さんの噂は聞けていたけれど、それ以上のことは関わりがないからな。

 





「乃愛のことをそれだけ大好きな人が多いってことだよね。乃愛って博人のこと以外何も考えてないのに」

「まぁ、それはそう。母さんはどれだけ重く信仰されていても父さん以外のことは本当にどうでもいいから。あの人、俺と父さんどっちを取るかとか言われたら、俺の事なんてすぐ捨て置くだろうし」


 うん。母さんはそういう人なのだ。本当に周りからどれだけ求められようとも、どれだけ信仰されようともそれは母さんにとってどうでもいいことなのだ。




 ……きっと信者たちが父さんの存在を知って騒いだら、問答無用で殺すんだろうなというのが想像が出来た。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ