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街への到着とクラのこと ⑥

 フォンセーラとクラに見守られながら、俺は魔法の練習をする。

 クラには「制御とか気にせずに放てばいいのに」なんて言われたが、それは流石に物騒すぎる。



 そんなことをしたらどれだけ被害が出るか分からない。

 俺は流石に制御がきかなかったからと言う理由で、周りから恐れられたら悲しいしなぁ。




「咲人は魔法、楽しそう。これ、楽しいの?」


 クラは氷の魔法を行使していた。

 でも俺みたいに魔法を使うのが楽しいとかそういう感覚はないようだ。俺はこうやって地球では使えなかった魔法と言う力を使えることを楽しんでいるのだけど……。



「俺は楽しいと思っているよ。出来ないことを出来るようになるのは楽しいし。それに俺は母さんの息子だからそういうのは扱えておきたいし」


 俺は母さんの息子だと悟られないように動いて行こうとは思っている。とはいえ、何かの拍子に母さんの息子だって知られた時に、俺が魔法を上手く使えなかったら少しかっこ悪いと思う。

 華乃姉と志乃姉は半神としてそういう力が使えてそうだし、俺もそうありたいなと思う。



「別に咲人が魔法とか使えなくても乃愛は気にしないと思うよ。そんなことで何かいう奴、僕がどうにかするよ!」

「いやいや、大丈夫だよ。というか、母さんのことを抜きにしても俺は魔法を使いこなせるようになりたい! その方が俺も嬉しいし」

「じゃあ、僕も教える!」

「クラに教えられるのか?」

「僕も教えられるよ!」



 クラがそういうので、クラにも教えてもらおうとしたのだが……クラは感覚派だった。

 こうすればいいとか教えてくれるけれど、全然分からない。説明が簡潔で、なんというか全然分からない。


 代わりにフォンセーラが教えてくれていた。クラは上手く教えられないことに不満そうにしていた。




「僕も教えられるように頑張る! 僕は咲人の家族なんだから、ちゃんと僕が教えるの! 結局、家族じゃないならいつ敵に回るか分からないもん」

「いや、フォンセーラは母さんの信者だしそういう展開にはきっとならないよ」

「でも博人が読んでいた漫画ってやつだと、そういう展開あったよ!」

「あー……まぁ、そんなことになったら母さんがどうにでもするだろうから気にしなくていいよ」



 父さんも俺も漫画やゲームが結構好きである。母さんは父さんと一緒に遊ぶのも好きで一緒に過ごしているし、華乃姉と志乃姉もなんだかんだ父さんと俺がおすすめするものは読んでいたし。

 そういうのの影響でクラもそういう展開の話を把握していたりしたのだろうなと思った。


 そういう展開が起こったらどうにかするとそういう気持ちでいっぱいみたい。本当にそういう展開になるなら母さんがどうにでもすると思う。俺もそういうことにはならないようにする予定だし。


 というかこの話、当の本人であるフォンセーラの前でしているしなぁ。





「クラ、私はノースティア様を信仰しているの。その信仰心は何があってもなくなることはないわ。だから安心して。もし無理強いされたとしても、頷かないわ。本当にどうしようもない時は自分で首を切るわ。そのくらいの覚悟は持っているわ」

「なんかフォンセーラってそれだけ乃愛のこと、大好きなの?」

「ええ。私はノースティア様のことを信仰しているから」

「ふぅん」


 クラは母さんの神獣とはいえ、母さんを信仰をしているわけではない。だからフォンセーラとの温度差を感じているのかもしれない。

 それにしても首を切るかぁ。中々物騒なことを口にしていて、想像して体が震えた。



 




「それならいいや。咲人のこと裏切ったりしたら、乃愛も僕も許さないよ。それに他の家族も」

「もちろん。分かっているわ」


 フォンセーラがそう言ったら、クラは満足気に頷いていた。

 クラはあれだけ大きな力を持っているなら、怒ったら大変だろうな。正直地球にいた頃からクラが本気で怒る場面なんて見たことはないけれど、でも多分怒るときは怒ると思う。



 クラがそういう怒りを見せる場面をなるべくつくらないようにしなければ……。クラは母さんよりは怒りの沸点は低くないはずなので、そんなことにはなかなかならないはずだけど。






 クラとフォンセーラに囲まれながら、俺は引き続き魔法の練習をした。俺に付き合って結構な時間を街の外で過ごした。俺は魔法と剣の練習を続けていた。フォンセーラは母さんに関する本――教典みたいなものを読んでいたり、魔法を教えてくれたり練習したりしていた。クラはのんびりと基本は昼寝してる。ちなみに前もちらっとみたその教典には結構過激なことも書かれていた。


 母さんは自由気まま性格だから、敵対する者に対する心得とかそういうのは中々物騒というか。あと個人主義な感じとかが出ている。

 うん、母さんはそう、一人でも生きていけるタイプの性格だ。父さん第一だから父さんの傍にはいるけれど、誰かとつるんだりするタイプではない。


 というかフォンセーラも一人でぶらぶらしているタイプだしなぁ。

 などとそんなことを考えながら、一度街に戻った。





 



 


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