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母さんを信仰するということ ①

12/23 二話目



「よし、上手に出来た」



 俺は今、一人で解体を行っている。

 

 剣と魔法の練習も一人で進めて、なんとか今解体している魔物は素材を駄目にせずに倒すことが出来たのだ。ただ魔物を倒すだけならばどうにか出来るか、解体をすることを考えて倒すとなるとやはり難しい。



 その点、俺に解体を教えてくれたフォンセーラさんは凄かったと思う。

 解体をすることを踏まえて、魔物を損傷さずに倒すというのを本当に簡単に行っていたのだ。ああいう風に魔法を上手く使えるようになれたらきっと気持ちが良いだろうな。




 解体した魔物の素材に関しては、お店で売ったりしている。

 ちなみに買いたたかれたこともある。……良心的なお店とそうでないお店というのがあるのだ。

 俺が解体した素材を売るのに慣れていないのを察して、安い値段で買いたたかれたと気づいたのは他のお店に売りに行った時だった。


 まぁ、勉強代と思っているのでそのあたりは仕方がないと思っている。

 生きていくための基礎的な知識は母さんから埋め込まれているけれど、細かいところまで全て教え込まれているわけではない。だから、俺は少しずつ知識などを蓄えている。



 というか、俺はただの高校生だったわけで人生経験もそんなにない。だからこういうのもある意味良い経験である。こうやって一人で過ごしていると、俺は母さんと父さんに守られて生きていたんだなと改めて思った。今回は買いたたかれる程度で済んでよかった。最悪の場合だと命を奪われることもこういう世界だとあるだろうから。



 そんなことを考えながら、俺は街の外で魔物を倒したり、解体をしたりを進めていくのだった。








「皆様にも光の女神イミテア様の加護がありますように」

「イミテア様こそ、最も優れた神です。『勇者』を遣わす我らの親愛なる女神をもっと信仰するのです」



 街へ戻った時、白装束を身に纏った不気味な集団がいた。

 表情は笑みを浮かべているけれど、なんていうか……恐ろしさを感じる。

 どうやら光の女神であるイミテア様を信仰している集団のようだ。しかし普段神殿で見かける神官たちよりもなんていうか、雰囲気が独特である。



 光の女神を信仰している神官だと、もっと人に囲まれ、慕われているイメージだ。だけれどもそこにいる集団たちは怯えられている部分もありそうだ。その集団に近づいているのは、熱心なイミテア様の信者だけのようである。

 それ以外の人たちは近づかないようにしようとしている様子で、俺もあんまり近づかないようにしようとは思った。

 だって明らかに表情とかが不気味だ。


 一人近づいていった子供が……うわっ、手で追い払われている。追い払われた結果、その子がこけようとも、その集団は冷めた目を向けているだけである。




 それからその集団はその場から去っていく。

 俺はその後に、周りにいた街の人たちにあの集団について聞いてみた。







「あれは光の女神イミテア様を信仰する過激集団よ。彼らはイミテア様を崇拝するがあまり、それ以外の考え方を認めない。確かに光の女神イミテア様は私たちにとって特別な女神様だけれども、その考えに賛同しなければ子供にだろうと酷い態度をするのは許せないと思うよ」



 街の女性はそう言って顔をしかめていた。



 この街は光の女神イミテア様の名を冠している街であり、その過激集団からしてみてもこの街は特別な場所のようだ。

 だからこそ此処に彼らがやってくることは時折あるそうだが、街の人たちからしてみればよっぽどのイミテア様信者以外だと迷惑な集団でもあるようだ。




「光の女神であるイミテア様を崇拝していない人に対してそれだけ過激なんですか?」

「ああ。本当に過激だよ。神殿の上層部も彼らに注意はしているようなのだけど、その話も聞きやしない。今の時代、神の声を聞けるような特別な存在もいないからねぇ。そういう存在がいればもっと彼らもまとまるだろうに。あんたも気をつけた方がいいよ。絡まれた際に対応を誤ると大変なことになるからね」

「はい。ありがとうございます」

「本当に分かっているのかい? 下手すれば殺されてもおかしくないからね。あの集団は秘密裏に自分たちにとっての異教徒を消していると聞くよ。証拠が残っていないから、あくまで噂だけど」



 ……本当のことか分からないにしても、そういう噂が出回っている時点で本当に物騒な集団なのだと思う。というか、火のない所に煙は立たぬというし、そういうことはやっているのではないかと思った。



 ……俺がその集団への対応を間違って、その結果、何かあったら母さんが出てくるんだよなぁ。



 それは多分避けた方がいいはず。というか、神が私情で表に出てきて、何かやらかすって中々の災害だろうからな。母さんって周りの被害とか気にしない気がするし。

 うん、俺はあの集団に関わらないようにしよう。それでいて関わったとしてもなるべく穏便に済ませるようにしなければ。




 実際に穏便に済むか分からないけれど、うん、出来る限り頑張るしかないな。



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