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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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闇の女神の信者達の村についての話 ⑤



「こんな魔物を狩れるなんてすごいな」

「怪我一つせずに魔物を狩ることが出来るなんて……」


 魔物を狩ってから村へと戻ると、そう言って褒めてもらえた。もっと強い魔物をどうにかすることも出来たけれども、この程度でおさめておいた。


 この村では農耕や狩りで基本的に食事を確保しているようだ。村の周辺には魔物もかなり生息しているからこそ、そういう暮らしが出来るのだろうな。逆に狩りが出来ない村だとどうやって生活しているんだろうか。



 魔物に関してはそのまま母さんに捧げて、美味しくいただくらしい。

 催しでは大きな捧げ場のような場所を一時的に作るらしい。俺が召喚された時のような魔法陣みたいなものを描くそうだ。もちろん、効果はないそうだが。

 その陣一つ一つに母さんへの敬愛や信仰の言葉がちりばめられているらしい。そういう風に信仰のために一生懸命な様子を見ると凄いなと素直に思う。





 俺は家族として母さんのことは特別視しているけれども、それは実際の信者とは少し異なるだろうしなぁ……。

 単純に母さんに迷惑をかけるではなく、こうして母さんのためにと頑張ろうとしている人達に関してはその様子を見るだけで嬉しくなった。




 だからこそ、俺は催しを成功させるために一生懸命である。それが信仰心が強いと周りに認識されているっぽいけれど。

 フォンセーラは旅をしてきたわけだけど、こういった母さんの信者の村に来ることはあまりないらしい。だからフォンセーラも張り切っていた。

 特に俺が此処にいるからこの催しを成功させようと色んなことを手伝っている。


 あとは母さんのことを信者達には沢山語れて、喜んでいるようだ。

 ……俺の場合、途中でやめてほしいなって態度出ているだろうしな。フォンセーラの楽しそうな様子を見て、もっと俺もフォンセーラの話をちゃんと聞くようにしようと反省した。


 でも信者達の言葉って、かなり誇張されていたりするからずっと聞いていると突っ込みとか入れたくなるんだよなぁ。



 



「ねぇ、咲人。此処の人達、乃愛のことが本当に大好きなんだね」

「そうだな」

「博人のことを知ったら、そっちも信仰するかな?」



 肩の上に乗っているクラから話しかけられて答える。本当に母さんに対する信仰心が凄まじい人たちばかりだ。

 それでいて余計なことはせずに、あだ母さんのことを信仰しているだけとかそう言う感じっぽい。



 だからこそ俺も落ち着いて見られるんだと思う。



 というか、母さんが幾ら信仰心を集めていても父さんは気にしないだろう。寧ろ、母さんが人気者なことににこにことしていそうなイメージだ。俺も父さんタイプかなぁ。

 大切な相手が人気者だったら、それはそれで嬉しくなると思う。




「……母さんは絶対に父さんが人目につくの嫌がると思うんだよなぁ。父さんの声聞いたり、父さんを視界に留めたりするのが嫌だって思ってそうだし」

「それはそうかもー。僕も博人にべったりすると、乃愛がいつも嫌がってたから」



 母さんって、うん、ペットとかにも嫉妬するタイプというか本当にただ父さんには自分一人でいいとそんな風に思っているのだろう。

 ここの村の人達も、父さんの存在を知ったら絶対に信仰するだろう。うん、多分そう。



 ああ、でも母さんの像の隣に父さんの像が立つとかならまだ母さんも許せたりするんだろうか。どうなんだろうな? 母さんの機嫌を損ねる基準が分からない。

 フォンセーラとかも、父さんに対してかなりの敬意を払っているし。



 そうこう考えていると、ノスタが戻ってきた。






「あ、戻ってきたのか」

「うん」

「ノスタが預けていたものってなんだったんだ?」

「ああ、これだよ」



 そう言ってノスタは抱えていたものを見せてくれる。それは小さな母さんの像だった。旅する信者ってこういうものを持ち運ぶものなのか?

 それなりの大きさだ。普段は《アイテムボックス》的なものの中に入れているそうだ。というか、これしか入れてないらしい。





「この像はあるドワーフに掘ってもらったものなんだ。ノースティア様への祈りをささげた時に、キラキラと光ったんだ! ノースティア様が何かしらの反応をしてくれたかは実際は分からないけれど、僕にとっては特別な神像だ」

「へぇ」



 うん、母さんではない気がする。

 少なくともここしばらくはずっと地球に居て、こちらの世界の方が時間の流れが速いからかなり昔にしか母さんは此処に居なかったわけだし。

 となると母さんの下についている神とか、神獣的なのとかがやっていることか? 分からないな。

 母さんって他の神様についても全然俺に語らないし。伯母さんのことは話してくれているけれど、他の神様に対する関心ってほとんどないのかも。母さんらしいと言えばそうだけれど、母さんがお世話になっている神様って誰なんだろう。

 伯母さんに今度聞いておこうかな。



 いずれ神界に行った時には、ちゃんと挨拶を出来るようになっておきたいし。



 ……何かあった時は母さんに頼んで、神像を作ってもらうか? それをフォンセーラとノスタにあげたらかなり喜びそうだ。



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