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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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闇の女神の信者達の村についての話 ①



「あんな村があるなんて困ったものだなぁ」

「本当だ。全てがノースティア様の信者になれば、あんなことは起こらないだろう」

「……いや、何でも母さんに繋げるなよ。そんなことないし」



 村を後にしてから、俺達は人休憩をしている。野営をすることにもすっかり慣れてしまった。

 ノスタは相変わらず母さん至上主義なので、凄い発言をしていた。全てが母さんの信者になったらそれはそれで大変なことになるだろう。うん、多様性って大事。



 少なくとも俺がこの世界で出会った信者達というのは、母さん至上主義で過激な人達ばかりである。信仰心が強いというか、母さんの言葉は絶対というか。俺はそういう信仰対象にはなりたくないなぁ……とそんな気持ちでいっぱいだ。だって自分の発言に対して責任を負わなければならなくて面倒すぎるし。

 ただ俺が母さんの息子であることは事実だから、俺の言葉を曲解して認識してしまう人ってきっといそう。



 これって、神様達の間でもそうなんだろうか?

 母さんにとっては、自分の望みが叶うことが当たり前だ。それこそ、誰かに自分を咎められることなんてない。母さんは人のことを操ることも簡単に出来てしまう。

 母さんは俺のように悩むことなんて一切ないんだろうなと想像が出来る。


 ……俺も何も気にせずに、俺のいうことを聞くのは当然! って自惚れた方がいいのだろうか。

 いや、それはそれで調子に乗りすぎだよなぁ……。少なくとも俺は何か嫌だ。そんな自分を想像するだけで、恥ずかしくなる。




「サクトは反対なのか? 全員がノースティア様の信者ならば世界平和につながるだろう」

「それって全員洗脳されている状況か何かだろう。母さんが唯一神みたいな状況になるのは少なくとも俺は望んでない」



 うん、全員母さんの影響を受けて洗脳されているって、恐ろしい光景だろう。それを誰も気づけないって余計にびっくりする。

 父さんにはその辺の力も含めて聞かないらしいけれど。




「母さんの場合だと人に興味なさすぎて洗脳するだけして放置する方だろう。そんな世界どうかと思う。そもそも神が人に干渉しすぎて、行動を制限するっていうのも問題しかないしなぁ……」


 母さんの信者達からすると、そういう状況も幸せだとでもいうのだろうか。うん、振り切りすぎだろう。




「それの何が問題なの?」

「それが何の問題だ?」


 ……フォンセーラとノスタは同時にそう言い切る。うん、これだから母さんの信者は……って感じの返事だ。


 母さんの行動が原因で何かしらの問題が起きてもそれも含めて、受け入れるべきものって感じの認識なんだろうな。

 



「俺は嫌かなぁ。それに父さんも絶対に嫌がるからそんな世界は来ないよ」


 母さんの信者達にとって母さんの言葉が絶対なのはそうとして、母さんにとっては父さんの言葉が絶対だからな。父さんは不用意に望みを口にしないようにはしているし、それを口にした際には母さんに「やらなくていいからね?」とか言っているのは見たことある。


 ……そういえば昔、テレビを見ていた時に父さんが豹を見て「テレビで見ると猫みたいでいいな」と言った時に母さんは目をキラキラさせていたっけ。父さんは「乃愛、連れてくるとかは要らないからね? 家のペットはクラだけでいいから」と言っていた。……俺はなんでそんなことを母さんに言うんだろうって思っていた。けれど母さんが神様だと知った今は、それが出来るだけの力はあるんだなって実感した。

 母さんって、普通の人間にとっての不可能を可能に出来るだけの絶対的な力を持つ存在なのだ。



 神様って、そういうもの。

 人にとっては理不尽極まりなくても、明らかに生命体として異なるのだとは思う。



 ……なんかこの世界にやってきてから、余計に母さんって暴走するんじゃないかってそう心配する。父さんが傍にいるからこそ問題は何一つないのだろうけれど、それでも……父さんが止める間もなく気合を入れて早急に動くとかは当然ありそうだし。


 この世界のことは母さんの方が絶対に詳しいし。

 父さんは母さんに郷に入って郷に従えと言って、日本での暮らしに馴染ませていたわけだし……。うん、父さんは「乃愛の方がこの世界について知っているんだから、乃愛に従うよ」とか簡単に言ってしまいそう。


 そうなれば母さんって、意気揚々と暴走するんだろうなぁ。




 父さんってどちらかというと、どこかに行くときは現地の人達に敬意を払う方だし。そう考えるとまぁ……、ある意味母さんと父さんは対等なんだろうな。地球に居た頃の母さんが父さんの言う通りに日本に馴染むようにしていたように、母さんの故郷に来たからこそ父さんもこの世界に馴染もうとするのだろう。






「そういえば、此処からしばらく進んだ先に昔訪れたことがあるノースティア様の信者の隠れ里があるんだ。良かったら寄らないか?」


 ……だらだら過ごしている中で、そんなことをノスタが急に言い出した。




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