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砂漠を歩く ⑬





「では私はこの神を連れて行きます」

「そうしてください。あと、伯母さん。こういう神様ってもしかしたら多いの?」

「……そうですね。少なからずいるかと。私も出来る限り問題を起こしている存在は見ているつもりですが、全部は無理です。特にこういった小物な神だと……目に入りにくくて」

「伯母さんって、神様が余計な真似をしないように関する役目とかあるんですか?」

「いいえ、私はあくまで光の女神ですから。ただ気に障る神に関しては手を加えているだけです。下界のことを見守り、余計なことをする神を制裁する者は別にいますね」


 そんなことを言われて、神様の中にも色んな役割があるんなだなとただそう思った。

 ……でも母さんは役割とかそんなの気にもせずに好き勝手して生きているんだろうな。母さんぐらいになると多分、好きに動いたとしても特に誰からも咎められることはないだろう。



 うん、それが母さんだから。



 逆に伯母さんとかは、神様の世界できちんと立場を持っているというか調停者的な役割だったりもしたりするんだろうなとそう思った。



「そうなんですね」

「そうですよ。だって私達が何でもかんでも好き勝手していたら、この世界はぐちゃぐちゃになること間違いなしです。そのようなことを私達は望んでいるわけではありませんし」

「……まぁ、それはそうですね」



 神様が好き勝手し続けた結果、ぐちゃぐちゃで秩序も何もない世界とか地獄すぎる。俺はそんな世界嫌だ。

 神様ってそれだけ大きな力を持つ存在だから、好き勝手しすぎたらそれこそ世界の崩壊とかそんなことが起こりうるのだろう。




「では咲人、また何かあったら声をかけなさい」

「はい。今回はありがとうございます。助かりました」

「構いません。流石に神相手では、私の方がやりやすいので。そもそも人が関わるのは逆に事態を悪化させてしまう可能性もあります。特に咲人のように神の血を引く者は、神に関わりやすい。だからこそ、危険な目にも合う可能性はありますから」

「あー、やっぱりそういうのあるのか。助かります。ありがとうございます。伯母さん」

「ふふっ、いいのですよ。ちゃんとノースティアには私のことをよく言っておくように。あの子はいつも私のことを適当にあしらうんですから!!」



 そう言う伯母さんは、文句を言いながらも母さんのことを大切には思っているのだろうなというのは分かった。というか、本気で怒っていたらそれこそ怪獣大戦争とかそういう感じのことになってしまうだろう。




「もちろん、言っておきます」

「なら、助かります。では、また。早めに神界に訪れるようにあの子には言っておいてください」




 そう言って伯母さんはそのまま去っていった。あの神様の姿もそれと同時に消える。

 それと同時にしんっと静まり返るその場。一先ず問題が片付いたようでそれは良かった。




「……ささささ、サクトは、ノースティア様の????」



 伯母さんと話し込んでしまっていたけれど、ノスタも俺達の会話聞いていたんだよなぁ。

 目をキラキラさせながら、興奮した様子だ。どうしようか? まぁ、俺が自分でノスタのことを助けようとしたわけで、だからこの結果は仕方がない。……無理やり記憶をどうにかすることぐらいは出来るけれど、うん、俺の場合だとその辺をやろうとしたら意図しない記憶まで消してしまいそう。

 それだと精神に異常をきたしたりとかしそうだし……うーん、それはそれで嫌すぎる。



 いいか。

 どうせ相手は母さんの信者である。フォンセーラと一緒に過ごしていたら余計に分かったけれど、基本的に母さんの信者達はその息子である俺に対して敵意を持ったりはしないし。




 ……ただあれだなぁ。

 このままお別れするのを許してくれるかどうかだな。





「まぁ、うん。隠しても仕方ないし、てか伯母さんとあの神様の会話で察してしまっていると思うけれど、俺は闇の女神ノースティアの息子だよ。出来れば周りに広めないでもらえると助かるんだけど」

「それはもちろん!! ノースティア様は誰かと子をなすことなどなかったと伝え聞いているのに、まさか、その子供が実在しているなんて。それにあの光の女神イミテアを伯母さん呼びしているとは!! この目で女神を見ることがあるとは思ってもいなかった。僕は幼い頃より、ノースティア様の信者になった。あの神に目をつけられた時はなんて不幸なんだと思っていたが、まさかその結果……ノースティア様の息子に出会うことが出来るとは。これまでの不幸に関しては、この幸運を呼び寄せるためのものだったのだろう。何か一つでも掛け違えば、このような奇跡を見ることなど出来なくなっていた」

「お、おう。そうか。……えーと、興奮しているのは分かったけれど、ちょっと落ち着いてくれないか?」

「これが落ち着けるはずがないだろう!! だってノースティア様の知られざる真実を知ることができ――」




 そう言って引き続き喋り続けようとするノスタは「煩い」というクラの声と共に黙らされた。






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