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薄井君は召喚されたので異世界を漫遊する~家族の秘密を知った件~  作者: 池中織奈


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砂漠を歩く ⑦

 砂漠から出るために俺達は歩いている。

 正直、砂漠内をぶらぶらするつもりだったから、こんなに早く砂漠の外へと出て行こうとするのは想定外だった。


 でもまぁ、ノスタのことを外に出してやらないと。

 というか砂漠内でだけ外に出れないってことは、このあたりで信仰されている神様とかなのかな。

 

 母さんや伯母さんレベルだと、きっとどこでも神力を使って影響を与えるようなことが出来るんだろうなと想像が出来る。

 でもきっとこのノスタに目をつけている神様って、そこまで強い力持ってなさそう。






「このまま真っすぐ行ったら、北には出るけれどそれで大丈夫か?」


 砂漠をぶらつくことを元々想定していて、行ったことのない方に向かおうとそう考えていただけだった。ノスタと一緒に砂漠の外に出た後のことは後々考えようとそんな風に思っている。



 ノスタは母さんの信者として旅をしているとかそんな感じなのかな。なんか、俺の出会った母さんの信者って基本的に自由気ままに旅をしている人とか多いイメージ。

 ここの神様は砂漠の外へと出て行けば、ノスタのことを諦めるのだろうか。どうなんだろう?



 神様って執着が強い存在は多いとは思う。母さんは父さんに対してありえないぐらいに執着しているし。とはいえ、そこまでの執着は流石に珍しいんじゃないかな。……うーん、諦めが悪い神様だったらちょっと面倒かもなんて、そんなことを思考する俺。




「それで大丈夫だ。……ああ、こんな風に誰かと喋るのも久しぶりだ!!」



 そう言いながら表情を明るくさせるノスタ。

 ……この砂漠の神様って本当によっぽどノスタの精神を削っていたんだなとそう実感した。



「良かったな」

「信仰対象ではない神からの執着なんて、はた迷惑なものだわね」



 俺の言葉を聞いて、フォンセーラは少しだけ同情するような様子でそう告げた。




 フォンセーラは俺達の前を意気揚々と歩いている。ノスタには神獣であることを明かしていないから、流石に魔物と直接戦ったりはしてない。ただばれないように対処したり、魔物達に人知れず威圧をして近づいてこないようにはしているらしい。





「ノスタはどれだけ長い間、此処にいたんだ?」

「数か月のはず……! ずっと砂漠に居たから、日付感覚が狂ってはいるとは思うけれど」



 数か月もずっと、砂漠にとらわれていたのか。本当に災難だ。その間、心が折れることなく神様の手中に落ちなかったのは凄いことだなとは思う。途中で諦めてもおかしくなかっただろう。





「え」



 ただ砂漠の外の季節や年などを伝えるとノスタは固まっていた。どうしたのだろうかと思っていると、驚くべきことを告げられる。




「ぼ、僕が砂漠に入る前より十年以上経ってる……」

「そうなのか? でも感覚的にそんなに経ってないんだろう? それなのに周りだけ時間が経っているなんて……」


 何だか神隠しか何かにあっていたみたいな状況か? でもある意味、本当にそうなんだよな。神様の一柱に気に入られてしまったからこそ普通とは時間が異なる場所へと誘われてしまっていたとかそんな感じ? あとはノスタの心を折るためというのもあるのかもしれない。

 


 なんだか、俺も話を聞いててその神様は気持ち悪いなと正直な感想を抱く。

 それにしてもノスタの周りの時間だけゆっくりとしたものにしたとかそんな感じか? どういう意図があるか分からないけれども、本人の意思を無視してそんなことをやるのは本当にどうなんだ? 






「ああ。……本当に最悪だ」

「待っている人とかはいないのか? 出たら会いに行かないとな」

「会いに行きたい相手が居ないわけじゃないが……神に目をつけられている状況で近づくのはやめとくべきだと思ってはいる」

「砂漠の外に出たら、その神の影響なんて受けないんじゃないか?」

「……それはそうだが、それでも僕は神が飽きるまでは慎重に動くべきだろう」



 大変すぎる。

 神から目をつけられると、これだけ自由が阻害されるのか。


 素直に話を聞いていると色々と同情してしまった。

 


 少なくともその該当する神様が今もなおノスタのことを見ているのならば、俺やクラ、フォンセーラのことには気づくはず。それでいて神様の力が利かないことは察しているのではないか? それならば慎重な神様ならちょっかいを出してこないと思いたい。

 だけれどもなんか、どうなんだろうな?

 どれだけノスタに対して執着しているのだろうか。




 俺達という正体不明の存在に手を出してでも、ノスタのことを手に入れたいと思っているかどうかだよな。



 そうして話をしながら進んでいたのだが……、



「途中から道がこんがらがっているな」



 真っすぐに砂漠の外に向かって歩いているはずなのにある時から感覚を狂わせられていた。






「……くそっ、またか!! すまない、僕のせいでお前達まで……」

「いや、大丈夫だ。ちょっと待ってろ」



 確かに意図的に方向感覚を狂わされたり、道をおかしくさせたりはしているけれどどうにかなるだろう。

 母さんの息子である俺がこの程度のことで挫折していたら、母さんが侮られそうで嫌だしちゃんとどうにかしないと。







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