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砂漠を歩く ②

 砂漠に存在しているオアシスってある意味奇跡だよな。

 今は地図があるから今はまだこの砂漠にやってきた人たちもなんとか生き延びていくことが出来るんだろうけれど……きっと地図がない時代はもっと大変だったんだろう。



 俺は砂の上に寝転がって、空を見上げている。

 風も生暖かい。ただ水辺が近くにあるからまだ涼しい空気もあるけれど。



「こんなところでそんなにくつろげるのなんてサクトぐらいね」

「そうか? きっと砂漠で暮らすのに慣れている人達はこんな風にゆったりとしてんじゃないか?」



 俺は砂漠で暮らしている人達がどういう人達かは知らない。それに地球でもこの世界でも、こういう場所で住んでいる人が何で生計を立てているかとか、どんな風に生活をしているかとかさっぱり分からない。過酷な状況下だと、生きていくためにひたすら生きるための行動だけをし続けているのだろうか。


 確かにそう考えると、こんな風に皆くつろいではいないのか? うーん、分からない。




「分からないわね。私もこんな風に命の危険なく砂漠を歩けるなんて思ってなかったわ。そうじゃなければこんなところをわざわざ通ろうとはしないもの」

「まぁ、それはそう」




 俺なんて、今、周りの気配を魔力で感じつつ……凄くくつろいでる。持ってきたおやつをポリポリ食べている。宿などでくつろいでる時と全く変わらない感じだ。寧ろ俺はどこでもこの調子かもしれない。よっぽど大変な時以外は。




「クラ、どこいくんだー?」

「さんぽー! しばらくしたら戻ってくるね」



 クラは少し離れたところへと向かっていたので、声をかけると散歩に行くと元気に答えられる。その場に残っているのは俺とフォンセーラだけである。




「フォンセーラ、向こうから魔物来る。対応出来る?」

「えっと、私だと気づけないかも? どこから?」



 クラが少しその場を離れた後に、大きな魔力がこちらに近づいてくる気配がした。そのことをフォンセーラに言ったけれど、彼女は気づけていないらしい。

 それならばこのままフォンセーラが魔物の対応を出来ずに死亡とかは嫌だなとそう思う。



 そういうわけで俺が対応をすることにする。あー、確かに今近づいてきている魔物は視覚に入ってこない。この距離で見た感じは何処にいるか分からないのって凄いな。




 魔力を練って、魔法を行使する。



 ――近づいてきた魔物は、砂の中から急に現れた。それこそ周りを地面ごと食らいつくす感じ。フォンセーラは俺が注意したからその場から避けていた。ちなみに他の魔物は食われていた。それと同時に魔物の魔力が増えて行ったから、食べた魔物の魔力でも吸収する性質なのかも。


 とりあえず魔法で、動きを止める。

 そして宙へと浮かせてみる。



 そうするとバタバタと動く。頭の部分が大きい。なんだろう体の数倍ある。そして体の部分は四足歩行。蜥蜴とかそういう感じに見える。口もでかくて、ギザギザの歯がむしゃむしゃと魔物を丸のみしていてびっくりした。ある意味壮観ではあるけれど、こういう魔物が大量に居たらどんどん人死にそうだなと他人事のように思う。


 俺も魔力を流して、気配を探していなかったらこんな風に気づくことはなかっただろうな。そうなると口の中に入れられてから対応になってややこしかっただろう。


 一先ず命を奪っておく。



「うーん、これ、食えるのかなぁ」

「さぁ? 知らないものは食べない方がいいわ。こういった地域だと毒持ちも多いはずだから」

「あー、それもそうか。一旦燃やしとくか」



 そういうわけで一旦、燃やし尽くしておく。そうする方がいいだろうから。

 ただ残りかすにも魔物が集まっていたけれどな。そういうのも食料になっているのかもしれない。弱肉強食の世界だからこそと言えるのか。なんか群がっている様子は少しうわぁと思った。





「他は今の所近づいてきてないか」

「サクトの使った魔法の気配で、怯えて近づいてこなさそう」

「あー、なるほどな。確かに魔力を感じることが出来る魔物なら近づいては来ないか」



 今、討伐した魔物はとても大きかった。それを燃やすために、結構大きめの魔法は使ったので、確かに周りにも魔力は伝わってそうだ。

 細かな魔物は近づいてくるけれど、結局俺達に襲い掛かってこなかったりもした。その方が楽だな。



 それにしてもクラが中々帰ってこないなとそんな風に思いながら待つ。

 先に移動しても問題はないかもしれないが、クラを待っていた方がいいだろうと思うのでのんびりと過ごしている。




 ――そうしている中で、しばらくするとクラが帰ってくる。





「クラ、何持ってきているんだ?」

「拾ったの? それ、生きている?」


 クラは猫としての小さい姿から、本来の姿へと戻っている。大きい猫。その姿のクラが人を口にくわえていた。



 俺よりも背が小さそうな、小さな存在。

 男性かは判断は出来ない。なんでこんな砂漠で人を拾ってきているんだ? それに姿も目立つ、神獣としての姿になっているし。誰なんだろうか、とそんなことを思う。生きてる?




 

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