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姉さんたちがやってくる ⑤



「咲人、どちらがいいと思う?」

「とても素敵なものが多くて悩むわ」



 華乃姉と志乃姉はそう言いながら、夢中になってアクセサリーを見ている。

 華乃姉が手に取っているのはイヤリングである。三日月の形をしたものだ。母さんが闇の女神と呼ばれているから、太陽じゃなくて月の装飾のものを選んでいるのかもしれない。

 

 志乃姉はまだどれを買おうかと悩んでいるのか、店内を歩き回っている。

 でも見ているのは、黒色系統のものだったり、華乃姉と同じような月などをモチーフにしたものだったり……。

 俺もそうだけど、華乃姉と志乃姉も大分母さんのことが好きだからなぁと思う。





「俺はこれが華乃姉に似合うかなって思う」


 俺がそう言って意見を出すと、華乃姉は嬉しそうに笑った。

 地球に居た頃からこうやって一緒に買い物をしたりよくしていたなと懐かしい気持ちになった。俺がこの世界に召喚されて、そんなに時間は経っていないのに……随分時間が経ったようなそんな気持ちになる。



 地球に居た頃、俺が家族と仲が良すぎるって友人達には突っ込みを入れられたこともあったな。姉二人と出かけたりなどを俺は普通にしていた。あと家族で旅行に行ったりとか。父さんと母さんは旅行が好きだから。

 俺の家が家族仲が良いのは、明らかに父さんの影響だ。父さんが家族が仲良いのを望んでいたから、母さんはそういう風になるように行動してただろうし。



 ……うん、母さんって地球では人を操るような力は使ってなかったと思う。というか、父さんが許さないだろうから。でも母さんってその言動で人を自在に動かすとかは力なんて使わなくても出来る人だったのだ。

 だから俺が家族をとても好きなのは、父さんと母さんの教育の賜物である。




「咲人も、これを買おう? お揃いのデザインのもの身に着けたいわ」



 華乃姉はそう言いながら、同じようなデザインのネックレスを手に取る。



「じゃあ買おうかな」

「華乃と咲人、お揃いにするの? なら、私も同じデザインがいいわ」



 悩みながら店内をぶらぶらしていた志乃姉は、俺と華乃姉がお揃いのデザインにするときくと自分も混ざりたくなったようだ。

 結局、華乃姉がイヤリング、俺がネックレス、志乃姉が指輪を購入した。全部同じ三日月を模したデザインのものだ。







「……わ、私も同じようなもの購入してもいいですか」



 黙って俺達の様子を見ていたフォンセーラは、そんな風に問いかける。

 母さんの信者としては同じようなものが欲しくなったのだろう。




「もちろん。でも完全に同じ物じゃなくて、色違いにしたら?」

「これとかいいのでは?」



 フォンセーラの言葉に華乃姉と志乃姉が頷いて、そんなことを言う。



 そうしてフォンセーラもそれを購入していた。

 その後、クラにも似たようなものを買ってあげるべきでは? という話になって、首輪につけられそうなアクセサリーを購入した。



 フォンセーラは姉さん達に勧められたものを興奮した様子で見つめていた。……何もしゃべってないけれど、きっと母さんの信者として沢山思うことがあるんだろうな。俺は母さんみたいに人の思考を読み取るなんてことは出来ないので分からないけれど、沢山喋っているのかもしれない。





「フォンセーラちゃんは本当に母様の事が好きなのね」

「そういう子が咲人の傍に居てくれるのは良いことだわ」



 華乃姉と志乃姉は……まぁ、やろうと思えば人の心を読むぐらいは出来そうな気がする。

 二人とも半神だし。とはいえ、フォンセーラに許可を取らずにはやらないだろうけれど。

 ……ただフォンセーラはきっと姉さん達が望んだらすぐに心を読むぐらい許しそうだけど。



 フォンセーラは母さんを信仰していて、だからこそその子供である俺達にも同じような重たい感情は抱いているだろう。……母さんが俺達を大切にしていなかったら別だっただろうけれど。



 だからこそフォンセーラは俺達と敵対することはまずない。どういう理由があろうとも、自身の神である母さんの意に沿わぬことはきっとしないだろう。





 そうしてアクセサリーを購入した後、お店の外に出たら……クラがまだ戻ってきていなかった。何か気を引かれることでもあって、ぶらぶらしているのだろうか。






「クラ、まだ戻ってきていないな」

「そのうち合流するだろうし、別のお店行きましょう」

「何か問題があってもクラなら問題ないだろうから、しばらくぶらつきましょう。その後、また此処に戻ってくればいいわ」



 俺の呟きに姉さん達はそう答える。



 確かに母さんの神獣であるクラをどうこう出来る存在などまず居ないだろう。何か問題が起こっていたとしてもクラは自分で解決できるだろうし。それにクラは頭の良い子だから、ちゃんと戻ってくる。



 そういうわけで、俺達は別のお店へと向かった。

 次に向かったのは、日用品などが置かれている場所だ。この世界にきて、俺はこういうお店で時々買い物をしているが、華乃姉と志乃姉は初めてなので興味深そうにしていた。



 この世界で暮らすにおいて必要なものだったり、旅の道具だったりおかれている。

 

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