1章 3話
朝、普段とだいたい同じ時間に駅に着いた。
…奈々は、先に行ったのかな?
「サキ-!!久しぶり!」
「奈々??…久しぶり。」
「…もう、来れるの…??」
「…うん。」
…奈々??
泣いてる。綺麗な涙……。
「よかった…。サキが元に戻って…!!!めっちゃ心配したんだよ!!新聞やテレビでずっとサキのことが報道されてて…。」
奈々がこんなに私のことを思っていたなんて…。私、そんなに心配かけてたんだ!!
で、こんなにも私は思われていたんだ!!
なんか、あなたは一人じゃないよ…と言われたみたいな感じがした。
「…ありがと。」
「…うん。早くしないと遅刻するよ!!行こ!」
ぁあ…奈々と親友でよかった。笑顔が戻った気がする。
でもどうやら、そう簡単には元の"サキ "には戻れないのかもしれない。
私には精一杯の笑顔だったのだけど、どうやら私の笑顔はひきつっていたらしい。
――これは、後で聞いた話なんだけど。
学校でも、ほとんど前と変わらなく過ごした。
どこにでもついてきた記者も諦めたのか少なくなってきた。
やっと1日がおわった。
なんか…疲れたかも……。
今日1日無理してたのかなあ…
まあ、急に学校で疲れただけかもね。
奈々とは別の方面だから
電車は別々。
一人で電車を待っていると、クラスメイトの風間が近付いてきた。風間は男友達。仲はまあいいほうだと思う。
「杉本…。」
「…風間。何??どうしたの?」
「家出しちゃってさあ…泊まるとこないんだよね……今日1日泊まらせてほしいんだけど…」
「…え??」