第1章 突然の出来事 1話
ん…ここ、どこ??
ツーンと鼻につく消毒液の臭い。
…病院??
なんで私ここにいるの…?
えっと…たしか…
親友の奈々と遊んで
プリとって…家に帰ったんだ。
そしたら誰もいなくて…
水踏んじゃって…
…違う!
水じゃなくて、
――血?
親は…その中で倒れていて
そしたら…私倒れちゃって…
ぁあ…私倒れたんだ…
――血だ…!!
親は?いまどこに?
大丈夫なの?
――まさか…
「また子育てなんて嫌よ!」
「しかたないだろ…俺達以外に誰が面倒みるんだよ…」
私の思考が止まった。
おじさんとおばさんの声だ。
「私は嫌よ!!」
「じゃあ、どうするんだよ!」
おじさんとおばさんが
私の面倒みてくれるのかな??
「…一人で暮らせるでしょ。」
おばさんは前から私のことが嫌いだから、こういう答えが返ってくるのも無理はない。
でも…さすがにショックだった。
私のこと、そんなにも嫌いだったんだ…
「一人って…家は?生活費は?」
「…それくらいの面倒は見るわよ。でも…子供1人増えるなんて嫌よ…。」
「…そうだな。金は毎月15万なんてどうだ?」
「別に…私たちにはお金が有り余るほどあるのよ?30万にしてあげたら?あのこが欲しいと言うならもっとあげてもよくないかしら?」
「そうだな…。それで解決するなら。」
おじさん家はすごくお金持ち。でも お金で解決する問題じゃあないよ…。
――私、誰からも必要とされてないの??
そう思っている間に
おじさん達はどこかに行ってしまった。
急に静かになった。
すると、おばさんの声で止められた両親のことが再び蘇ってきた…。
――親!!
おかあさんは??おとうさんは??
…あの血の量…
尋常ではない。
もしかしたら…もう、
助からないかもしれない。
なんであの日私も一緒に連れていってくれなかったの…?
私が学校にいる間??
親友の奈々と遊んでいる間??
――いつ殺されたの??
あんなに嫌いだった親が今はとても恋しい…。
なんで死んじゃったのよ!!
私一人残して…
――会いたい…会いたいよ!!
……あれ??
な…なんで??
親があんな目にあったのに…
もしかしたら死んじゃったかもしれないのに…
なんか…悲しくない。
もちろん嬉しくもない。
ただ…無。何も感じない。
いろいろと思うことはあるけど恐ろしいような悲しみには襲われない。
そして、なによりも
―――涙が…出ない!!!