2章 11話
「うん。ほんと。」
そう言って私を優しく抱きしめてくれた。
「この週末ね、木村先生の家にいたの。」
「先生??!なんで??」
「………言えないよ。やっぱり、無理。………ごめん。別れよ??もう無理だよ。」
「何がだよ。何が無理なんだよ。俺は杉本がいいんだ。杉本じゃあなきゃ駄目なんだ。」
「わかった。」
私は、風間に嫌われるのを覚悟し、話した。
晩ご飯のこと。
急にヤられたこと。
起きたらもう夕方だったこと。
家から出たら先生がいたこと。
監禁されたこと。
鍵が開いてたこと。
すべてを話した。
風間は最後までだまって聞いてくれた。
私は、風間に引かれたんだ、と思った。
「……ね??無理でしょ??だから、優しくしないで。私を優しく抱きしめないでよ………。」
私は風間の腕をおろし、風間の顔を見た。
「………風間??」
………泣いてる。
「ごめん。俺、お前のこと守るとか言ってて……ほんとごめん。守れなかった。お前を傷つけてしまった。ごめん!!俺のせいで!!!!」
「なんで謝るのよお!!私が悪いんだよ??私が家に気軽に入らなかったらよかったんだよ??」
「ぅうん。俺が悪いよ。守れなくてごめんな?ほんとにごめん。」
「ぅう……ぐすっ、ご、ごめんー!!!ぁあああぁぁあ!!!!」
「今度からはちゃんとお前を守るよ。」
「お前が全部をしゃべってくれてよかったよ。」
「すっきりした。全部受け止めてくれて、ありがと。」
「受け止めるもなにも、杉本は悪くないだろ??」
「……うん!!」
「じゃあ…あれは、取り消しだよな??」
「………あれ??あれって何?」
「別れるって話だよ。」
「……風間は汚れた私でもいいの?」
「杉本は汚れてないよ。綺麗だよ。」
「ありがと!!!!!」
「杉本……。」
「ん??」
チュッ!!
私はこの時すごく幸せだった。
この時は……。