聴覚障害者の日常 音声認識編
昨今の技術革新は目を見張るというか、置いてけぼりになっていく感覚があるのはアタシだけだろうか?
3G携帯がつながらなくなるかもしれないということで、仕方なく機種変更をしてきた。
3G携帯だった夫、1号は、さっさとシンプルスマホに切り替えた。
アタシは目覚まし代わりにするのに重宝していたガラケスタイルのパカパカ折りたたむ携帯でないといやだと頑張り、4G携帯になった。
帰宅して、携帯を使おうとしてしばらく操作をして、早くも後悔の念でいっぱいになった。4G携帯は、ガラケの形をした、なんちゃってスマホだったのだ。インターネットを見るときは、テンキーのある面をマウスパッドよろしく指で滑らせたりタップしたりするわけだけれど、もはやテンキーの意味すらないのだ。小さな画面の上をすべるアイコンの矢印をみながらテンキーのうえをすすすっっと指を滑らせタップするのは慣れるまでにかなり時間がかかり、スクロールさせるのも一苦労だった。そうしてえっちらおっちらやっていたら、1号が一言。古い携帯で目覚まし代わりにしたらよかったんじゃない?
………ごもっともです。それに気が付くのが遅かったです。
仕方ないので、新しい4G携帯を使いこなしていくしかない。そうしていろいろいじってみたら、音声認識機能があることに気が付いた。
携帯を開いた瞬間に音声認識が働くらしく、電話帳に載っている人の名前を携帯に話しかけると認識して、その名前の電話番号をセットしてくれる機能があるのだ。例えば、井上花子という人が電話帳に載っていて、携帯電話に「井上花子」と声をかけると「井上花子さんに電話しますか」と表示されるのだ。「井上」だけでも「花子」だけでも検索して表示してくれる。残念ながら電話機能だけだけど。
早速、トライしてみた。
子供たちの名前を言ってみた。
………
結果は惨敗であった…。
かろうじて1号の名前を認識したのだが、2号と娘の名前には認識できなかったらしく反応しなかった。
夫のは愛称でも名前でも登録しているのだが、愛称では反応したが、名前では反応しなかった。何十年も愛称で呼びかけていたのだから、通じなかったらさすがにショックかもしれない。
苗字では反応したので、家族もれなく表示された。
しかし、「お母さん」といっているのに「お父さんに電話しますか」と出てきた。何度、「お母さん」といっても音声認識では「お父さん」らしい。
アタシの声はリアルではどうやら普通には聞こえるのだが、くぐもったフラットな発声のために、自然な声とならず音声認識では認識しづらいようだ。
いいんだよ、別に。機械に認識されなくたって、家族や友達が理解してくれればいいんだからさ。
音声認識相手に、認識されて喜んだり悲しんだりするってことが、なんだか複雑で勝ち負けじゃないんだけど負けたような気がするのだよなぁ。くすん。