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explode pierce

作者: 鳴海ゆら

道路の真ん中にキラキラと光るものが見えました。

それは人通りも少なく、車両もあまり通っていない道路の真ん中に落ちていました。

それは、太陽の光を受けて反射し、光っているように見えました。

そこへ、一人の少年がやってきました。

少年はそれを見つけ、拾い、しばらくながめていました。

落ちていたのは、太陽に反射して光っていたピアスでした。

そうして30秒ほどたった頃、少年はそのピアスををズボンのポケットに突っ込むと、再び歩き出しました。

しかし、少年は、自分のズボンのポケットに穴が開いていたことに気がついていませんでした。

少年のズボンのポケットから少年がたった今拾ったばかりのピアスが落ちました。

地面にピアスが落ちてからおよそ10秒後、ピアスはワープするかの如く、消えてなくなりました。


ある春の日の出来事でした。


――――――――――


とても大きな町の真ん中にあるポストの上に、指輪ほどの大きさのピアスがおいてありました。

ある女性がそれを見つけ、手に取りました。

その女性は、それをしばらく見つめてから自分の右耳につけようとして、やめました。

女性はポストの上にピアスを戻すと、再び歩き出しました。

女性が立ち去ってから1分ぐらいたつと、ポストは爆発して、飛び散りました。

そしてそのポストの破片の中に、無傷で残っているピアスがありました。

そのピアスは意思を持っているかのごとく、高く高く飛び上がり、そして消えました。

とても人通りの多い場所だったので、ポストの爆発にまぎれたそのピアスの存在に気づいた人はいませんでした。

爆発によって、人通りの多い街路は大騒ぎになりました。


4月16日の出来事です。


――――――――――


虹がかかっている丘がありました。

その丘には立て札があり、そこには探し物の張り紙がしてありました。


『超常現象!消えるピアス!?

 私の持っている、時間を越えて移動するピアスがどこかに行きました。

 心当たりのある人は、○○町、”種子島”まで。

 

 注:開発中&失敗作品のため、触れ続けて30杪~1分たつと爆発します。 

   30秒たってから爆発するまでの間に手を離すと、消えます。

   見つけた人はピアスには手を触れず、連絡ください。

 電話番号: (××××)△△-□□□□  3月2日』


1人の高校生がその丘にやってきました。

その立て札には目もくれず、近くにあった柵によりかかりました。

高校生の寄りかかっている柵の下に、ピアスが落ちていました。

高校生は、そのピアスに気づき、手に取りました。

しかし、それを少しの間観察すると、ため息をついてそのピアスを柵の向こうに投げました。

その高校生はピアスを投げてすぐにその場から走り去ったので、

空中でピアスが消えてしまったことに気がつきませんでした。


桜の季節の出来事です。


――――――――――


ある研究所がありました。

研究所の表札には『種子島』と書いてありました。

その研究所は木で囲まれていました。

その研究所の中で、人の声がしました。


「種子島さん!ちょっときてください!」


その女性は研究所の中の一角にあるショーケースを指差して言いました。


「え?どうした?」


種子島と呼ばれた人物ははショーケースを見てハッとしました。

そこには全く同じにしか見えないピアスが2つありました。


「俺はここに、1つしかピアスを入れていないはずだぞ?」

「私も見ましたよ。ということはつまり、失敗作のほうが戻ってきたのでは?」


種子島は少し考えてから、言いました。


「俺は今から、このピアスに触れようと思う。見分けが全くつかないから、賭けるしかない。」

「種子島さん・・・!そんなことしたら研究所ごと吹っ飛びますよ!!!危険です!!!」

「いや。両方一緒に触れるんだ。片方は爆発し、片方は私の意志によって私と共に他の場所へワープするはずだ。

 どの道、失敗作のほうは処分しなければ危険なんだよ。」


――――――――――

種子島研究所は、瞬間移動を人間の意志によって行うことを可能にしようと様々な研究をしていました。

それによって生まれたのが、『ピアス』です。


最初のピアスは、人間が触れると『人間の意志の制御不能』になるため

1分以上触れると爆発してしまうものでした。

しかし、そのピアスも瞬間移動の能力が備わっているので、手を離せば、ピアスだけ瞬間移動してしまうのでした。

次にできたピアスは完全に人間の意志によって移動ができる完成品でしたが、

最初のピアスと全く同じ形をしていました。


「やめてください!」

種子島の助手だと思われる人物はいまだに説得を続けていました。

「ここの研究所が爆発してしまったら、いままでの大切なデータはどうなるんですか!!!」

「赤城君。君は、離れた所に行きなさい。俺は」

種子島はそういうと、二つのピアスに手を伸ばしました。

種子島は、爆発の衝撃によって失敗作の方のピアスを処分することを考えていました。


助手は泣きそうな顔をしましたが、あきれたように首を横に振って、言いました。

「分かりました。また後で、私の元に来ることを誓ってください。そのピアスで。」

「誓おう。それでは、また会おう。」

――――――――――


ある研究所がありました。

研究所の表札には『種子島』と書いてありました。

その研究所は木で囲まれていました。

次の瞬間、大きな爆発が起きました。


研究所には誰もいないようで、爆発の後も静まり返っています。

爆発が起こった地点だと思われる部屋の一角にはショーケースの破片のようなものが散らばっていました。

そのなかに、傷一つついていないピアスがひとつ、落ちていました。

そのピアスは、きらりと光ると、一瞬にして消えてしまいました。

どこにいったのかは誰にも分かりません。


あちこちで新芽が芽吹き始める季節のことでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 読み進むにつれてピアスの謎が明らかになってゆく… その感じが何とも言えず、心地良いです(*^^*)
[一言] とても不思議なお話だなと思いました。 ピアスが中心となり物語が進んでいき、テンポよく読めました。
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