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豊穣の女神と飢餓の魔女  作者: 水沢 流
フクと愉快な仲間達
30/35

神感覚は謎だらけ

 硬直、してました。

 唇が離れ、ヨミの顔が離れ、それでもまだフリーズしておりました。私が。


 な、なななな何が起きたのでしょうか今!?


 挙動不審になりまくる私とは正反対に、涼しい顔をしているのはヨミ。

 整った顔を少しだけしかめ、その口元に手をやって言う事には、


「…なるほど、厳しいな」


 言わんこっちゃない。コンニャク芋の破壊力はすっごいんですよ。

 コンニャクは体に良さそうなイメージで定着してますが、何でも自然な状態が一番!とか言ってろくすっぽアク抜きもしないで芋を食べたらジ・エンドです。


 自然、なめたらあきまへん。


 それはさておき、必死で無表情を保ちながら、ふるふると痺れに耐えているヨミが、ひっぱたきたくなるぐらい可愛いです。

 かく言う私も、コンニャクのダメージで唇がすごい事になっていますが、そこはそれ。生芋よりはマシってもんです。


「不意打ちは卑怯やで…」


 そう言いながら、がしがしと袖で口元をぬぐっていると、ナギがすたすたとヨミの方に近付いて行きました。


「ヨミ」


 耳聞こえの良い声で、ナギがその名を呼びます。

 それから、ふっと指先に息を吹きかけたナギが、その指をヨミの唇に当てました。

 ううむ、絵になりますね。すねてうつむくヨミも、微笑むナギも。


「無理はいけませんよ、ヨミ」

「兄上…」

「ヨミがやらなくても、私がいるんですから。ね?」

「兄上が出る幕でも、ないと思ったのです…」


 ん? それって。

 ヨミがやらなきゃナギがやるって事?


 そんな予感に後ずさる私と、その私を見てにっこりと笑うナギ。

 ゆ、指で触れるだけで足りるんじゃないんですか!? その笑顔は何ですか!?


「キョウーっ!」

「なぁにぃ?」

「日が昇り切る前に木苺とひゆ採りに行くから付き合ってー!」

「いいわよーぅ」


 きゃっきゃと嬉しそうに駆け寄って来るキョウを盾にして、ヨミとナギの視界から隠れ…られない私。


 残念、幅が違いました。

 おのれ、スリム逆宝塚め。むしろ、キョウが細すぎるっちゅん。


「シキはアク抜き徹底しておいてっ、茹でたり干したり水さらししたりしりゃええからっ」

「はい。お戻りは? それと、キョウ様を連れて行くのはちょっと」

「戻りは夕方! あと、キョウには変なモン食わせたりせんって約束するから!」

「わかりました。行ってらっしゃいませ」


 と、やっと承諾してくれたシキを残して、キョウを連れて本堂を飛び出す私。


 途中で鳥避けのタラノキを持ち、縄を持ち、犬三匹も招いていざ山へ。

 いいんです、頭が混乱した時は働くか動くのが一番だって、じっちゃんが言ってましたから!

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