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漆黒の魔法少女②

視線の先に佇む、如月 夕日。

その闇に抱かれた存在を見つめ、茜は己の内で自問自答を繰り返す。


何をした。

如月 夕日は今、なにをした。


足に力が入らない。


自身の足。

そこに闇がまとわりつき、立てない。

まるで、【立つ】という行為そのものがはじめから存在しなかったかのように。


「おいッ、夕日ぃ!! てめぇわたしに何をした!?この赤澤 茜になにをした!?」


汗を滲ませ、茜は夕日に問いかける。

焦りに満ちた声音。そしてその顔には、いつも浮かべていた余裕は欠片もない。


そんな茜の姿。

それを夕日は無機質に見据えるのみ。

闇は夕日に寄り添うように、その小さき身を包む。


「夕日」


「光が闇を浄化するように」


「闇もまた光を侵食する」


夕日の頭の中。

そこに響く、柔らかな声。


「闇は光を侵食すればするほどその深淵を増す」


「深淵を増した闇」


「それはきっと夕日をもっと強くしてくれる」


頭の中で反響する声。

それに夕日は答えない。

ただ静かに。茜のほうへとその歩みを進めるのみ。

夕日の歩み。それに呼応し、闇もまた夕日の足跡をなぞるように後に続く。

まるで、主に付き従う従者のように。夕日の意に応えるかのようにして。


月の光。

その白ささえ、夕日の闇を白く照らすことはできない。


こちらに近づく、如月 夕日。

その姿。それに、茜は唇を噛み締める。

だが、その顔は未だ【魔法少女】のソレだった。


焦燥はある。

しかし、無抵抗という選択は【赤澤 茜】の中にはない。


立てない。

だとすればーー


手のひらをかざす、茜。


赤々とした自身のオーラ。

それを茜は、かざした手のひらに凝縮させていく。


周囲の色。

それが赤く染まる。

茜を中心に渦巻く真紅の力のオーラ。


「如月 夕日」


三度。夕日の名を呟く、茜。

その呟きに込められているのは、闇に対する【敵意】と夕日に対する【殺意】。


無能あんたに、わたしは負けねぇ。きさらぎ ゆうひにわたしは負けねぇ」


その瞳は赤々と光を放ち、その表情は覚悟を決めた者のソレだった。


凝縮され、球体のカタチをとっていく茜の真紅のオーラ。

茜は嗤う。如月 夕日を見つめ、嗤う。


"「魔法少女? へぇ。楽しそうじゃんそれ」"


刺激のなかった日々。

そんな日々に終止符を打ったのは、【魔法少女】という名の暇つぶし。


そして、赤澤 茜が求めたのは無能じゃなく、有能な仲間。

求めたのは刺激のある日々と、有能な仲間たちとの出会い。


だからこそ。


「如月 夕日」


「わたしは、あんたが大嫌いだ」


「無能なアンタが大嫌い」


吐き捨てる、茜。

倣い。茜は球体と為した真紅の力を、夕日に向けて撃ち放つ。


夕日に向け飛来する、真紅の球体。


夕日はそれに意思を表明した。


【癒す】


【当たるという苦しみから】


瞬間。

真紅の球体は闇に包まれ、その場から消失。

夕日に当たることすらなく。そこにははじめからなにもなかったかのように。


目を見開く、茜。

そして気づけば、闇は茜の身体にまとわりつき、【侵食】という名の捕食をはじめようとしていた。

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