表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子一人、お湯を沸かすだけの夜  作者: バッシー0822


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/38

理想の縁をなぞる

「……退職、したって」


薄曇りの朝、スタッフルームで聞いた一言に、雪野梢は言葉を失った。


夢野あかりが去った理由は、誰も大きく口に出さなかった。ただ、暗黙の了解のように、一部の利用者が“彼女の若さと容姿”に必要以上に近づいていたという話が、風のように流れていた。


どんなに前向きで明るかった彼女も、現場の空気の重さには抗えなかったのだろうか。


雪野は、その日から利用者との“間合い”を強く意識するようになった。


優しさと近さは紙一重。信頼と過剰な期待は時にすれ違う。


「ありがとう」と言われるたびに、相手の目を探るようになった。

「触れてもいいですか?」と確認する声は、前より少し震えていた。


同僚に聞かれた。「最近、少し慎重だね」


雪野は頷いた。


「優しさって、距離を詰めることじゃなくて、適切な距離を守ることかもしれないなって…思うようになった」


──研修で見たあかりの眩しさが、今では胸の奥で静かに響いていた。


彼女が残したものは、明るさだけではなく、「現場にある見えにくい課題の存在」を浮かび上がらせた。


雪野の介護は、以前よりも少しだけ、静かで深くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ