眩しさの隣で
研修センターの午前。机を並べて座る同期たちの中で、夢野あかりの笑い声はひときわ明るかった。
若く、可愛い。前向きで、どこかあけすけな言葉も嫌味なく響く。梢は、少しだけ距離をとって隣に座った。視線を合わせるたびに、どこか胸がざわついた。
「介護って、やっぱ体力勝負だと思ってたけど、コツ次第で軽く持ち上げられるんだね〜」
講義の合間に、あかりがそう言って笑う。
確かに研修が進むにつれて、「力任せではない介助」の技術を学び、梢も“自分の身体でもできること”が増えていった。ベッドからの移乗、排泄介助、身体の支持――どれも初めは腰が引けていたが、講師の手本と図解に助けられ、次第に身体に馴染んでいった。
「うまくなってきましたね、雪野さん」と、指導員に言われたとき、梢は少し戸惑ったように笑った。
眩しさに目を細めるような気持ち。あかりの言葉を聞きながら、自分とは違う道を歩んできた若者の“軽さ”を前に、梢は不思議と羨むのではなく、その隣で呼吸することに落ち着きを覚えていた。
年齢も、経験も、歩いてきた道も違う。それでも、同じ技術を習得し、同じ空気を吸って笑い合える時間が、研修室の片隅にあった。
梢は思った。
──どんな人にも、“身につけていける仕事”があるのだと。




