表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子一人、お湯を沸かすだけの夜  作者: バッシー0822


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/38

繰り返しの中にある静けさ

話は、いつも似たような内容だった。


「会社の昼休みには、大体あの喫茶店に行ってたんだ。梢、覚えてるか?あそこのナポリタンはなかなかだったよ」


「君が小さかった頃、よく夜泣きしてさ……お母さんが困り果ててたっけな」


それは、まるでカセットテープを繰り返すような、同じ記憶の輪唱だった。言葉の順も、間の取り方も、昨日とほとんど変わらない。


だが、梢にはそれが心地よかった。


誰かと過ごす時間に、予測できる安定と、ゆっくり染み渡る安心があることを知った。

そして父の声には、過去をなぞる優しさがあった。かつての時間が、今もどこかに息づいているようで──。


毎日少しずつ病室の窓辺の光が変わるように、父の話もごくわずかずつ、形を変えていった。

同じ話の中で、昨日は出てこなかった人の名が現れることもあった。夕暮れの色が少し違うだけで、記憶の風景もすこし違って見えた。


梢は、もう一度、父の話を聞く準備をしていた。

それは「知らなかった時間」を知る旅ではなく、「すでに忘れかけた大切さ」を思い出す旅だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ