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女子一人、お湯を沸かすだけの夜  作者: バッシー0822


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見下される場所で

残業後、部長に呼び止められた。


「最近、よく動いてるみたいだな? お盛んじゃないか」


言葉に棘はなかった。むしろ、妙な親しみさえ含んでいた。スマホの画面には、マッチングアプリのアイコン。雪野のプロフィールが、そこに映っていた。


「俺もやってみたんだけど、結構いいねくるんだよな」


笑いながら、スクロールする指。その指を見て、雪野は言葉を飲んだ。


冗談めかした誘いは、その夜、個室居酒屋の暗がりに変わった。安い酎ハイと冷えた枝豆。ふざけたトーンの会話。そのうちに、境界線は曖昧になった。


──こんなこと、望んでいたわけじゃない。


部長には妻がいた。子どももいた。雪野はそれを知っていたし、軽蔑もしていた。けれどその夜、彼女は何も言わずに部長の隣を歩き、そのままビジネスホテルのカードキーを受け取った。


それが自分に向けられた“選ばれたという実感”であるかのように錯覚したからかもしれない。


ベッドの中、部長の背中に遠い昔の父の影が重なった。雪野は目を閉じた。


──ここまで落ちたのか。


その夜は、湯も、罪悪感も、沸かなかった。

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