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7 利害の一致

「僕を君たちの仲間にいれて☆」

…はい?

「…なにを言って」

「そ、そうよ、あなた、聖教会の使徒でしょ!」

ユウがそう叫ぶ。

そうだ、彼はユウの敵のはず。

「…それに別に私、この子と仲間ではないけど…そりゃ、助けてもらったけど…」

…それもそうだ、だた、こちらが一方的に助けただけだ

「はぁ、雑魚の癖にごちゃごちゃうるさいね、開闢の勇者」

「ざ、雑魚って…」

「だって君、勇者の能力を覚醒させてないでしょ?」

覚醒…?なんの話だ?

「なにも知らないみたいだから教えてあげるよ…ヒカルちゃん?」

「…」

こいつ、俺の名前まで知って…一体どうやって?

「勇者はね…その能力を覚醒させるために世界各地に散らばる祭壇に祈りを捧げる必要があるのだよ」

…なんだそれは…まるでRPGゲームのような…まあそれはいい。

「…それと、お前を仲間にするのになんの関係がある?」

「話はこうさ…教会は「開闢の勇者」を裏切者と判断し、処分することにしたんだ」

「…へっ!」

「そして、その執行人として…聖教会第3番使徒「不死鳥」が派遣される」

…不死鳥?

「…な、なんで、「不死鳥」が」

ユウが狼狽しだす…そんなヤバい奴なのか。

「不死鳥はね、文字通り不死身なんだ…どんな強者だろうと彼から逃れることはできない…殺しても、殺しても、復活して、追い続ける」

…うげ、最悪すぎる。

「…僕はね、もう教会に飽きたんだ」

「…飽きた?」

「そう、もう何百年もつまらない雑魚の相手ばかり…でも教会を抜ければ不死鳥が追い回してくる…ほんと、厄介だね…そこで、君だ」

「…俺?…俺は正直に言って」

悔しいが、こいつに歯が立たなかった。

「あらら、君、自分の魔法すら忘れちゃったの?」

「俺の…魔法?」

「世界葬、世界を葬る能力」

…やはり、俺の魔法は完全に把握されているっぽいな。

「世界を葬れるのに…たかだが、不死者一人葬れない道理がないとは思わないかい?」

「つまり、俺の能力は…その「不死鳥」に、有効なのか」

「うん、特効って言ってしまってもいいかもしれないね、まあ流石に君一人じゃ勝てないだろうけど僕と組めば…ね?」

…なるほどな。

「「不死鳥」さえ葬れば、僕は自由になれる…そこの勇者が魔王を倒すための旅くらい付き合ってあげるよ…僕と君たちは、「不死鳥」を倒さなければ前に進めない…ほら、利害が一致したよ」

…確かに利害は一致したが…そもそもなぁ。

「…いいわ、その話、受け入れるわ」

と、そこで、ユウがそう言う。

「…いいのか?」

「正直そこの「雛鳥」は信用できないけど…「不死鳥」に狙われているんじゃ…他に選択肢はないし…何より」

「…何より?」

「あなたは…何故だかわからないけど…信用できそうだから!」

「…そう、か」

何故、信用されたか正直わからないけど…普通に嬉しい。

「よし、話はまとまったね」

そう言うと雛鳥は薙刀を消し去る…やはりその薙刀も俺の剣と同じようなものなのかな。

「…ほんとは君のその貧弱極まりない戦闘技術を一から鍛えたいところなんだけど…残念ながら…時間がない」

「時間がない…ということは、「不死鳥」はもうこの近くに…?」

「えっ!」

「近くに…というか、あれだね…てい」

「…っ!」

「きゃっ!」

唐突に雛鳥が何らかの力を使って俺たちを吹き飛ばす。

「…なにをっ!」

あわてて起き上がろうとして、それが目に入る。

吹き飛ばされる前まで俺たちがいた場所に巨大な氷の槍が突き刺さっていた。

…もし、雛鳥が俺たちを吹き飛ばしてなければ…おそらく直撃していた。

そして、俺たちを助けた?当の雛鳥ら再び2本の薙刀を出現させて構える。

「もう、「不死鳥」は僕たちを攻撃しているよ?」

「…俺たちはどうすればいい?」

「そうだね…作戦はこうだ、へっぽこ勇者は死なないように…ヒカルちゃんはね」

雛鳥は笑みを浮かべて言う。

「僕が「不死鳥」を一回ぶち殺すから、それを葬れ」

するとそれに答える老成した声が響く。

「…不遜であるな、たかだか数百歳の小僧が」

…いつの間にか…いた。

その人物は長身の老人。こいつが「不死鳥」…か。

「へぇ…生き返ることしか能がない老人がよく言うよ…アハハ!」

「雛鳥…お前も裏切者として…処分する」

「じゃあ、ヒカルちゃん、さっきの通り頼んだよ?」

そうして…始まった。

俺のような偶々、強力な魔法を手に入れた素人と違う。

長きにわたり戦いに身を投じてきたであろう、本物の化け物同士の殺し合いが。


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