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怪異から論理の糸を縒る  作者: 板久咲絢芽
閑話1 コックリさん(事後処理)
86/209

9 不審者が言うことにゃ7

「そう、お稲荷(いなり)さん、それが重要だ」


上機嫌(じょうきげん)のおにーさんは手にしたお茶のペットボトルの(ふた)を小さく(はじ)いて、またキャッチする。


「キミ、お稲荷(いなり)さんはどう思ってる?」

「え、狛犬(こまいぬ)じゃなくてキツネが鳥居の脇に立ってる……あと京都の伏見稲荷(ふしみいなり)の鳥居はすごいって言う、ぐらい、かなあ」


直接見たことがなくても、ネットやテレビであの大量に並んだ赤い鳥居の景色は、インパクトがスゴい、と言うか、神様に関係するもののはずなのに、少し不気味でもある。


「じゃあ、なんの神様かは?」

「えっと、商売繁盛だっけ」


稲荷(いなり)さんは神社だけでなく、個人が(ほこら)として(まつ)る場合があることは、晴人(はると)は知っている。

昔通っていた幼稚園の近所のお宅に(ほこら)があったのを見た母親が、あら、お稲荷(いなり)さん、と(つぶや)いたのを覚えていたからだ。

別にそれを聞いて、稲荷寿司(いなりずし)勘違(かんちが)いして、どこ? と言って母親に笑われたからとか、そういうのじゃない。そういうのじゃないから思い出したくない。


「んー、本来はお稲荷(いなり)さんは宇迦之御魂(うかのみたま)御食神(みけつかみ)と呼ばれる、食物(しょくもつ)、特に稲の女神と考えられるんだ。この神様が狐と紐づいた理由はネズミを()るからとか諸説あるけど、三の狐の神で三狐神(みけつかみ)と書く例があったり、古くからキツネと紐づいていて、キツネをこの神の使いと考えていた。『古事記』上の系譜でいくと、大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘の神大市比売(かむおおいちひめ)須佐之男(すさのお)の間に生まれた子で、兄弟には大年神(おおとしがみ)がいる。『日本書紀』だと伊邪那岐(いざなぎ)伊邪那美(いざなみ)が産んだとされるけど、『古事記』の説は、異域たる山の神の娘と、(すさ)びちはやぶ男神(おがみ)の婚姻から生まれた子供たちが、食物の神である宇迦之御魂(うかのみたま)と一年の(みのり)の神である大年神(おおとしがみ)であることは、稲妻(いなずま)の語源も含めて考えると実に興味深い」


とりあえず脱線してるな、と思いながら晴人(はると)はコーラをごくごくと半分ほどまで飲んだ。

その様子で好奇心に(とろ)けた目をしていたおにーさんは、はっと脱線している事に気づいたらしく、一度(せき)(ばら)いをした。


大年神:大年神の「トシ」は「とし」に通じる。多く、正月様などという呼び名で新年の開始と共に里にやってくる神、山から来る田の神としての側面を民間信仰の中に持つ。

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