表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪異から論理の糸を縒る  作者: 板久咲絢芽
閑話1 コックリさん(事後処理)
83/209

6 不審者が言うことにゃ4

「そこまでは言わないし、日本に限った話でもないさ。でも自分一人ではできないなら、できる人間に助けを求めて、代わりに何かあげたり、逆に相手ができないことをするだろ? 互恵性(ごけいせい)互酬性(ごしゅうせい)、つまりは取引。人の社会の営みとしての基礎の一つだ」

「……それを人じゃないものにも適用するの?」

「正確には適用して勝手に期待するだけだよ。良い結果が返れば、対価として相応(ふさわ)しかったとするだけ。悪い結果が返れば、対価として相応(ふさわ)しくなかったとするだけ」


そう言ってまた一口お茶を飲むと、おにーさんは困ったような笑顔になってこっちを見た。


「キミの現状だって、そう変わらないぜ? キミの言うところのクラスのマドンナも、クラスメイトも、クラスのマドンナと会話できて、そのマドンナから頼まれ事を受ける事自体を、(しか)るべき対価としてキミに勝手に期待して、キミはその期待を裏切った時の反応を天秤にかけて、その厄介そうな頼まれ事を引き受けた。だろ?」

「う……」


そう言われると、晴人(はると)は否定できなかった。

そして、そうか、神様にそういう圧を自分達は与えているのか、とも思う。


「人の想像力には限界がある。どうやったって人は人の(ことわり)を元にしか考えられないんだから。だから如何(いか)荒御魂(あらみたま)とて、(しか)るべき(もてな)しにより(さいわ)いを(もたら)すものとされる……そういう意味だと、コックリさんは本来(ともな)うはずの対価すら(ともな)わないから、扱いが雑。というか、うっかりすると()()()()とかの方向にも近いかな。アレは条件を(そろ)える必要はあっても、対価は必ずしも必要ではない。だから、やっぱり西洋生まれとした方が得心(とくしん)がいくんだよねえ」


のほほんとしながらもとんでもない単語が聞こえた気がして、晴人(はると)はコーラに軽くむせながら、おにーさんを強張った顔で見上げる。


「おにーさん、本当に何……?」

「ははは、魔術師(マジシャン)は実はそう遠くないんだよ。まあ、あくどい事はしてないよ、(ちか)って」


通りすがりのオカルティストにしたって限度というものがある。


「まあ、そんな雑な(あつか)いだからこそ、十円玉をはやく使え、というのは、日本の(けが)れ思想の反映である反面、対価としての側面もあるんじゃないかなあって思うわけでね」

「……いや、なんで? コックリさんで呼び出した霊に使うわけじゃないじゃん」


前半はまだわかる。えんがちょ、とかいうやつだ。

だが後半はわからない。だって霊はお金なんて必要としない。

まして、それが動物であるならば。

それぐらい晴人(はると)だって簡単にわかる。


悪魔召喚に対価はない:悪魔召喚の手順の多くは、神の名のもとに行う以上、悪魔側から見たら「神の名による嫌がらせをやめさせたかったら言う事きけ」というなかなかに傍若無人なもの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ