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怪異から論理の糸を縒る  作者: 板久咲絢芽
閑話1 コックリさん(事後処理)
82/209

5 不審者が言うことにゃ3

祖霊(それい)信仰、ご先祖様を(まつ)るって根底からすれば、そこに違いはあんまりないし、そもそもとして神域ってのは言葉の(あや)であって、より正確に言うなら異域とか異界だもん」

「何が違うの、それ」

「うん? 絶対的なアプリオリ(前提)か、相対的な二項対立かどうか?」


余りにも意味がわからなくておにーさんを見上げる。


「神域って言葉は前提として神様の存在ありき、なんだよ。だって神様がそこにいなければ神域を名乗れない。神社は神域を名乗れても、神社ではない霊場は神域になれない」


――でも、異界や異域は違う。

また、ちらりと、淡い茶の目の中に緑の光が揺らぐ。


「異界も異域も、常と異なる、つまりは異常な場ということ。この場合の常は、僕ら生きた人間の領域、里、つまりこの世のこと。それに対する異常は、()()()()()()()()()の領域であること。『神様は()()()()()()()()()である』という等式は常に成り立つけど、『()()()()()()()()()は神様である』という等式が常に成り立つとは()()()()。神様は()()()()()()()()()という集合の一部、()()()()()()()()()という集合の方が上位の包含(ほうがん)関係だ。つまり、異界や異域という言葉の根底は、生ける人を基軸(きじく)とした、生ける人とそれ以外の二項対立における概念なんだ」


わかったような、わからないような。

ぽかんとしたままおにーさんを見上げていると、おにーさんは気不味(きまず)そうに視線を()らした。


「……難しかったよね、知ってる。よく言われる」

「ええっと、異常震域(いじょうしんいき)って言葉みたいに、良くも悪くもない異常っていうのはわかったよ?」


神様も(ふく)むというのなら、悪い意味での異常というわけではない、と判断をくだした上で晴人(はると)はそう言った。

あくまで、「普通じゃない」だけの「異」という認識である。


「あー、うん、そうね。昨今使われる言葉で、あれほどニュートラルなニュアンスのある『異常』という言葉もなかなかない。何故か『異常』という言葉はマイナスなニュアンスとして使われがちだし、それで異常震域(いじょうしんいき)って言葉自体を誤解する人もいたりするけど」


それは置いといて、とおにーさんはちびりとお茶を飲んだ。


「日本においては神様とそうした()()()()()()()()()の境は割とあやふやだ。御霊(ごりょう)信仰(しか)り、ちはやぶるものなら(まつ)って(もてな)して、良いようにその有り余る力を使ってもらおう、という色が強いからね」

「んーと、日本人、割と調子乗ってるって理解でいいの?」


とりあえずわかった点だけを端的にまとめて聞くと、おにーさんはおかしそうにくすくすと笑った。


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