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怪異から論理の糸を縒る  作者: 板久咲絢芽
閑話1 コックリさん(事後処理)
77/209

序 不審者との邂逅

閑話はほぼほぼ読解編と同様のノリで成り立っております

(ひぐらし)の声がどこからか聞こえて来る住宅街の片隅。

その月極(つきぎめ)の駐車場のさらに片隅の自販機で、晴人(はると)は困惑したまま十円玉をコイン投入口に入れた。


――ちゃりん


()()、その音がした。

自販機の釣り銭口を困惑のまま(のぞ)き込めば、やはりまた入れたはずの十円玉が落ちている。

晴人(はると)はため息をついて十円玉を取り出そうと指を伸ばした。

しかし、指が触れた瞬間、


「あつっ」


夏場だから、静電気というわけでもないだろうが、ぴりっと(しび)れるような、熱いような痛みが指先に走り、反射的に指を引く。

その勢いでつり銭口から()ねた十円玉は、そのくすんだ色とは正反対の、澄んだきんっという音を立ててアスファルトに落ちて、そのまま転がっていく。


一瞬、このままマンホールに落ちてしまえば、使()()()()()()()()()()()()()、という邪道な考えが晴人(はると)の脳裏をよぎる。

しかし、その邪道な希望は、そこに立っていた人の靴の爪先(つまさき)に当たって(つい)えた。


「これ、キミの?」


その人はかがんで十円玉を拾い上げると、それを晴人(はると)に差し出して近付いてくる。

黒いロングカーディガンを羽織(はお)り、だぼついてゆったりとしたサルエルズボンを()いた姿はどこかのチャラい売れないバンドマンのようにも見える。

が、それにしてはいつの間にいたのか晴人(はると)がわからないほど存在感というものが希薄で、何より雰囲気がロックをやっているにしては(やわ)らかすぎたし、アクセサリーの(たぐい)は一切つけていない。

ゆるりと余裕を持たせて(たば)ねた色素の薄い髪を肩から胸元に()らした姿は女性的な印象も持たせるが、その胸元辺りを見れば男性のように思える。

声色も男性にしては高く、女性にしては低い、といったところで、よくわからない。

なんだか、ちぐはぐで、なのに不思議と調和していて、そして何より、晴人(はると)の頭の片隅では警告灯が光っていた。

他の何より突出した印象として、胡散臭(うさんくさ)いのだ。


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