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怪異から論理の糸を縒る  作者: 板久咲絢芽
3-2 肝試しと大掃除 side B
69/209

6 winding & straight

「まあ、さっきの今回重要じゃない十二(はしら)祓戸大神(はらえどのおおかみ)ってまとめられる事もあるんですが、本題はその後二件なんですよ」


合間にかろころと口の中で(あめ)を転がす音を入れつつ、(ひろ)が言う。

織歌(おりか)も包みを()いて、(あめ)を口の中に放り込む。

もったりとジューシーでボリュームを感じるバターと濃厚な甘味が口の中一杯に広がる。


「二件って言い方、なんかちょっと嫌な予感がするなあ、オジサン」

「一件目は伊邪那岐(いざなぎ)身体(からだ)から落ちた(あか)から生まれた、八十禍津日神(やそまがつひのかみ)大禍津日神(おほまがつひのかみ)です。織歌(おりか)が言った、今回の招かれざる客の中の危ないやつらの根拠ですね」

「ふぁい、そうです」


(ひろ)に話を振られて、織歌(おりか)は口の中の(あめ)を舌で端に追いやりながら返事をする。


八十禍津日神(やそまがつひのかみ)接頭辞(せっとうじ)的に使われもする数が多いことを表す()()禍々(まがまが)しいという言葉に残る(わざわ)いや(やく)を表す()()、所属や属性を表す格助詞(かくじょし)()に、霊力的な意味を持つ()から成り立っていますので、多くの(わざわ)いの力の神……的な意味になりますでしょうか。大禍津日神(おほまがつひのかみ)は最初が大きさや程度が(はなは)だしい事を(しめ)()()に変わってるだけなので、似たような意味ですよね」

「……想定してたよりも詳しい内容返ってきてちょっと姉弟子(あねでし)としてもびっくりですけど、まあ、そういうことです」

「……ねえ、(ひろ)ちゃん、もしかして織歌(おりか)ちゃん、順調に紀美(きみ)くんに感化されてる?」


直人(なおと)の言葉に、(ひろ)が小さく(うめ)きながら、否定できない、と(つぶや)く。


「……気を取り直して、二件目です、二件目。こっちが(なお)さんの方ですね。そうして(あか)から生まれた(わざわ)いを()()()と生まれたのが神直毘神(かむなほびのかみ)大直毘神(おほなほびのかみ)伊豆能売(いづのめ)の三(はしら)の神です。正直最後の伊豆能売(いづのめ)は放置でいいです、今回は関係しませんから」


この中だと一番詳細不明ですしね、と言って(ひろ)は、かろんと(あめ)を転がす。

なので、その続きは織歌(おりか)が引き取った。


「はい、()()()()もその神性や程度の(はなは)だしさを表す接頭辞(せっとうじ)で、()()は直す、()禍津日(まがつひ)()と同じ……となれば、とてもわかりやすいです」

禍々(まがまが)しいと曲がるは()()という同じ語から派生している……という説を取るならば、曲線と直線で考えると、この対比、わかりやすいんですよねえ」

「……オジサン、ちょっと気になるの、()()()()()()()()ってとこなんだけど」


直人(なおと)の言葉に、(しばら)(ひろ)が、んー、と意味を成さない(うめ)きを出しつつ(あめ)を転がしている。

一方、織歌(おりか)直人(なおと)の言葉になるほど、と思って口を開いた。


「確かにちょっとおもしろい言い回しですよね」

「……織歌(おりか)ちゃん、やっぱり紀美(きみ)くんに感化されてるでしょ。オジサン、あんまり感心しないなー」


アレはね、どうやっても真似(まね)できないし、真似(まね)しちゃダメなやつよ、と直人(なおと)がぼやいた。


飴はヴェルター◯オリジナルのイメージ

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