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怪異から論理の糸を縒る  作者: 板久咲絢芽
2-2 山と神隠し side B
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4 安全装置

青く鋭い目が、射抜くように(のぞ)き込んでくる。がっちりと固定されたように、視線が()らせない。


「ヒロ、それは()()()()()()。だから、キミはそんなに身構(みがま)える必要はない」


言い聞かせるようにゆっくりと、力強くロビンが言い切る。

軽く肩を揺さぶられて、強張(こわば)った身体から、余計(よけい)な力が抜ける。


()()()()

「……はい」


自然と口から言葉が(こぼ)れる。

呪いじゃない。呪いでは、ないのだ。


「……すみません、ロビン。もう、大丈夫です」

「ん」


ちょっと疲れとかそういったもので、珍しく弱気になっていただけ。

(ひろ)の言葉に、肩を(つか)んでいたロビンの手が離れる。

(よもぎ)がほう、と感心したようにため息を()らした。


流石(さすが)、レジェンドやな」

「……その呼び方嫌い」


レジェンド。

聞いた話によれば、()()紀美(きみ)の初弟子という事に加え、国籍という特異性まで持ったロビンは界隈(かいわい)でめちゃくちゃ興味を持たれたし、本人も本人でいろいろと学ぶつもりだったので、吸収率が異常に高かったとか。

ただ、その中でも目にまつわるものを身につけるスピードは異例も異例で、調子に乗った(やから)のせいで、ロビンはこうして催眠術まで身につけてしまった次第である。

そうしてついたその大仰(おおぎょう)な呼び名は、ロビン的にはいいように(あつか)われた思い出なので嫌らしい。


「……ああ、そうだ、そうです」


久々にロビンの()()で見つめられたので思い出した。

(ひろ)はリュックの肩紐(かたひも)を片方おろすと、背中側から前に持ってきて、片足で支えながらごそごそと預かったメガネケースを取り出した。

ちなみにこの間、ほぼ揺れない程度にひろの体幹は出来上がっている。大体、実家が山伏的なのも込みの流れを()むせいである。


「ロビン、これ返します」

「ああ、ありがと」


ぱかりと開けたメガネケースから取り出した銀縁(ぎんぶち)のウェリントン型メガネをロビンがかけると、(ひろ)としては(ようや)く日常に戻って来た感がした。


「もともとそれ保険なんやっけ」


(よもぎ)がそれを見ながら(つぶや)く。

前にロビンから聞いたところによれば、もともと能力制御の補助として、常に裸眼でない状況を作るために、昔買ったのが始まりとかなんとか。

とはいえ。


「……最近は普通に貫通してると思いますけどね」


実際、メガネのあるなし関係なく、自由自在にロビンは自身の能力を使っている気がする。うっかりするとさっきみたくなる(ひろ)とは違って。

しかし、不満げにロビンは口をへの字にしてみせてから、口を開いた。


「あのね、電動アシスト自転車から電動アシスト抜くようなもん。そこまで気にしなくていいから楽なの」


そして、それから、とやや語気を強めて続きを口にする。


伊達(だて)ではあるけど、多少の紫外線カットと調光は入ってるんだよ、これ」


そこで、(よもぎ)(ひろ)(そろ)って思わず、ああ、と納得の声を上げた。

基本的に虹彩の濃いモンゴロイドと比較して、いわゆるコーカソイドの虹彩の色、特に薄い色――この場合の薄いはメラニンが、にも置き換えられる――の方々の桿体細胞(かんたいさいぼう)酷使(こくし)されやすい運命なのだ。


虹彩と色:虹彩は明るさによって瞳孔の大きさを調節し、取り込む光の量を調節する、いわばシェード的な役目がある。しかし虹彩のメラニン含有量(これにより虹彩の色が変わる。黒〜茶ほどメラニン含有量が多く、青は少ない)によって、瞳孔のサイズが同じでも実際に採取される光の量=虹彩で遮られる光量は限られる。洋ゲーのデフォルト画面が日本人にとって暗すぎて、本邦のゲームのデフォルト画面がヨーロッパ圏の人間にとって明るすぎる、というのはこれによる。

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