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怪異から論理の糸を縒る  作者: 板久咲絢芽
1-1 逆さまの幽霊 side A
10/209

9 織歌の仮説3

「ロビンさんは私よりも耐性がありますから、たぶんほとんど無かったはずです」


織歌(おりか)はロビンの方に視線を向けた。


「そうだね、それはボクにはなかった。でも、オリカ、その耐性の意味、単純にこういう怪異を見る事を指した耐性、()()()()ね?」


補足(ほそく)するようなロビンの指摘に、織歌(おりか)が一つ(うなず)いた。


「はい。これは、()()()()()()()()()()()()()、というのもあります。コレに害らしい害はそこまでありません。けれど、この()き上がる恐怖に近い感情、そもそも()()()()()()()()()()()()()し、真由(まゆ)さんの感じたそれも()()()()()()()()()()()()()()()()

「……はい?」


隣でわずかにああ、とロビンが声を上げていたが、真由(まゆ)には理解できなかった。


Synch()ronize()……一般的には憑依(ひょうい)とか言った方がいい……のかな。共感とは違うね……うん、共鳴と言うのが相応(ふさわ)しいかも」


ロビンがそう悩み悩み口にする。

それを聞いて、真由(まゆ)にもようやくなんとなくの理解ができた。


「この感情は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()です。でも、それなら、この感情は()()()()()()()()

「……えっと、飛び降り自殺した、生徒?」


唐突な話の流れの変化に頭が追いつかない真由(まゆ)には、これまでの話の登場人物から、それしか思いつかない。けれど、織歌(おりか)は首を横に振った。


「いいえ、その人のものでもありません。そうであれば、外側から見たロビンさんが『()()()()()()()()()()』なんて言わないのです」


そういえば、校舎をぐるりと(まわ)ってきたらしいロビンは戻ってすぐにそう言っていた。

真由(まゆ)がロビンの方を見ると、それに気付いたロビンが(うなず)いて口を(ひら)く。


「オリカが避雷針(ひらいしん)なら、ボクは斥候(せっこう)。というのも、ボクは見る事に()けてるから。正確には目の機能が、だけどね」

「ええ、そのロビンさんが外側で『こっちからはあんまり』なんて言ったということは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということです。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、その飛び降りの経路上に、他にも影響を与えて(しか)るべき、です」


織歌(おりか)の言葉で、真由(まゆ)はロビンが一階でじっと踊り場の窓を見上げていたことと、二階を過ぎた(あた)りで口にした問いを思い出す。


「……どうして、四階だけって、そういう事、ですか?」

「そう。外の着地点になるはずの場所、一階と二階、二階と三階のそれぞれの踊り場の窓、全てにおいて、ボクはコレに(るい)するものを()()()()()()()


ロビンが真由(まゆ)が思い(いた)った点を肯定する。


「本人の思念であるなら、それは不可解だ。文化的に()()を同音とする日本人の怪談において、数字が四に寄るものだとしても、踊り場であって、明確な四階ですらない。だから、これはウワサが語られている内に、無意識に話が改造された結果でもない」


整然とロビンが言う。織歌(おりか)(まさ)しくその通りと言いたいように、こくこくと(うなず)いている。


「だから、本人であるとしたら、辻褄(つじつま)が合わないのです。そして、その説明されないチグハグさが恐怖と異質性を、より(あお)っていると考えられます」

「えっと、じゃあ、結局、誰……?」


真由(まゆ)の中で、やはりアレは単に幽霊だった方が良かったのではないか、という後悔に近い考えが(うず)を巻いていた。


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