3 電車での気遣い
「当たってるかな?お願いします入っててください!」
ポストの前で祈っている女子は私中学3年生の清水ほのかだ。ちょうど今日から3日前後は抽選の結果のハガキが届く日なのだ。これをずっとポスト開くときにやっている。
「open!…あれ、あのハガキって…やっぱり抽選結果のハガキだ!結果は…当選!?やったーーーー!!!!!」
とても嬉しくて家で喜びの舞を踊ってしまった。
〈翌日〉
学校に着いてから氷原くんにすぐに話しかけた。
「おはよ、氷原くん!前言ってた抽選当たったよ!嬉しすぎる!これでリアルで推しに会える!」
「おはよ、良かったね!いつだっけ、それ?」
「今週の日曜日にここから6駅ぐらい先のイベントホールでやるよ。」
「俺もちょうどそこの駅に行く用事があるから一緒に行かね?」
「いいよ!でも何時ぐらいなのそれ?」
「午後1時ぐらいだからそのイベントと同じぐらいだと思うけど。」
「うん、じゃあ12時に駅集合で!」
「りょ!」
そして私は氷原くんと行くことになった。
〈当日〉
私は駅に待ち合わせ5分前に着いてしまったが、もう氷原くんがいた。
「おはよ、氷原くん。待った?」
「ううん、待ってないよ。マジでさっき着いた。」
「そうなんだ!じゃあ行こ!」
そして私たちは電車に乗った。当然休日なので電車は座れなかった。
「やっぱり休日だから人多いね。」
「ねー。席が空くと良いけど。」
それから私たちは色々な話をした。そして乗ってから2駅ぐらいになると席が1つだけ空いた。
「いいよ、座って清水。」
「良いの?ありがとう。」
その時私の心臓の鼓動は少し速くなった気がした。
そして目的地に着いた。
「じゃあ私はここで人待つから。じゃあね!」
「うん、気をつけてね!」
そして数分後私が待っていた人が来た。
「君がヤキコロモチさんだね。ずっと会いたかったよ。」
「えっ、男…?そしてなんで片手にカッターを…?」
「それはね…君と死ぬためだよ?一緒に行ってくれるよね?」
えっ、私推しにリアルで会えないまま死ぬの?
《続く》