2 リアルイベントの抽選
『皆こんばんはー!さにーず⭐でーす!これから毎週金曜恒例の《今週おつかれさま!雑談会》を始めまーす!』
「はーい!楽しみにしてました!!!!」
このパソコンの前でファンサうちわ持って騒いでいる女子は私、清水ほのかなのだ。今は毎週楽しみにしている今おつ雑談会の最中だ。マジでこの日の為だけに毎週生きているようなもんだ!もうこれなきゃ生きていけない!!ちなみに今おつ雑談会とは『さにーず⭐』のメンバーが私たちファンのために質問やお願いを聞いてくれる会なんだ!メンバーの雑談も面白いから凄くファンの間では人気なんだ!だいたい参加してるのは元気担当でリーダーの『かくと』くんや癒し担当の『すま』くんが参加してて私の推しの『アイス』くんや可愛い担当の『メロロ』くんは全然出ない。だけど面白いからよし!
『今日の雑談メンバーは…なんとさにーず⭐メンバー全員!これ初めてじゃない?ね、すま?』
『そうだね、かくと。今日は全然参加しないメンバーの話が聞けるといいね。』
『ちょっとーすま、ターゲット僕たちに定めないでよ~!』
『そんなターゲットにされても話すことないぞ?』
『いやいやあるでしょ、アイス?』
「ちょっと待って!?今日全員集合なの!?画面にうちの推しがいる~!」
うわ、すごい。コメントが暴れてるわ。これじゃあ追い付けないかも…
『話は一旦そこまでにして…皆にお知らせがあります!』
何?いいお知らせがいいな、悪いお知らせだと耳塞いじゃうよー!
『…なんとさにーず⭐初のリアル握手会の開催が決定しました~!拍手!』
(パチパチパチ)
「おー!マジで!?行きたい!そして素顔を見たい!!!」
『こちらは抽選で100名様にご参加頂けます。応募方法は後日発売される1stアルバム《SHINING》に付いてくる応募券でできます!是非応募して僕たちに会いに来てね!』
「えーと、財布の残高は1万円、特別版と通常版買えるな。絶対に当ててみせる!」
〈翌日〉
「おはよ、清水さん。なんか気分良さそうだね。」
「おはよ、氷原くん!実はね…」
そして昨日の夜のことを氷原くんに話した。最近は氷原くんって呼んでるんだ。
「それはよかったね!でも何円消すつもりなの?」
「んー、軽く1万ぐらい?」
「多すぎない!?」
「良いの!抽選に当てるためだもん!」
「ならいいけど。破産しないでね?」
「大丈夫!はあ~、ヤキコロモチの名前で当たりますように…」
「ヤキコロモチ?なにそれ?」
「あっ、これは私の布教用のアカウントの名前だよ。」
「なんか独特な名前だな。まあ頑張れ。」
〈抽選応募締切日の夜〉
「さてと選びますか、当選者を。それにしてもエグい数…今夜は徹夜かしら…明後日にはハガキ送らなきゃだから。」
「スタッフさん、これ差し入れ。あと一つお願いあるんだけど良い?」
「あらありがと、アイスくん。で、お願いって?内容によっては出来ないかもだけど。」
「このハガキの山の中にヤキコロモチって人の名前なかった?それかほのかって名前。中3の子のね。」
「ちょっと待ってね………あっ、あったわよヤキコロモチさんのハガキ!で、何がしたいの?」
「その子当選にして欲しい。理由は面白そうだから。」
「仕方がないわね。他の人選ぶのも大変だしいいわよ。」
「ありがとう。じゃあ。」
《続く》