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 昼食も食い終わって腹がいっぱいになったのはいいのだけど、今後の予定は全く決まらなかった。話し合ってすらないのだから、予定なんて決まるわけないんだけどな。純粋に食事を楽しんでしまった。悪いことではないんだけどな。


「どこ行く?」

「適当にぶらつけばいいんじゃない?」

「うん。それでいいと思うよ。入りたいところがあれば、各自の自己申告で入るって形でいいんじゃないかな。」

「ほら、神崎君もこう言ってるし。」


 杏里の春馬をよいしょはすごいな。春馬のいうことならどんなことでも肯定するんじゃないか?人を好きになるってすごいなぁ。とはいえ、こうはなりたく無かったりもするけど。相手の望みに合わせて自分を変えるなんて嫌だし。


「そうだな。それで構わないけど。……愛理さんも?」

「うん。いいよぉ、悠馬君。」

「あら?あんたたちいつから名前で呼び合うようになったの?」


 うわぁ。やっぱり最悪だ。ニヤニヤした顔で杏里が見てきやがる。こうなることが分かってたから嫌だったんよ。それに学園でも嫌な風になりそうやし。これで親にも話がいって家でも詮索されること間違いなし。

 あー、憂鬱だ。たぶんだが今後、学園と家どちらでも言われるんだろ?特に親が嫌なんだよねぇ。どうにも親には頭が上がらないからさ。敵対しても酷い目に合うだけだしな。


「ついさっきだよぉ。ねっ?」

「ああ、ついさっきだな。」

「へぇ。あんたがねぇ。」


 こいつぅ。責めるネタがあるからって、そんな風に言ってきやがる。その顔やめぇい。ニヤニヤとした顔をこっちに見せてきやがって。腹立つわぁ。


「……なんだよ。」

「いいやぁ?べっつにぃ。」

「含みのある言い方だな。」

「なんでもないってぇ。」


 絶対、何でもなくないだろ。こういう時の杏里は本当に嫌なんだよなぁ。無茶ぶりしている時の方がまだましだと思うくらいだ。そのくらい鬱陶しい。ネチネチと言ってくるんよ。怒らせるのよりはまだマシだけど。


「そう言って何でもなかったことなんて、なかった気がするんだけど?」

「あら、そう?気のせいじゃない?」

「……まぁ、いいけど。」

「二人とも、早く行くよぉ。」


 くっ、ここまでにしてやろう。愛理さんに呼ばれたからな。勘弁してやる。決して俺が逃げるためじゃないぞ?決してだぞ。へっ。


「あいあい。」

「分かったわ。」




「なんだか入りたいところないな。」

「そうだねぇ。人もいっぱい並んでるしねぇ。」

「いいじゃないか。こうやって話をするだけでも楽しいし。」


 春馬よ。お前ってやっぱりいい奴なんやな。話すだけでも楽しいって、そんなことを中々言えないんじゃないか?普通の人間というものは。俺なら実際言えないし。流石や。


「それも、そうだな。こう、のんびり歩きながら話すのもいいものだな。」

「なんかおっさんくさい。」

「おっさんじゃないし。……一応。」


 おっさんじゃないよ。ほら身体は若々しいし。ジャンプもちゃんとできるし。精神も別に若いよね?そうだよね?……なんだか、おじさん不安になってきちゃうよ。こんな適当なこと考えてられるんだ。若々しいだろう?


「ふふっ、一応ってぇ。」

「いやー、我ながらおっさんっぽかったような気もするし。」

「ふふふ。まだ若者でしょぉ?」

「そうだけどな。」


 愛理さんも若々しいって認めてくれた。現役JKに若いって認められたってことは、つまりはめちゃ若いということで。そういうことなのだ。うんうん。杏里もJKだし、おっさんって言われてるだろって?


「愛理、こいつに言っても無駄よ。だって、おっさんだし。」

「おっさんじゃないっつーの。」

「うっそだー。あんた子供の時からそういうとこあるじゃん。」

「そんなことは……。それにそれは、杏里のせいだけどな?」


 ほんまにそうやぞ。無茶ぶりをされて幾星霜。今までの恨み忘れはせぬぞ。確実にそれはあるからな?子供の時から妙に悟ったような感じがあるのは。そんなの自分で言うことじゃないけど。


「なんですってぇ?」

「二人って、本当に仲いいよねぇ。」

「こんな奴と仲良くなんてないわよ。」

「全くもって、その通りだ。」


 こういう意見だけは会うんだよなぁ。ただの幼馴染だから。腐れ縁だから。それ以上でも、以下でもないんだいっ。それは見てれば分かると思うんだけど。ただ単に揶揄っているだけだろうから、嫌よなぁ。


「そんな事言いつつ、ねぇ?」

「確かにね。流石は幼馴染ということだろうね。」

「春馬もかよ。」

「ふんっ。こんな奴と仲なんていい訳ないじゃない。」


 って、言い過ぎでしょ。さっきから酷いこと言われてるんだけど!?否定できるところはないし、俺もそう思ってるけど。それにしても酷いでしょ。何の恨みがあるって言うんだ。こっちからの恨みはめちゃんこ深いけどね。


「照れ隠しはいいってぇ。」

「照れ隠しじゃないしっ。もういいっ。」

「あ~、待ってよぉ。……二人で回っていて。」


 あー、またか。逃げた。愛理さんも愛理さんで結構あれだよなぁ。揶揄い癖みたいな?加減なくやっちゃうから。だから杏里が逃げちゃうんだよ。そこは加減しておかなないと。そうじゃないと、酷い目にあうんだぞ。主に俺が。


「分かったよ。」

「うん。また、あとで合流しよう。」


あれま。春馬と二人っきりになってしまった。どうしましょうか?うーん。本当にどうしよう。


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