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 遊園地に着いてからそれほど時間も経っていない気もするが、もう12時を過ぎたころだ。楽しいと時間が過ぎるのも早いものだな。なんだか、酷い目にしか合っていない気もするけど、気のせいだろう。

 うん。気のせいに違いない。姫路さん、じゃなくて愛理さんは楽しんでいたみたいだし、同行者が楽しんでいれば自分も楽しいものだろう。釣られて楽しくなってくるとか、あるじゃん?これぞ吊り橋効果か?違うか。


「二人とも、元気か?」

「小牧君こそ、元気かい?」

「もちろんだとも。」

「ははは、それならよかった。」


 春馬はいつでも爽やかに笑っていて、流石イケメンって感じだ。ひたすらに顔がいいっていうのもずるいな。それだけで人生余裕だし。それに運動も、勉強もすべて得意だろ?神の申し子みたいな感じなのかもな。

 性格もいいし、流石超人と称されるだけのことはある。弱点らしきものが見つかれば、もっと親しみを持てるものかもな。ま、今の段階でも何故か親しみやすいというのが春馬の不思議なところだな。




「何であの二人あんな仲良くなってんの?」

「さぁ?男の友情がどうたら言ってたけどぉ」

「何それ?」


 ふっ、女には分からないことさ。あっ、今の時代こんなことを言うと差別だとか言われるから言っちゃダメだぞ。いい子のみんな、俺との約束だ。そういうことは思うだけにしておこう。

 本来は思うことさえない方がいいかもしれないけど、それこそが人間感情というものだからな。人間である限りダメと言われようが、思ってしまうことは思ってしまうものなのだ。だからって態度に出しちゃあ、燃えるから気を付けるんだぞ。


「分かんないけどぉ、男の子には大事なことなんじゃない?」

「そんなもん?」

「分からないよぉ。」




 一通りの近況報告のようなものも終わり、4人での今後の今日の予定を話す。と言っても、流れとしては朝とそう変わらないだろう。適当なタイミングで適当に分かれて、適当に合流する。それだけだ。

 しかし、せっかく4人で来たのだ。4人でも回りたいだろ。そっちの方が皆で来た感じがして、楽しいし。決して愛理さんと回るのが怖いとかじゃないよ。ホントホント。


「で、午後はどうするんだ?」

「とりあえず、どこかで昼食をとるのはどうだい?話はそれからでもいいと思うよ。」

「確かに春馬の言う通りか。誰か食べたいものとかあるか?」

「特にないけどぉ?杏里はぁ?」

「私もないわ。春馬君も?」

「僕もないかな。」


 みんなないらしい。困ったね。誰かしら提案してくれれば、それで仕舞にできたってのに。そんなこと言っても仕方ないから、言わないけど。それにしてもどうしたものか。こういう時に春馬が意見してくれれば楽なのに。


「そうか。皆、特に希望はないのか。」

「そういう悠、……小牧はどうなの?」

「もちろん、ないけど?」

「あっ、そうなの。」

「そうなんです。」


 杏里さんよ。ないに決まってるじゃないですかー、嫌だなぁ。あったら自分で先に提案してるよ。何年幼馴染やってるんだ?全く、そんなことも分からないようじゃあ、幼馴染失格だな。

……はい、すみません。意見を出せない奴が言えることじゃないですね、はい。


「とりあえず、辺りを見てみようよ。」

「そうだな。俺も春馬に賛成。」

「いいんじゃないかなぁ。」

「うん。」




 流石春馬や。見事解決してくれたぜ。まぁ、あの状況ならああするしかなかったとも思うけど。結果的に食べれそうなところに入れてよかったよ。


「午前は別行動になったけど、午後はどうするんだ?」

「そうだねぇ。最初は4人で行動して、また最後は二人組に分かれればいいんじゃないかなぁ?」

「それでいいか。二人も異論はない?」


 午後4時くらいで一芝居打てばいいだろう。流石に2回目は同じネタじゃあ通用しないから、他のネタを考えねば。普通に分かれるだけになるかもしれないけど。おもむろ、そっちの方が可能性として高いくらいか。


「僕はそれでいいよ。」

「私も。二人組はどういう組み合わせ?」

「その場の雰囲気で?」

「それでいいと思うよぉ。」


 あ、うん。それでいいんだ。案外適当な感じで分かれるんか。そんなものなのかな。雰囲気とかようわからんけど、とりあえず午前と同じように分かれればだろう。実際はあの三人が思い通りに進んでくれるかは分からないけど。


「それでいいのだけど……。」

「なんだよ。」

「いえ、何でもない。気にしないで。」

「うわー、そっちの方が気になるんだけど。」


 よくいるよねー。言葉を途中で止めて何でもないとか言い出す奴。言いたいことがあるなら言えや、って感じよなぁ。続きが気になって困っちゃうよ。どうせ聞いても答えてはくれないだろうし。


「なんでもいいでしょ。」

「まぁ、いいけど。」

「何よ。」

「いや、何でもない。気にしんといて。」

「何よ。そっちの方が気になるじゃない。」


 さっきと同じ会話をし返えしてやったぜ。特に理由はないけど。それに意味もない。我ながら何がしたかったのか、さっぱり分からん。うん。分からんぞ。学園の七不思議に入るくらい不思議だ。それはないな。


「あの二人は仲いいよね?」

「そうだねぇ。幼馴染みたいだからねぇ。」

「へぇ。そうなんだ。」

「そうみたいだよぉ。」


 仲はいいのか?正直一方的にやりこめられてるだけな気もする。幼馴染だからって全員が仲いいわけちゃうぞ。ほとんどの場合が一方が一方に頭が上がらないだけじゃないか?知らんけど。

 それにしても、杏里は文句ないのだろうか?一応好きな人って話だろ。それが親友と話してるんだぞ。なんか嫌だなぁ。なんて思わないんだろうか?もしくは親友だから?


「あれ、いいのか?」

「何のこと?」

「えっ?目の前のこと?」

「なぜ疑問形なの?特に何もない気がするのだけど。」

「それならいいけど。」


 親友だから信用しているというわけだろうな。ふーん、そういうものなのか。嫉妬とかするものが普通かと思ってたけど。違うんだなぁ。


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