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022

 日程を調整して、いよいよダブルデートの日がやってきた。ダブルデートとはいえ、メインは神崎春馬と黒崎杏里だ。姫路さんと俺は今回おまけ程度でしかないから、実質、二人のデートとそのお供みたいなものだ。

 とはいえ、お供にも最低限求められる水準というのはあるみたいで、前日の夜には杏里がダサい服は着てくるなと、念入りに電話してきた。そこまで俺が気合を入れる意味はないが、怖いので従っておいた。

 そのため、普段よりは見られるようになってるんじゃないかな?知らんけど。ほら、あんまり持ち上げても、ダサいとか言われたらいやだろ。




「おはよう。早いね?」

「神崎か。おはよう。そっちこそ早いじゃないか。」

「そうかな?普通だよ。前から気になっていたんだけど、何故神崎って呼ぶんだい?」

「えっ?別にさほど親しいわけでもないし。名字で呼ぶのが普通だろ。」

「そういうものかい?初対面でも名前で呼ばれるから、それが普通なのかと思っていたよ。」


 えっ?それは自慢かい?初対面じゃなくても、名前で呼ばれることなんてないんだけど?ん?それはどういうことだい?ねぇ、教えてよ。

 いや、やっぱり聞きたくないので、教えないでください。泣くぞ?


「あはは、そうなんだ。まあ、神崎の周りにとってはそれが普通なんだろうね。」

「へぇ、君は違うのかい?」

「もちろん同じだよ。これから、春馬って呼ぶわ。よろしく。」


 同じだよ。……同じに決まってんだろぉ(泣)。こちとら、歴戦のぼっちや。なんとなく空気に合わせるのは慣れてるんだ。あまり、俺をなめるなよ?空気を読むことには長けてるんだ。それに合わせることも容易なことさ。

 ん?じゃあ、なぜぼっちなのかって?空気に合わせたら、空気になって目立たないに決まってるじゃんか。そんな当たり前のこと聞くなよな。学校においては少し空気を読めないくらいが、目立って人気が出るんだ。

 ほら、空気を読まずに大きな声で発言する奴が偉いみたいな風習あるだろ?そんなの社会に出たら通用しないんだぞ!!なお、社会に出たことはないので、実際は知らないけど。


「じゃあ、僕は悠馬って呼ぶね。」

「あー、うん。」


 自然なイケメンブーム。なんだか、眩しいぜ。こう言う奴は社会に出てもうまくやってくんだろうなぁ。イケメンだし。イケメンだし。イケメンだし。顔がよければすべてうまっく行くって、何じゃそりゃ。完敗です。




 勝手に春馬に対して敗北していたのだが、そこに天使と悪魔がやってきた。天使とはもちろん姫路さんのことだ。今日も最高に魅力的だぜ。姫路さん。その調子でガンバっ。こんなこと思ってると、お前は何様だって思われそうだな。

 そして、悪魔とは杏里のことである。今回の元凶で、過去から現在まであらゆる災難、厄災すべてはこいつを発端としている。恐るべき敵だ。だが、その可憐さは認めなくてはならないな。これなら春馬もキュンっとするだろ。うんうん。


「おはよぉ。」

「神崎君、おはよう。早いね。」

「姫路さん、黒崎さんおはよう。」

「姫路さん、おはよ。」


 杏里さん。あなた春馬にだけ挨拶しましたね?誰がこのお出かけを企画してると思ってるんです?少しは労ってもいいのではないですか?えぇ?器が小さいと言われようと、やり返させてもらいますよ。お前には、挨拶返してやーらない。

 ……。我ながら器が小さすぎるな。それにやり返しの規模が……。ま、まぁ、平和的でいいじゃないか。うん。争いは何も生まないとか言うだろ?


「皆、早いねぇ。まだ、集合時間まで30分はあるよぉ。」

「いいじゃない。それだけ楽しみにしていったってことでしょ。ほらっ、行きましょ。」

「待ってよぉ。杏里、行く場所知らないでしょぉ?」

「うっ、そうね。小牧、早く教えなさい。」


 テンションが高い杏里はいつにも増して、子供っぽくなるなぁ。それに杏里自身の魅力をより引き立たせている。やっぱり、童顔の人は全力で笑っている姿こそが映えるというか。それでこそだと思うんだよな。

 まぁ、割を食うのは俺なんだけどな。それでもこの杏里になら、迷惑をかけられても許せるんだよなぁ。ほら、親なら子供のやるほとんどのことは無条件で許せるだろ?そういう親心みたいなものだよ。たぶん。


「なんだか、今日はテンション高いねぇ。」

「だって、楽しみだったんだもん。」

「ふふふ。杏里は可愛いねぇ。」

「あー、また私のことバカにして。」


 うわ~、杏里がポカポカと軽く姫路さんを叩く。叩くというよりも、じゃれついてるようにしか見えないんだけど。しかし、相当に杏里のテンションが高いな。どんな言葉でも、仕草でも子供っぽくなり過ぎだ。

 いつもなら、もう少し自制心があるというのに。これも春馬効果か?難儀なものだなぁ。


「馬鹿にはしてないんだけどなぁ。」

「うー。もういいもん。ほら、早く行くわよ。連れて行きなさい。」




「あはは。女子陣は今日テンション高いみたいだな。」

「元気がよくていいじゃないか。」

「それだけかよ。疲れそうだとかないのか?」

「見ているだけで、楽しい気分になるじゃないか。」


 満点の回答だな。負の感情と言う奴がないのか?でも、そんなわけないよなぁ。挫折とかはしたこと無さそうだけど、負の感情の一つや二つ流石に抱いたことはあるだろ。う~ん。超人だからなぁ。怪しいものだなぁ。


「流石だな。」

「どういうことだい?」

「さぁな。」




「ほらっ、二人とも。早く―。」

「お嬢様がお呼びのようだ。」

「そうだね。そろそろ、行こうか。」


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