表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/45

017

 チャラ男を撃退したのはいいのだが、妙に変な雰囲気が残ってしまった。理由はひめじさんの彼氏発言だろう。まぁあね、そんな事実は何処にもないし、追い払うために言ったのだろうことは分かるさ。

 だけど、まさかの彼氏扱いされるなんて思いもしなかった。姫路さんなら他の方法でも追い払えただろうし。あまりその手段を取る意味がなかったはずだ。


「お目当てのものは買えたの?」

「うん。今日はありがとねぇ。」

「いやいや、ちゃんと買えたのなら本当によかったよ。」


 気になるなぁ。最終的に目当てのものって、何だったのだろう。秘密って言ってたし、教えてはくれなさそうだ。もっと仲良くなれば教えてくれるのだろうか?もう、ぼっちには十分すぎるほど仲良くしてもらったけど。


「それで、お礼がしたいんだけどぉ。」

「いいよ。お礼なんて。姫路さんには助けてもらったし。」

「でもぉ。」

「本当にいいよ。それに今日は楽しめたから。」

「……。」


 沈黙。どうやら、不満なようである。お礼なんていいのにね。姫路さんの時間を貰えたってだけで十分すぎるほど、貰っているさ。これ以上貰うとこっちが貰いすぎになっちゃうよ。どうしたものか。


「うーん、どうしてもと言うのなら、一緒に昼食を食べたいな。なんて。」

「そんなことでいいのぉ?」

「それがいいの。」

「うん。分かったぁ。一緒にいこぉ。」


 一緒にいこうってどこに?って、昼食に決まってるよねぇ。ごめんなさい。不埒な想像をしてしまいました。そんな雰囲気でもないときにふざけるのはやめておこうか。せっかく準備してきたんだ。

 そんなことで台無しにするのも馬鹿らしいだろう。まぁ、心の中でふざける分には誰にもとがめられないだろうけど、態度に出ちゃうかもしれないだろ。


「そ、そうだね。この近くに行きたい店があるから、そこにしよう。」

「うん。」




「さっきは、ごめんねぇ。」


 店への道を歩いている途中、何故か姫路さんが謝ってきた。姫路さんに謝られるようなこと何かされた覚えはないけど。いや、よく考えたらあった。

 学園ではみんなの前で話しかけられたし、授業中はふざけだすしで謝られてもいい案件だな。と言っても、そのことじゃないだろうなぁ。そういう影響力とかに自覚あるかは知らないけど。謝ることじゃないとか思ってそう。


「えっ?何が?」

「彼氏って勝手に言っちゃって。」

「別にいいよ。そんな事。」


 それのことかぁ。正直、役得。だよなぁ。ほら、姫路さんクラスの女子に嘘とはいえ、付き合っていると認められたわけだ。本当に嫌な奴だったら、嘘でも付き合っているなんて言わないでしょ。

 つまりは付き合ってもいいと思っているってこと!?言っている自分でも信じられないなぁ。


「……そんな事。嫌じゃないなら、よかったぁ。」

「もちろん嫌じゃないよ。だって、楽に追い払えたでしょ。」

「そうだねぇ。」


 姫路さんよ。それはジト目だろうか。しかし何故なんだ?そんなジト目をされるようなこと言ってないと思うけど。不思議だなぁ。彼氏発言をそんな事。とかどうでもいい風に言ったから?

 邪推しちゃうよ。俺に好意があるんだ的な風に。どうでもいい何て思われたくないなぁ。ちょっとは意識してくれても、みたいな。まぁ、もちろん、ぼっちの勝手な妄想ですからね。はい。


「えっ?何?」

「べつにぃ。」

「そう?ならいいけど。」


 ジト目が強くなった。何故なんだ。俺にはもうどうしようもないぞ。




「ここぉ?」

「そう。なんかおしゃれそうなカフェ。」


 どこに行くかは迷ったんだけど、がっつり食べるとかは望んでないかなぁ。と思って軽食を取れそうで、おしゃれそうなところを探したらここになった。選択としては間違ってないんじゃないかなぁ。そこまで高くないし。


「ふふっ。おしゃれそうなって。おしゃれなでいいじゃん。」

「別にいいでしょ。それくらい。」

「いいけど。ふふっ。」

「姫路さん。……まあいいや。こういう店は一人では中々入りずらいから、誰かと来たいと思ってたんだ。」


 姫路さんに笑われた。そんなおもろいこと言ったか?別に変なこと言った覚えはないけど。姫路さんが少し変わっているんだろうなぁ。そう言うことにしておこう。ほら、自分が変だなんてなったら、ショックだろ。


「そうなんだぁ。」

「うん。だから、ありがと。」

「ううん。お詫びだからぁ。それにお詫びじゃなくても言ってくれれば付き合うよぉ。」

「その時はまたよろしく。」


 まさか、またデートに誘ったら来てくれるというのか?案外フットワーク軽いんか?んな訳ないよなぁ。姫路さんならだれに誘われても、なんやかんやメンバー集めてどうにかしちゃいそう。

 一対一って言うのは聞かないから、今回は特別だったんだろうなぁ。今回の件は本屋が主目的だからな。それ以外はおまけみたいなところあるし。社交辞令だろう。


「それ、誘わない奴ぅ。社交辞令じゃないのになぁ。」

「誘うって。」

「信じてるよぉ。」

「大丈夫、任せて。」


 社交辞令だって思ったことばれてた。いやーしかし、姫路さんを誘う機会なんて早々来ないものだと思うけどなぁ。それに来てもらっても困ると言ったら、困るんだよ。今日の朝みたいなのに絶対なるし。視線が痛いんよ。




 昼食の時間は特に何かが起こるわけでもなく、平和であった。ついにお別れの時間がやって来たのだった。というか、超疲れたんだけど。姫路さんには悪いけど、もう帰って寝たい。流石にぼっちにはきついものがある。


「今日はありがとぉ。」

「どういたしまして。また、どこかに出かけれたらいいね。」

「うん。また一緒に出掛けよぉ。」

「その時はよろしくね。それじゃあね。」

「またねぇ。」


 デートも終わり、真に平和な時間が訪れた。でも、何やろう。家帰ってもやることないんだよなぁ。それに絶対、根掘り葉掘り聞かれるに決まってるから憂鬱だ。今日の残り時間は静かに暮らしたいものだ。

 デート、楽しかったなぁ。あまり長い時間でもなかったけど、姫路さんとは色々なことを話せたし、また少しは仲良くなれたんじゃないかなぁ。友達になる日も近いかもしれないなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ